宝くじに税金はかかる?かからない?|税金がかかる場合の注意点を解説します
「もしも宝くじで高額当せんしたら……」
宝くじの高額当せんは、誰もがワクワクしながら考えることだと思いますが、宝くじに当せんした場合の税金について、「税金としてたくさん引かれるんじゃないか」と不安がよぎる人もいるかもしれません。
宝くじの当せん金は原則として非課税ですが、税金がかかるケースもあるため、せっかくの当せん金が税金として引かれてしまわないように、注意点を確認しておきましょう。
宝くじの当せん金に税金がかかるケースや注意点、宝くじの仕組みについてご紹介します。
目次
宝くじの当せん金は原則として非課税
宝くじの当せん金は原則として非課税です。
宝くじの当せん金が非課税な理由と、一時所得として課税されるものをご紹介します。
確定申告は不要、翌年の心配をしなくてもOK!
宝くじの当せん金は原則として非課税のため、翌年の確定申告は不要です。
「当せん金付証票法」という法律で、「当せん金品については、所得税を課さない」ことが記載されています。
一時所得として課税されるもの一覧
一時所得とは、働くことによって継続的に得る所得や、資産の譲渡などによって得る所得以外の一時的な所得のことです。
例えば、次のようなものが一時所得として挙げられます。
- 懸賞、福引きの賞金品
- 競馬や競輪の払戻金
- 保険の一時金や満期返戻金等
- 法人から贈与された金品
- 遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
前述のように、宝くじは非課税のため、一時所得には該当しません。
宝くじは購入時に課税されている
宝くじは、購入時に課税されている仕組みです。
宝くじは、総務省の許可を得た発売団体(全都道府県および全指定都市)が、受託銀行に発売を委託して販売されています。
宝くじの売上は、当せん金(発売総額の5割以下)、売りさばきや当せん金品の支払い等の手数料、印刷・宣伝費等、社会貢献広報費として使われ、余った額が発売団体である地方公共団体の収益金となり、高齢化少子化対策や災害対策などに充てられます。
例えば、令和2年度の宝くじ売上額の内訳の実績は、当せん金47.0%、地方公共団体の収益金37.2%、売りさばきや当せん金品の支払い等の手数料7.0%、印刷・宣伝費等7.3%、社会貢献広報費1.4%でした。
地方公共団体の収益金が「税収」とみなされるため、宝くじの購入時にすでに課税されているといえるでしょう。
参考:宝くじ(総務省)
参考:宝くじ受託業務について(総務省)
参考:地方財政審議会付議(説明)案件(総務省)
宝くじの当せん金に税金がかかるケース
宝くじの当せん金を受け取ることに関しては税金がかかりませんが、受け取った当せん金の扱いによっては税金がかかるため注意が必要です。
宝くじの当せん金に税金がかかるケースを解説します。
当せん金を贈与、分配した場合〈贈与税〉
当せん金を他者に贈与や分配した場合は、贈与税がかかります。贈与税とは、個人から贈与によって財産を取得したときにかかる税金のことで、納税義務が生じるのは贈与された側です。
贈与税の課税方法は、「暦年課税」と「相続時精算課税」があり、暦年課税の場合、1月1日から12月31日までの1年間に110万円(基礎控除額)を超える贈与を受けると、超えた額に対して課税されます。また、贈与税の税率は10~55%、基礎控除額以外の控除額は10万円から400万円であり、対象となる金額によって異なります。(「一般贈与財産」の場合)
例えば、7億円の当せん金を全額贈与する場合の贈与税額は、次のとおりです。
【計算方法】(暦年課税:一般贈与財産の場合)
{7億円-110万円(基礎控除額)}×55%(税率)-400万円(控除額)=3億8千39万5千円(税額)
よって、7億円を贈与された人は、7億円の半額以上を贈与税として納めなければいけません。
18歳以上の者が直系尊属から贈与された場合は、特例贈与財産として贈与税額が求められ、一般贈与財産よりも金額に対する税率が低かったり、控除額が大きかったりするケースもあります。
相続時精算課税は、60歳以上の父母または祖父母から18歳以上の子や孫へ贈与できる制度で、1月1日から12月31日までの1年間で贈与された合計額から特別控除額2500万円を差し引いた残額に対して贈与税がかかります。
参考:No.4402 贈与税がかかる場合(国税庁)
参考:財産をもらったとき(国税庁)
当せん金を貯金し、相続が発生する場合〈相続税〉
当せん金を受け取った人が当せん金を使わずに貯金して亡くなった場合、相続によって相続税がかかります。
相続税として課税されるのは、基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)を超えた相続財産です。
相続税の税率は10%~55%、基礎控除額以外の控除額は50万円から7200万円で、法定相続分に応じた取得金額によって異なります。
当せん金で購入したものに対しては通常通り税金が発生します
当せん金で購入したものに対しては、消費税や自動車税、固定資産税などの税金が発生します。
宝くじの当せん金の受け取りに関しては非課税ですが、使用して物や自動車、住宅などを購入した場合は通常通り課税されるため、税負担がなくなるわけではありません。
宝くじの当せん金を分配したいときは「共同購入」で
宝くじの当せん金を受け取った人が他者に分配すると贈与とみなされ、贈与税の対象となる恐れがあります。
そのため、宝くじの当せん金を分配したい場合は共同購入し、当せん金の受け取り時も共同購入者と一緒に行きましょう。受け取りの際に、共同購入したから個々に当せん金を受け取りたい旨を伝えると、それぞれの口座に振り込まれるため、贈与ではなくなります。
必ず「当せん証明書」を発行してもらいましょう
当せん金の受け取り時には、「当せん証明書」を忘れずに発行してもらいましょう。当せん証明書とは、宝くじに当せんしたお金であることの証明です。
当せん証明書は、高額のお金が動いたことで税務調査が入った場合などに、「宝くじで当選したお金」であることを証明できるため、いらぬ疑いをかけられなくなるでしょう。
まとめ
宝くじの当せん金は非課税ですが、当せん金の扱いによっては贈与税や相続税などの税金がかかるため、どのような税金がかかる恐れがあるのかを把握しておくことが大切です。
宝くじの当せん金を複数人で分配したい場合は、共同購入し、当せん時には購入者全員で当せん金を受け取りに行きましょう。税務調査をスムーズに終えるために、当せん証明書の発行を忘れないようにしてくださいね。
記事執筆や校正など文字に関わる仕事を幅広く行う元金融業のフリーライター。静岡県在住だけど岐阜県も大好き。戦国武将の推しは斎藤道三。(ブログ:https://enmojilaboblog.com/)