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投稿者:

エンモジ

ラポールとは?ビジネスや看護・福祉で役立つ信頼関係の形成方法について解説!

仕事をするにあたり、取引先や顧客、社内の人たちと信頼関係を築くことは、成果を上げたり円滑なコミュニケーションをとったりするために重要です。

 

相手と、「心が通い合う関係」を意味するラポールを形成できると、相手の悩みを引き出せたり、より親密になれたりする可能性があります。

 

営業などのビジネスシーンや看護、福祉業界でも活かせるラポールについて、意味やテクニック、ポイントを解説します。

ラポールとは

ラポールとは、「心が通い合う関係」「信頼し合える関係」を意味する心理学用語です。語源はフランス語で、「橋を架ける」という意味があります。

 

ラポールは、主にカウンセリングなどのセラピストとクライエントの信頼関係のことを指しますが、営業や福祉、看護の業界でも、顧客や患者との信頼関係が求められるため、ラポールの形成が重要といえます。

ラポールを築く意味・メリット

 

ラポールを築くことで、相手との信頼関係が生まれるため、相手の悩みや不安を聞き出せたり、意見を聞き入れてもらえたりする可能性があります。

 

人間は、相手との信頼関係ができていない場合、自分の悩みなどを打ち明けないと考えられます。一方で、ラポールが築ければ、心理的安全性から悩みや不安を話す可能性が高まるため、相手の心に寄り添えたり、ビジネスにおいては部下の悩み解決のためのアドバイスや人事異動などの対策を取れたりするでしょう。

 

また、ラポールの形成によって顧客の悩みを聞き出せれば、悩みを解決できる提案ができ、契約に至るなどして業績アップにつながったり、顧客からのリピート率を上げたりできるメリットがあります。

ラポールが役に立つ場面

 

ラポールは、心理カウンセリングなどの場面だけでなく、日常生活やビジネス、看護、福祉の場面でも活用できます。

 

例えば、ビジネスにおいては、顧客との信頼関係が形成できていないと、そもそも話を聞いてもらえなかったり、不信感から契約に至らなかったりする可能性が高いです。看護や福祉の場面では、患者の不満が分からず、対応の難しさを感じることもあるでしょう。

 

ラポールが形成できている場合は、相手が自分に対して信頼感を寄せてくれるため、良好な人間関係を築け、コミュニケーションも円滑になります。

ラポール形成の3原則

ラポールを形成するには、3つの原則があります。3原則を意識することで、相手とのラポールを形成できるようになるでしょう。

 

ラポール形成の3原則について解説します。

相手を肯定・尊重する

ラポールの形成には、相手を肯定・尊重することが大切です。相手を肯定や尊重していることを示すには、「傾聴」が求められます。

 

「傾聴」とは、相手の話に耳を傾けて、熱心に聞くことを意味する言葉です。例えば、相手の話に相槌を打ったり、質問を返したり、相手の感情に共感したりすることが「傾聴」といえます。

 

傾聴すると、相手は「話をきちんと聞いてくれている」「自分の感情が肯定されている」と安心するため、信頼感が高まります。

 

傾聴は、相手の意見に必ず同意しなければいけないというわけではありません。相手の感情に共感することと相手の意見に同意することは違う点に、注意しましょう。

類似性・行動の同調

人間は、自分と類似性がある相手に好意を抱くといわれています。例えば、出身地や出身校、趣味、特技などが類似していると、相手に好意を抱きやすいです。

 

また、行動が似ている場合も好感度が上がる可能性があるため、相手の身振りや手振り、話すペースなどを真似するとスムーズにラポール形成できるかもしれません。

 

相手との類似性を見つけるために、相手に関心を持ち、出身地や趣味などを話題に挙げたり、相手の様子を観察したりすると効果が期待できます。

 

一方で、相手との類似性を探すあまりに質問が不自然になったり、行動に同調しようと相手を見つめすぎて不快感を与えたりしないように注意が必要です。

ペーシングとリーディング

ペーシングとは、相手の話すペースや声のトーンに合わせることです。例えば、相手の話し方がゆっくりだった場合は自分もゆっくり話す、声のトーンが暗い場合は自分も暗いトーンで話すようにします。

 

相手は、会話のペースが合うことで「話しやすい」「自分のことを理解してくれている」と思うため、信頼感を寄せやすくなります。

 

リーディングとは、ラポールを形成した相手に変化を起こすためのアクションのことです。ラポールが形成できた相手は、こちらの言葉を信頼し、実行してくれる可能性があるため、こちらからの働きかけにより、自分の考えや価値観にとらわれない意識をもってもらいます。

 

例えば、生命保険なんていらないと思っている人とラポールを形成し、メリットの紹介や事例などを用いて、生命保険は重要だと感じてもらうようにリードすることが、リーディングです。

 

相手に対して最初からリーディングを行うと、意見を聞き入れてもらえない可能性が高いため、まずはペーシングを行い、ラポールを形成することが重要です。

ラポール形成のテクニック

ラポール形成には、ペーシングのほかにもさまざまなテクニックがあります。

 

いずれも難しくないため、日常生活やビジネスシーンで取り入れてみましょう。

ミラーリング

ミラーリングとは、相手の動作を鏡のように真似して、親近感を抱いてもらうテクニックです。

 

例えば、相手が髪を触ったら自分も髪を触ったり、飲み物を飲んだら自分も飲んだりします。ミラーリングは、相手と同時に行わず、数秒から数十秒遅らせて行なっても効果があるため、相手の動作に無理やり自分の動作を合わせなくても問題ないでしょう。

 

ミラーリングは、相手の動作を真似することで、相手からの好感度を高めるテクニックですが、真似していることが相手に知られるとマイナスな印象を与えてしまうため注意が必要です。

 

相手に真似が知られるリスクを低減するテクニックに、クロスオーバーミラーリングがあります。クロスオーバーミラーリングとは、相手と同じ動作ではなく、類似した動作をするテクニックのことです。例えば、相手が髪を触ったら自分は頬を触ったり、相手が料理を食べたら自分は飲み物を飲んだりなど、相手の動作と類似した動きをします。

 

クロスオーバーミラーリングもミラーリングと同様の効果を得られると考えられるため、ミラーリングとともに使ってみるといいでしょう。

キャリブレーション

 

キャリブレーションは、相手の表情や声のトーンなどから、相手の感情や状態を読み取るテクニックのことです。

 

例えば、新商品の説明をしている際に、相手が「分かりました」と言いながらも困惑した表情だった場合は、内容を理解しきれていないことが考えられます。そのまま契約に進もうとしたり、さらに説明を加えたりすると、ラポールを形成できず、成果につながらない可能性が高いです。

 

相手の言葉以外の情報から相手の状態を読み取り、補足説明を行なったり、質問はないかを聞いたりなど、相手に合わせたコミュニケーションに変え、相手に「自分のことを分かっている」と思ってもらうことが、ラポールの形成に近付きます。

マッチング

 

マッチングは、相手の声のトーンやテンポ、声量、リズムなどの聴覚情報に合わせるテクニックです。マッチングは、ペーシングと似たテクニックですが、相手の話すペース以外も意識することが求められます。

 

相手の声のトーンや声量に合わせて話すことで、相手に話しやすさを感じてもらえるでしょう。

 

一方で、クレーム対応のときなどは、相手と反対の話し方をするテクニックもあります。例えば、相手が早口で怒鳴っている場合は、ゆっくりとした口調で冷静に話をすると、相手のペースを自分のペースに引き込め、怒りを静められる可能性があります。

状況に応じて、マッチングのテクニックを使い分けるといいかもしれません。

バックトラッキング

バックトラッキングは、相手の言葉をそのまま返すテクニックで、「オウム返し」とも呼ばれます。

 

例えば、相手が「嬉しかった」といった際には「嬉しかったんですね」と相手の言葉を返します。相手の言葉をそのまま返すことで、相手は「自分の話をきちんと聞いてくれている」と感じ、信頼感を高めるでしょう。

 

バックトラッキングの注意点は、相手の言葉を自分の言葉にしないことです。例えば、「嬉しかった」という相手の言葉を「最高ですね」「気持ちいいですね」と自分の言葉に変えてしまうと、相手の気持ちと合っていない恐れがあり、「理解してくれていない」と不信感を抱かれるかもしれません。

 

バックトラッキングと似たテクニックに、ミミッキングがあります。ミミッキングは、相手の語尾の2、3語を繰り返すテクニックです。

 

例えば、「先日娘の結婚式があってね」「娘さんの結婚式があったんですか!式場はどこですか?」「〇〇という結婚式場で、広くてきれいなチャペルだったよ」「きれいなチャペル、素敵ですね。私も〇〇で式を挙げたいです」のように、言葉を繰り返して会話をします。

 

バックトラッキングもミミッキングも、あまり多用すると相手に真似されていることが知られて、不快感を与える恐れがあるため、間を空けて活用するようにしましょう。

ラポール形成のためのポイント・注意点

ラポールを形成し、相手と良好な人間関係を築くためには、ポイントや注意点を踏まえたアクションが大切です。

 

ラポール形成のためのポイントと注意点を解説します。

相手を否定しない

ラポールを形成するためには、相手を否定しないことが大切です。相手の言葉に対して、「でも」「しかし」「だって」「違います」などの否定の言葉を使うと、相手は自分のことを否定されたと感じて、信頼関係を築きづらくなります。

 

人間関係が負の状態にあることを「アンチラポール」といいますが、相手を否定するとアンチラポールの状態になりやすく、相手にとってメリットのある話でも拒否される恐れがあります。

 

そのため、相手と違う意見を持っている場合でも、否定せず、まずは相手を肯定し、受け入れたうえで、意見をすり合わせていくことが重要です。

相手の価値観や傾向を知ること

相手とコミュニケーションを取る際には、まず相手の価値観や傾向を知ることを意識しましょう。

 

相手の価値観や傾向を見極めずに話を進めたり、テクニックを使ったりすると、相手と円滑なコミュニケーションを取れず、ラポール形成が遠のくかもしれません。

 

そのため、まずは相手をよく観察し、言動や声のトーンなどから相手のことを知ったうえで、信頼関係を築くことをおすすめします。

不自然にならないように

ミラーリングやバックトラッキングなど、ラポール形成に役立てられるテクニックは、不自然にならないように活用することが大切です。

 

ミラーリングやバックトラッキングは、相手の言動を真似するテクニックのため、真似に気付いた相手が不快感や不信感を抱く恐れがあります。

 

ラポール形成のテクニックは多用したり、無理に使ったりしないで、相手と自然なコミュニケーションを取りながら適度に活用していきましょう。

ラポール形成で人間関係を円滑に

ラポールとは、「心が通い合う関係」「信頼し合える関係」を意味する心理学用語で、ミラーリングやキャリブレーションなどのテクニックを活用するとラポール形成を促進できます。

 

相手とのコミュニケーションが初期段階の場合は、相手の話を傾聴したり、価値観や傾向を見極めたりすることを意識すると、信頼感向上に効果的でしょう。

 

余談ですが、自分の感情を相手と共感し合うことで信頼関係を築くことを重視した話し方をラポールトークといい、女性に多い話し方といわれています。一方で、情報を客観的に正しく伝えることを重視した話し方をレポートトークといい、男性に多い話し方といわれています。

 

男女の話し方の傾向を意識してコミュニケーションを取ると、より良好な人間関係の構築につながるかもしれません。

 

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