#6 竹の恵みで自然派アウトドア|プリマリのシソンヌノート
アウトドアで自然のすばらしさを体験するはいいけれど…
コロナ禍をきっかけに、外で楽しめるキャンプやBBQがこれまで以上に脚光を浴びるようになり、その人気はアフターコロナと言われる今でも続いています。筆者もそれに乗っかってみた一人で、何回かコテージやテントに泊まり、炭で火を起こしてBBQをして自然のすばらしさを体感しました。
そこで出てきた疑問が一つ。「せっかく自然のすばらしさを体感したくて山奥or海辺のキャンプ場まできて、プラコップや紙皿のゴミを出していては、自然を楽しみながらもこのエリアにゴミを持ち込んでいるだけなのでは」という思いがふつふつと沸き上がってきました。
この思いから、ゴミを少なくするため、普段使っているコップやお皿を持っていくようにはしてみたものの、食器を洗う際に水が汚れてしまうよね…、ごみを持ち帰るのも根本的な解決策ではないよね…などと沸き上がった疑問は消えないまま。普段はそこまで環境について意識するタイプなのではないのですが…。
人間がその場に行って生活の営みをすると、何かしらは自然に悪い影響を与えてしまいますし、それを気にしすぎると生きてはいけなくなりますが、最小限の影響でとどめながら楽しめたら一番良いよねという気持ちでいました。
竹をテーマにしたキャンプに参加
そんなとき、友達から「竹で遊びつくすキャンプをやろう」との誘い。詳しく聞いてみると、どうやらその友達の友達が竹林を持っていて、竹もタケノコもどんどん生えてきて困るからぜひ使ってほしいということでした。
また、竹林の真ん前にはキャンプ場をつくったので泊まることも可能とのこと。これはアウトドアをするときに感じる疑問の答えが見つかるのでは…と思い参加してみました。
着いたらまずはタケノコ掘り。4月下旬に参加したのですが、その数日前には雨が降っていたといい、まさに雨後のタケノコ状態。いくらでもとれました。そして、枯れて水分の抜けた木の枝に火を付け薪として活用、友達の友達が所有する井戸の水を沸騰させてあく抜きをします。
竹で飯ごうも皿もコップも箸も手作り
あく抜きの間には竹を使ったご飯づくりに挑戦。両端が竹の節目の外になるように切り、のぞき穴を作って中に米と水を流し込んで火にかけるだけ。30分ほどで炊き上がりました。
食器も自分たちで作ります。食器づくりと聞くと、大変なことをイメージする方もいるかもしれませんが案外簡単でした。
まず、どの部分を皿にするかを決め、竹の節目がそれぞれ外になるように切るだけ。炒め物等をのせるだけであれば、節目の内側を切っても◎。切るのは最初こそ少し力がいりますが、竹は中が空洞になっているため、木と比べるとずいぶん簡単に切れます。半分に割るのはもっと簡単で、ナタで割れ目を入れた後、その部分にナタを当てて金づちで打てばパックリと割れます。
箸も竹で手作りできます。竹を割って細い棒を2本作り、先を彫刻刀で削れば出来上がり。コップは片方を節目の内側、片方を外側に切るだけ。一瞬で完成です。
竹で作ったご飯やタケノコを竹にのせて食べる
そうこうするうちにタケノコがゆで上がり、竹ご飯もできました。タケノコは刺身&回鍋肉に。竹ご飯はほんのり竹の香りがしましたが想像よりも白米の味を楽しめました。
普段の食事中は、取り皿が足りなくなったら、自分で取りに行くor「取り皿ちょうだーい」の2択ですが、この場では「竹を割りに行き自分で調達」が唯一の正解。そして使い終わった食事は、食事後の焚き火タイムの燃料にしてなきものに。後に残ったのは少しの灰とたくさんすぎる思い出だけでした。
燃やすと二酸化炭素が…などもいろいろとありますが、その土地でとれたものをその土地で使って食べて、その土地で処理するという経験はなかなかできないので、これまでのキャンプ以上に「自然を堪能できた―」という気持ちになれました。
竹キャンプは「キャンプしても良いよと言ってくれる知り合いがいる」という条件等に当てはまらないと実施することはできませんが、もし知り合いに竹林を持っている方がいれば(岐阜県内だと結構いると思います)、1本だけもらって、食器と飯ごうづくりだけでもしてみれば、アウトドアの新たな深みを知れると思います。