EQとはどんな意味?高い人や低い人の特徴やビジネスに役立つEQのトレーニング方法も紹介!
EQとは、「Emotional Intelligence Quotient」の略で、日本語では「感情指数」「心の知能指数」と訳され、ビジネスシーンや人間関係の場面において「感情をうまくコントロールし、活用したり利用する能力」であると定義づけられています。
1990年にアメリカの心理学者ピーター・サロベイとジョン・メイヤーの両氏により研究された理論で、1995年IQでは解決できなかった人間関係や社会的なトラブルに至るまで解決につなげていける理論としてアメリカ全土で大ブームになり、その後EQ理論は日本にも上陸しブームとなりました。
当時の日本では「心の時代」と云われており、頭脳であるハードウェアがどれだけ優れていても、マインドというソフトウェアが整わなければビジネスや人生において成功や納得のいくことにはならない時代環境であるとされてきました。
今また私たちの感情コントロールや交流という観点が注目されています。
本記事ではそんなEQについて解説します。
EQとは
EQ(心の知能指数)とは、人間関係においての姿勢に重要な「感情の知能を測る指標」として、4つの効力を備えています。
1.感情を識別:自分や相手の気持ちや心もちなどの感情を読取ること
2.感情を利用:課題や目標に自分の感情を高めていくこと
3.感情を理解:喜怒哀楽など感情が出たことについて原因結果を理解すること
4.感情を調整:自分の感情をコントロールし、行動・発言を理解調整していくこと
EQは「自分と他者の感情を理解する」「認知し制御することができる能力」ともいえます。
EQとIQのちがいとは?
IQ(Intelligence Quotient)
→情報の認知・処理の検査ができ、数値化できる。
EQ(Emotional Intelligence Quotient)
→情動の認知・制御検査ができ、数値化できない。
様々な検査から実施されるIQに対し、EQには厳密な検査が決まっている訳ではありません。EQは認知や情報処理能力というより、人間関係において感情や情動を認知・コントロールする能力なので検査実施や数値化されにくいと位置付けられています。
EQが高い人に見られる特徴とは?
EQが高い人には、以下のような点としての特徴が考えられます。冷静で落ち着きがあり、素直に相手の話を傾聴します。また周りへの思いやりを発揮するため「感じが良い人」と印象をもたれるため、人間関係がとてもスムーズで争うことがほとんど起きません。
柔軟性を備えている
何事にも寛容で包容力があります。自分の価値観と違っていても柔軟に受け入れる心の広さがあります。さまざまな状況変化でも柔軟に対応し、上手く受容していく特徴をもっています。
共感力が高い
言葉だけではなく、態度・姿勢・表情などからも相手の感情を敏感に察し理解していきます。この対応力は相手側に立つことができ物事を考えられるチカラであります。相手には「思いやり、優しさ」として伝わるので周囲から慕われる傾向が強く出ます。
傾聴力を備えている
相手の話にじっくり耳を傾け、感情を察知しようとします。最後まで聞きいれ言わんとすることに探索します。また自分の感情は脇に置きながら客観的に相手の想いや感情を理解しようとしていきます。
ストレス耐性がある
相手の感情を察しつつ自分の感情も敏感に捉えています。感情を上手くコントロールするのでストレス耐性が高く保たれています。思いもよらない事や理不尽さなどに直面しても、自分の感情を的確にコントロールし処理することができます。ストレスを溜めず、冷静でいることができます。
素直さがある
自分の失敗や間違いには素直に非を認めていきます。言い訳や周りへの責任転嫁をしない自責の念があるのです。自分の非を詫び行動を改善していくことができます。
粘り強く取り組む
困難さにぶつかり挫けそうになっても諦めることなく集中力を発揮します。コツコツと根気よく物事に取り組み、大きな成果へとつなげていくことが出来ます。
EQが低い人に見られる特徴とは?
EQが低い人には、以下の5の特徴があると言われています。
①感情的で、怒りっぽい
自分の感情をコントロールすることが苦手で「気に入らないことがあるとすぐに怒る」といわれます。
人間の脳には「感情」と「理性」を司る部位があります。EQが低い人は「理性」を司る部位の活動が活発的でないといわれます。自分の感情の気持ち悪さを早く取り除こうとするために自分の感情がすぐ表情や態度に出たり、思い通りにならないと他者のせいにしたりする傾向があります。
②共感力が低く、人の話を聞かない
共感性が低いため、他人が持つ「話したい、伝えたい」という感情よりも、自分の「話したい、伝えたい」という感情や気持ちを優先させてしまいます。よくある例は、誰かが話をしている際にその人の話が終わらないうちから「否定的な反対意見」を話し始めることがあります。
ビジネスシーンで重要な意思決定をする時ならまだしも、友人にされたなら気持ちが落ち込んでしまいます。
③協調性に欠け、自己中心的
協調性に欠け、自己中心的な行動が目立つと言われています
他人の感情をくみ取ることが下手で、自分の感情を優先させてしまうので「人よりも自分が先」という意識が強くなります。周囲のことを気にすることなく自分勝手さが出てしまい、客観的には「協調性のない自己中心的な人」に思われてしまいます。
④柔軟性が無く、寛容さがない
人は誰でも初めてのことをする際はストレスを抱く傾向があります。それを乗り越えること人は成長を実感します。EQが低い人はこのストレスを受け入れることができません。
決められた対応で自分の常識の範囲内でしか発言・行動ができないのです。柔軟性に欠け受け止める度量の低さが出てしまいます。そのことは自己中心的な言動へとつながってしまます。
⑤責任感に欠け、愚痴が多い
自分の心情の気持ち悪さを感じることを嫌います。感情に違和感を覚えている状態でもあります。自分で責任を果たすという責任感に欠けるため、何かが起きた際には他責になります。一旦はやりすごしても後々に周りに不平不満や愚痴を言っているとしたら要注意です。
自分だけでなく周囲の感情をもコントロールしていく
EQが高い人は、チームの状態や周りの感情を察知し、同時に自身の感情をも認識します。それらの感情が発生する原因を探ろうとします。良くても悪くても原因が判れば対処していけるので、その場を良い方向に進められます。 また自分自身が困難さに立ち向かっていくときには、そのことを達成するイメージを持ちます。意欲を高めることでモチベーションも保たれ、あらゆる場面で良い成果を出すように目指します。このことはチーム内でリーダーシップを発揮していく重要な要素であるといえます。
EQの高め方
EQが高い人は企業やチームにとって貴重な人材となりそうです。そして、プライベートでは頼りがいのある存在といえるかもしれません。EQは先天的要素ではなく日々の意識の持ち方やトレーニングで養うことができるものであります。では、どのようにすればEQを高めることができるようになるのかについてご紹介をしていきます。
ビジネスにおいての高め方
現状把握
自分や周りの状態を把握することです。簡単なサーベイを使ったりして仲間のEQの在り方を確認し共有していきます。高得点の人の行動を分析し、好モデルとして共有していくことをおすすめします。
感情の動きなどパターンを理解する
行動は感情の動きのパターンであるといえます。自分の行動を修正したいと思い立った時に、その行動をした際の感情を思い起こします。その後その感情がでたら注意して行動すれば課題は解決していきます。感情による行動管理ができたといえます。
リーダーシップを発揮しチーム力向上をめざす
チーム力向上を目指しリーダーシップを発揮します。例としては、挨拶は自ら行う。周りへ労いの声をかける。承認賞賛をおこなう。など具体的に行動していきます。自分の行動がチームを鼓舞していくことにつながることを意識して行動します。
振り返りと改善
行動を決め実践し続けることから発生した変化について自身やチーム全体の状態を振り返りチェックします。良い変化となったことは継続し、良くない事象は原因を分析し改善を検討し再行動に移します。
プライベートでの高め方
自分の感情を認識する
どんな場面で喜怒哀楽や感情のアップダウンが出るのかを理解することです。
具体的にどのような言葉が出てしまうのかについてもわかっておっことは大切です。
感情をコントロールしていく
感情が沸き起こった際に深呼吸して時間を作ることで落ち着きが得られます。
メモを取ったり出来事を記したりして感情を落ち着かせることができます。
自分に効力感を持つ
マイナスな感情だけではなく上手くいくイメージのプラスな感情もイメージすることを描くことでモチベーションを得ることができます。
周囲への理解を示し共感する
人はそれぞれの個性を持っていることや性格も違うことを受け入れることで共感へと繋げます。互いを受容することでコミュニケーションが活性していきます。
社会性を身につける
挨拶や返事など言語的コミュニケーションや、表情や態度など非言語的コミュニケーションを時と場所に応じて使い分けていくことで社会性が保たれていきます。
繰返しチャレンジしていく
仕事の場面でもプライベートな場面でも繰り返し修正しながら実行し続けていくことが大切です。いずれの方法も「1回やっただけ」や「1つやっただけ」だと、EQの定着になっていきません。逆に、いきなり全部やっていこうとすると無理も出てきます。自分にとって始めやすいものから実施していくことをおすすめします。
色々と改善し継続的に続けることでEQが涵養されていきます。
まとめ
EQを高めることで、ビジネスが円滑になることは間違いないことです。それはEQの高い人が意識して行動することで、組織やチーム全体に好影響として派生していくこととなります。またEQは後天的な努力で備わっていくことになることも解っておきたいことです。一方では、日常生活でも家族、友人などとの良好な人間関係を構築できるようになります。そして何よりもEQは、人の感情を読み取るだけでなく自分の感情にも敏感になれるので、自分が精神的負担に感じていることにも気づきやすくなります。
ストレスの多い現代社会ですので、メンタル不調の予防策としても、少しずつEQを高めていくこともお勧めいたします。