PMF(プロダクトマーケットフィット)とは何か?PMFの意味と重要性やPSFとの違いを解説
新規事業を立ち上げる際、自信をもって作った製品、サービスでも市場のニーズに合っているかというのが気になるところです。事業の成功は、市場に受け入れてもらえるかにかかってきます。そのためには、PMF(プロダクトマーケットフィット)が非常に重要になります。この記事では、PMFの意味や重要性について解説します。
目次
PMF(プロダクトマーケットフィット)とは
PMFの意味
PMFとは「Product Market Fit」(プロダクトマーケットフィット)の頭文字を取った言葉で、「顧客が満足する商品を、最適な市場で提供できている状態」のことです。
どんなに良い商品、サービスでも市場が求めているものとマッチしていないと売り上げは伸びません。PMF(市場に受け入れられている状態)を達成することが、売上に結びつきます。特に、スタートアップの成功にPMFは欠かせないといわれています。
PMFが注目される理由
日本政府が2022年に「スタートアップ育成5カ年計画」を発表したのを機に、PMFが注目されるようになりました。スタートアップとは、急成長する組織のことです。日本経済の成長を取り戻すために欠かせないものであり、持続可能な経済成長を実現するとしています。
新規の事業は初期段階から積極的に投資を受けていくため、赤字スタートです。ですので経営資源が底をつく前にPMSを達成していくことが求められます。
PMFの指標と検証方法
PMFが達成できているか確認する方法に
●PMFsurvey
●NPS®
●リテンションカーブ
などがあります。ここからはPMFの指標と検証方法について詳しく紹介します。
PMFsurvey
非常にシンプルな調査方法で、PMFの達成度を測ります。「もしも、その製品が使えなくなったらどう思いますか?」という質問をして
①非常に残念
②やや残念
③残念ではない
④該当しない(製品を使用していない)
の4つの選択肢から1つを回答してもらいます。調査対象のうち40%以上が「非常に残念」と回答した場合、その製品は今後も継続して使ってもらえると判断され、PMFを達成している可能性があると考えられます。
NPS®
NPS®は、企業や製品を友人や同僚に薦める可能性はどの程度ありますか?という質問を投げかけて、0〜10の11段階で回答してもらい、顧客のロイヤリティを測る方法です。
●0~6 批判者 商品に不満があり、悪評を広める可能性がある
●7~8 中立者 商品に満足しているが、競合商品でも問題はない
●9〜10:推奨者 ロイヤルティが高い。自ら購入のほか推奨を行う
推奨者の割合から批判者の割合を引いた数値をNPSのスコアとします。
リテンションカーブ
リテンションとは維持や保持などの意味を持つ言葉です。ビジネスの場では、既存顧客がどれくらい継続して使用しているかを意味します。
リテンションカーブは、リテンション率を縦軸、製品リリースからの期間を横軸に設定したグラフのことです。グラフがリリース以降に横ばいの状態であれば、ゼロにならず、継続して利用されているという意味となり、製品はPMFを達成している可能性があると判断します。
PSFとの違い
PSF:顧客に応える商品、サービスを提供できているかどうか
PSM:市場に受け入れられている状態
PSFとPSMの大きな違いは「市場」です。PSFは顧客と企業の関係に対し、PMFは顧客と企業と市場の3つの要素を考慮しているという違いがあります。
PSF(プロブレムソリューションフィット)とは
PSFは「Problem(問題や課題) Solution(解決) Fit(適合)」の頭文字を取った言葉で、顧客が抱えている問題や課題の解決に向けて最適な方法を提供している状態のことを意味します。
PSFの達成はPMFの達成に必要不可欠
PSFはPMFの前段階となるので、PMFを目指すなら、まずPSFの達成を目標にするとよいでしょう。
まずはPSFの視点で製品や、サービスを開発して、課題を解決します。PSFが達成したら、PMFの達成を目指すというステップが必要と考えられます。
PSFを達成するために必要なこと
PSFを達成するためには下記の4つのステップが必要です。
①問題や課題をみつける
②解決方法を考え試作モデルを作成
③試作モデルの検証
④フィードバック
検証、フィードバック、改善を繰り返しPSFの達成を目指します。
PMFの達成に向けて必要なこと
PSFが達成したら、いよいよPMF達成に向けて動きます。PSFと同様に、PMF達成にも必要なステップがあります。ここからは、PMFの達成に向けて必要なことを解説します。
MVP(Minimum Viable Product)
PMFを達成できたら、MVPを作成します。MVPとは「最小限の解決策を持った製品やサービス」のことです。
これは、単に機能が少ないという意味ではなく、PMFを達成するのに必要な最小限の機能を意味しています。
MVPを実際に使用してもらい評価を検証する
MVPを作成したら、その商品やサービスが顧客に満足してもらえるものになっているか実際に使用してもらいます。
顧客の反応を見ながら製品の機能を徐々に増やしつつ、ニーズに合った製品への完成を目指します。
検証と改善を繰り返す
顧客にMVPを使ってもらった製品の評価を計測します。数字で表せる分析できる定量的な評価だけでなく、意見など定性的な評価も集めましょう。
ポジティブなフィードバックもあれば、ネガティブなフィードバックもあることでしょう。しかし、ここで大切なのは「改善」なのでネガティブな意見も真摯に受け止めて活かし、ニーズに合った製品になるように検証と改善を繰り返します。
PMFを達成してスタートアップを成功させよう
スタートアップ事業に取り組むときは、その事業が成功するか不安はつきものです。顧客を満足させ、市場に受け入れられる製品を生み出すためにPMFは欠かせません。地道なステップを踏み、PMFを達成していきましょう。