ネット銀行のメリット・デメリットとは?口座開設前に知っておくべきポイント
ネット銀行は、インターネットがつながれば利用できて便利な一方で、デメリットも多くあるため、口座開設する前に内容を把握し、検討することが大切です。
ネット銀行のメリット・デメリットと選び方や比較のポイントをご紹介します。
ネット銀行とは
ネット銀行とは、インターネット上で取引を行う銀行のことです。
ネット銀行は、自行の実店舗やATMがない場合が多く、口座開設や振込、振替などの手続きをパソコンやスマートフォンで行います。
具体的には、楽天銀行やPayPay銀行、ソニー銀行などが挙げられるでしょう。
一般的な銀行との違い
ネット銀行と一般的な銀行との違いは、実店舗や通帳の有無などです。違いを表にまとめてみました。
ネット銀行 | 一般的な銀行 | |
実店舗・ATM | ・基本的にはない | ある |
・ATMは提携銀行やコンビニのATMを利用 | ||
営業時間 | 24時間365日 | 基本的に平日9時から15時 |
(システムメンテナンスの時間などを除く) | ||
通帳 | ・紙の通帳はない | ・紙の通帳はある |
・Webで履歴や残高確認が可能 | ・Web通帳にした場合、Webで履歴や残高確認が可能 | |
金利 | 一般的な銀行より高い | ネット銀行より低い |
振込手数料・ATM利用手数料 | ・一般的な銀行より安い | ネット銀行より高い |
・ネット銀行によっては複数回無料となるケースもある |
ネット銀行は自行の実店舗やATMを基本的にもたず、紙の通帳も発行されません。一方で一般的な銀行は自行の実店舗やATMがあり、Web通帳にしない場合は紙の通帳が発行されます。
また、ネット銀行はシステムメンテナンスの時間などを除き、24時間365日利用できますが、一般的な銀行は、基本的に平日の9時から15時が窓口の営業時間です。
そのほか、ネット銀行のほうが一般的な銀行に比べて、金利が高かったり、ATM利用手数料や振込手数料が安かったりする違いもあります。
ネット銀行とネットバンキングの違い
ネットバンキングとは、一般的な銀行が提供している、インターネット上で振込や振替などの取引ができるサービスのことです。
ネット銀行はインターネット上での取引を専門にしているのに対し、ネットバンキングは実店舗や自行のATMがある一般的な銀行が提供している点に違いがあります。
ネット銀行のメリット5選
ネット銀行を利用すると、下記のようなメリットを得られます。
・ネット上で申込からサービスの利用までが完結する
・24時間いつでも振込や照会ができる
・ATM利用手数料や振込手数料が安く抑えられる
・金利が高く設定されていることが多い
・ポイント付加などお得なサービスが受けられる場合も
ネット銀行の開設を考えている方は、どのようなメリットを得られるのか確認しましょう。
ネット上で申込からサービスの利用までが完結する
ネット銀行は、インターネット上で口座開設の申込からサービスの利用までが完結するため、銀行の店舗に行くのが難しい方などに向いています。
一般的な銀行を利用する場合、口座開設やサービスの利用には、店舗やATMへ行かなければならないため手間がかかります。
一方で、ネット銀行であれば氏名や住所などの必要事項を入力し、本人確認書類を写真に撮ってアップロードすれば口座開設が完了します。また、振込などのサービスもネット上で行えるため、自宅や職場にいても利用できるでしょう。
24時間いつでも振込や照会ができる
ネット銀行は、システムメンテナンスやトラブルがない限り、24時間365日利用できるため、自分の都合で振込や照会ができる点がメリットです。
人によっては、営業時間が設けられている一般的な銀行やATMに行くことが困難で、思うように手続きができないことにストレスを感じることもあるでしょう。
時間を気にせずに手続きを行えるネット銀行であれば、空いた時間に振込などの利用が可能です。ただし、振込をするタイミングによっては翌営業日扱いになるなど、その日に送金されないケースもあるため、利用するネット銀行の振込時間を事前に確認したり、余裕をもって手続きしたりすることをおすすめします。
ATM利用手数料や振込手数料が安く抑えられる
ネット銀行と一般的な銀行を比較すると、ネット銀行のほうがATM利用手数料や振込手数料を安く抑えられます。
例えばネット銀行である楽天銀行の場合、ATM利用手数料が無料~275円、振込手数料が楽天銀行口座宛は無料、他金融機関口座宛は145円です。(※令和5年9月現在)
一方で、一般的な銀行として三菱UFJ銀行を例に挙げると、ATM利用手数料が三菱UFJ銀行のATM利用時は無料~110円、提携ATM利用時は無料~330円です。振込手数料は、三菱UFJ銀行口座宛は無料、他金融機関口座宛は154円~220円かかります。(※令和5年9月現在)
ATM利用手数料や振込手数料は、銀行や利用するケースによって異なりますが、ネット銀行のほうが一般的な銀行よりも安い傾向です。
参考:楽天銀行「振込手数料・支払手数料:手数料一覧(個人口座)」
参考:三菱UFJ銀行「手数料一覧」
金利が高く設定されていることが多い
ネット銀行は、一般的な銀行よりも金利が高く設定されていることが多いです。
例えば、ネット銀行である楽天銀行の普通預金の金利は0.02%、定期預金は0.02%(期間1年・預入金額が100万円以上1000万円未満の場合)の一方で、一般的な銀行である三菱UFJ銀行の普通預金の金利は0.001%、定期預金は0.002%(期間1年・預入金額が300万円未満の場合)です。(※令和5年9月現在)
設定されている金利は銀行によって異なりますが、ネット銀行のほうが一般的な銀行よりも金利が高い傾向があります。
銀行によっては、年金受取口座として指定したり関連サービスを利用したりすると、金利がさらに高くなるケースもあるでしょう。
参考:楽天銀行「預金金利(定期預金他):個人口座」
参考:三菱UFJ銀行「円預金金利」
ポイント付加などお得なサービスが受けられる場合も
ポイント付加などのお得なサービスを受けられる場合があることも、ネット銀行を利用するメリットのひとつです。
例えば、取引や残高によって関連サービスのポイントが貯まりやすくなったり、入出金手数料や振込手数料の無料回数が増えたりします。
期間限定のキャンペーンなどでは、口座開設とデビットカードの利用や、口座開設と給与振込口座への指定などでキャッシュバックを受けられることもあります。
ネット銀行のデメリット6選
時間に縛られずに利用できたり、手数料が安かったりといったメリットがあるネット銀行ですが、次のようなデメリットもあるため注意が必要です。
・対面で問い合わせの相談ができない
・引き落とし口座や振込口座の指定に対応していない場合がある
・ネット環境下でしか利用ができない
・システムトラブルの際に利用ができない
・セキュリティ管理をより徹底する必要がある
・住宅ローンなどの審査がやや厳しい
ネット銀行の口座開設を考えている人は、デメリットも十分に把握しておきましょう。
対面で問い合わせの相談ができない
ネット銀行は基本的に実店舗がないため、対面での問い合わせや相談ができない点がデメリットとして挙げられます。
実店舗がある一般的な銀行では、わからないことや相談したいことなどがある場合に窓口に出向き、対面で相談できます。
一方でネット銀行の場合は、自分で調べるかメールや電話などで問い合わせなければならないため、対面で相談したい人は利用しづらさを感じるでしょう。
引き落とし口座や振込口座の指定に対応していない場合がある
ネット銀行によっては、利用しているサービスや公共料金などの引き落とし先に指定できない場合があるため、利用しているサービスの代金を引き落とせる金融機関を事前に調べておきましょう。
また、ネット銀行は給与振込口座としても指定できない場合があります。給与振込口座を開設する際には、勤務先に対象の金融機関を確認することが大切です。
ネット環境下でしか利用ができない
ネット銀行はインターネットがつながっている環境下でしか利用ができません。
そのため、インターネットがつながっていない環境や、つながりづらい環境では思うように利用できず、不便さを感じるでしょう。
システムトラブルの際に利用ができない
基本的に24時間365日利用できるネット銀行ですが、システムトラブルやメンテナンス時などには利用できない点に注意が必要です。
システムメンテナンスは事前にメールなどで案内が来ることもありますが、システムトラブルは突発的に起こり、ネット銀行が急に使えなくなることも考えられます。
ネット銀行を再び利用するにはトラブルの復旧などを待つしかなくなるため、出金や振込などの手続きはできるときにしておいたほうがいいかもしれません。
セキュリティ管理をより徹底する必要がある
ネット銀行を利用すると、ログインIDやパスワードを自分で管理する必要があります。他人に推測されづらいIDやパスワードを設定したり、忘れないように管理したりして、自分の資産を守りましょう。
また、フィッシング詐欺にも注意が必要です。フィッシング詐欺とは、偽サイトのURLを載せたメールなどを送り、ログインIDやパスワードを入力させてログイン情報を盗み、悪用する手口のことです。
怪しいメールやSMSが来たら、開かない、URLをクリックしないといった対策をしましょう。怪しいか判断が難しい場合は、ブックマークに保存している正しいURLや以前送られてきた正規のメール内のURLからログインすると、詐欺などの被害に遭うリスク回避につながるでしょう。
住宅ローンなどの審査がやや厳しい
ネット銀行は、住宅ローンなどの審査がやや厳しい傾向があります。一般的な銀行は、住宅ローンの借入の際に対面で相談してから審査をしますが、ネット銀行の場合は提出された書類のみで判断するため、判断材料が限定的です。
一般的な銀行のように相談者の人柄などを加味して判断されないことで、ネット銀行の住宅ローンなどの審査は厳しくなるといえます。
ネット銀行の選び方・比較のポイント
ネット銀行にはメリットとデメリットがありますが、デメリットを理解したうえでネット銀行を利用したいという方は、手数料や金利などを比較して、より自分に適したネット銀行を選ぶことをおすすめします。
ネット銀行の選び方と比較のポイントをご紹介します。
ATM利用手数料・振込手数料を比較する
ATM利用手数料や振込手数料は銀行によって異なるため、より安く抑えられるネット銀行を選ぶといいでしょう。
ATM利用手数料を比較する際は、提携しているATMも確認しておくことが重要です。例えば、家の近くにあるコンビニのATMと提携しているネット銀行を利用した場合、入出金の手続きが行いやすいと考えられます。
振込手数料に関しては、同一金融機関宛の振込は手数料が無料もしくは安価になるケースが多いため、例えば家賃の振込など、自分が毎月振込む金融機関と同一の金融機関で口座開設したほうが、出費を抑えられる可能性があります。
預金金利を比較する
ネット銀行によって預金金利は異なり、条件を満たすとさらに金利が上がるケースもあります。
預金金利を比較するとともに、自分が条件を達成できそうなネット銀行がある場合は、どの程度金利がアップするのかも確認したうえで、より高い金利で利用できるネット銀行を選ぶといいでしょう。
ポイント制度などのサービスで比較する
ネット銀行は、口座開設時にポイントがもらえるポイント制度や、取引状況に応じて月の入出金手数料やATM手数料が無料になるランク制度などを設けている場合があります。
期間限定のキャンペーンを行うネット銀行もあるため、自分にとってよりお得になるネット銀行口座を開設するとメリットが大きいです。
セキュリティ面で比較する
不正送金などの犯罪の被害に遭わないために、セキュリティ対策が十分になされているネット銀行を選ぶことが大切です。
例えば、ワンタイムパスワードや2段階認証が利用できるネット銀行の場合は、二重にセキュリティがかけられている状態といえるため、ログインIDやパスワードを悪意のある第三者に知られたとしても、被害に遭うリスクを抑えられるでしょう。
セキュリティ対策が施されているネット銀行を選ぶとともに、自身のセキュリティ管理も徹底することが、被害防止につながります。
自分に合わせたネット銀行を効果的に活用しましょう
ネット銀行には、インターネット上でいつでも手続きできるというメリットがありますが、利用先によっては給与振込口座に対応していないなどのデメリットもあります。
自分に合うネット銀行は、ネット銀行を開設する目的や取引状況によるため、まずは自身の目的や状況を把握することが大切です。把握できたら、ご紹介したネット銀行の選び方や比較のポイントを参考に、利用するネット銀行を選んでくださいね。
記事執筆や校正など文字に関わる仕事を幅広く行う元金融業のフリーライター。静岡県在住だけど岐阜県も大好き。戦国武将の推しは斎藤道三。(ブログ:https://enmojilaboblog.com/)