ピラミッドストラクチャーとは?具体例やロジックツリーとの違いを解説
誰かを説得しようとして、「話が回りくどい」「何が言いたいのか分からない」と言われたことはありませんか?こうした場合は、ピラミッドストラクチャーを利用することでロジカルに相手を説得することができます。
ここでは、ピラミッドストラクチャーの作成方法や具体例を紹介するとともに、ロジックツリーとの違いについても解説します。
ピラミッドストラクチャーとは
ピラミッドストラクチャーとは、一番上に結論を置き、要点と根拠がそれを下支えする構造のことです。下に行くほど積まれた石が多くなっていくピラミッドの形状に似ていることから、こう呼ばれます。
ピラミッドストラクチャーは結論と根拠を明確化するテクニック
ピラミッドストラクチャーでは、
A.結論
↓
B.Aの要点(2階層目)
↓
C.Bの根拠(3階層目)
↓
というように、下部のグループが上部のグループをサポートするものになっています。同じグループ内の根拠は、性質的な繋がりがあるものを集めます。
この構造に沿って話をすることで、結論を体系立てて考える助けとなり、結果的に結論に説得力を与えてくれるのです。
ロジックツリーとの違い
ピラミッドストラクチャーとロジックツリーは、どちらもロジカルシンキングを使用する手法という点は共通しています。しかし、使用目的が異なります。
ピラミッドストラクチャーは、主張を分かりやすく説明し、相手に納得してもらうために使われます。構造は「主張と根拠」の上下関係となります。
一方ロジックツリーは、問題を分析し、原因を突き止めることで解決策を求めるために使われます。構造は「物事とその構成要素」の横並び関係になります。
ピラミッドストラクチャーのメリット
ピラミッドストラクチャーを使って話を進めるようにすると、仕事や人間関係に大きなメリットがあります。主なメリットには以下のようなものがあります。
議論がスムーズに進む
仕事の会議でも夫婦間の話し合いでも、お互いの主張をぶつけ合うだけでは有意義な結論は出ません。そこでピラミッドストラクチャーを使用すると、主張ではなくその下部にある根拠について話し合うことができます。
その主張には根拠があるのか、その根拠は的を射たものか、と掘り下げていく中で、お互いの主張の解像度が上がります。そうすると共通点が見えて主張のすり合わせがしやすくなったり、矛盾が露呈しやすくなったりします。これにより、議論をスムーズに進められるようになります。
提案が相手に伝わりやすく説得力が増す
プレゼンの場であれば結論から述べ、その下部にある根拠を順序立てて話すことで、トピックについての知識が浅い人でも話について来やすくなります。
対話形式であれば結論を先に述べた上で、相手からの質問に沿って根拠を示していきます。疑問に対しての回答をしっかり得られているという印象を相手に与えられるため、結論についての説得力が増すでしょう。
自分の意見や考えを整理できる
自分が主張したいことを念頭に置き、それをサポートする根拠を探していく過程で、主張のウィークポイントを洗い出し、潰していくことができます。ピラミッドストラクチャーを作成する過程で理論武装ができるのです。
議論の本質をとらえることができる
ピラミッドストラクチャーは結論と根拠から構成されているため、個々の感情や印象といった漠然とした要素を排除し、ダイレクトに議論の本質に迫る助けとなります。
ピラミッドストラクチャーの5段階の作り方
ピラミッドストラクチャーは、以下に示す5つのステップで作成できます。今日から早速実践してみましょう。
➀論題に対する主張を明らかにする
話し合うべき論題にしっかり沿って、自分が主張すべきことを明確にします。例えばある酒蔵が「売り上げを伸ばしたい」という論題を持っているとします。この状況で固定費を削る主張をしても的外れになってしまいます。論題をしっかり理解して主張を考えましょう。
➁フレームワークを決める
上の論題に対して「自社は海外輸出事業に参入すべき」という主張をしたいとして、この主張を展開するための要点を設定します。このステップを「フレームワーク(枠組み)作り」と呼びます。
フレームワークを決める際に重要なのは、論題の背景と前提を見極めることです。この場合は売り上げアップが目的ですから、「日本文化が人気」というような壮大な要点を設定しても説得力はありません。ここでは「有力な競合他社が存在しない」(競合の状況)、「海外での日本酒市場の拡大」(市場の状況)、「現在の物流パートナーを生かせる」(自社の状況)などが好適でしょう。
③情報を集めグループ分けする
フレームワークを決めたら、それに関する情報を収集していきます。ここでは競合他社のシェア率、物流パートナーの海外事業の内容、海外での日本酒消費量の伸び率などが有用な情報に当たります。
ジャンルを問わず、様々な分野から集めてみましょう。次に、収集した情報を設定した要点に沿ってグループ分けします。
④情報から根拠を抽出する
収集しグループ分けした情報から、要点の根拠になりそうなものを選び、振り分けていきます。さらに第一階層の根拠の下に第二階層の根拠を振り分け、ここでピラミッドの階層を作成していきます。
ここでの情報は単なるデータではなく、そこから読み取れる意味や解釈を加えるといいでしょう。
⑤論理の正当性を確認する
最後に、グルーピングが適切かどうか、縦のつながりにこじつけがないかを確認し、説明する際に矛盾点を突かれないように確認していきます。
ここでは例えば、輸出のコストが滞在的ニーズを上まわらないか、といった点に気を配るべきです。
ピラミッドストラクチャーのビジネスでの具体例3選
最後に、具体的なピラミッドストラクチャーの例を3つご紹介します。ここでは枠組みとしてマーケティングの「3C」−市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)−を使っています。
➀生産管理にAIを導入すべき
最初に、「生産管理にAIを導入すべき」という主張を展開するためのピラミッドストラクチャーをご紹介します。主張の下部に来る根拠は「人件費の削減」(自社)、「他社との差別化」(競合)、「顧客満足度」(顧客)の3Cのフレームワークに従っています。
➁宣伝広報にWEB広告を取り入れるべき
次は、「宣伝広報にWEB広告を取り入れるべき」という主張を展開するためのピラミッドストラクチャーです。主張の下部に来る根拠は「デジタルネイティブの社員の割合」(自社)、「他社での成功例」(競合)、「顧客層の拡大」(顧客)です。
③社員の副業を認めるべき
最後に、「社員の副業を認めるべき」という主張を展開するためのピラミッドストラクチャーをご紹介します。主張の下部に来る根拠は「転職率の抑制」(顧客−ここでは社員)、「業界のトレンド」(競合)、「リソースの充実」(自社)です。
まとめ
一見複雑そうなピラミッドストラクチャーですが、基本的にはまず結論(主張)を示し、その下にそれを構成する要点、その下にそれを支える根拠を挙げていけばいいことがお分かりいただけたでしょうか。
会社でのプレゼンや上司の説得、またはプライベートの人間関係まで、さまざまな場面に応用して使用してみてください。