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投稿者:

ZYAO22編集部

【れとりっぷ】岐阜県美濃市まち歩き うだつの上がる町並みを散策、美濃和紙グッズに紙すき体験 

戦国時代を語る上で外せない地・岐阜県。多くの城跡や武将の生きざまを感じられる史跡が数多く残されていることから、戦国観光には最適です。くしくも新型コロナウイルス感染症の影響で、「近場」「屋外」「ふらっと行ける」旅がちょうど良い昨今。この機会に、地元の魅力を、岐阜新聞女子ネットのメンバーらと“再発見”してみませんか。今回は美濃市を旅しました。

 

金森長近が手掛けた小倉山城と城下町 美濃和紙の発展、うだつの上がる町並みの礎に

 

豊臣秀吉の命を受けて1585年に飛騨を平定した金森長近は、関ケ原の戦いでは徳川家康について武功を上げたことから、戦後に恩賞として飛騨国に加えて美濃国上有知(現在の美濃市の一部)などを与えられました。このとき、長近は70代。高山城は養子の可重に譲り、1605年に上有知の小倉山(160m)に隠居のために城を築きました。

 

 

山に城を築く場合、山頂に城館を建てて「山城」とする場合が一般的ですが、小倉山城は山麓に建てたため扱いとしては「平城」です。すぐ北西には長良川が、また築城時には南側に細い川があったため、天然の堀として機能しました。城の規模は未だ明らかになっていませんが、現在の小倉公園の上の広場が本丸、下の広場が二の丸、図書館のある所が三の丸であったと考えられ、山頂に天守はなかったとされています。

 

 

長近は隠居と言えど、高山や越前大野(福井県)で城下町整備に携わってきたまちづくりの“スペシャリスト”として、上有知でも手腕を発揮。2つの大通りを4つの小道がつなぐ「目の字型」に整備し、国重要伝統的建造物群保存地区に選定されているうだつの上がる町並みの礎をつくりました。長良川には上有知湊を造り、のちに和紙を中心にさまざまな物資が運搬される水運の拠点となりました。

 

長近は築城からほどなくして没し、上有知は実子の長光に相続されました。しかし長光は1611年に亡くなったことから小倉山城は廃城となりました。

 

 

小倉山城跡は現在、小倉公園として整備され、遠足スポット、お散歩スポットとして市民に愛されています。本丸のあったであろう場所に残された現存する石垣の上には、1988年に角櫓が建てられ、公園のシンボル的な役割を果たしています。角櫓は一時期、ステージとして使われていました。小動物園もあり、今年3月にはマーラとアヒル、コールダック等が仲間入りしてさらににぎやかになりました。

 

山頂には天守の形をイメージした展望台があり、現存する日本最古の近代つり橋として国重要文化財にも指定されている美濃橋付近からでもよく見えます。

 

まち歩きの際はうだつに注目

 

うだつの上がる町並みを散策する際、チェックすべきは城下町中心部の目の字通りに19ある「うだつ」です。城下町一帯は江戸時代、幾度もの火災に見舞われたことから、防火壁として「うだつ」が造られるようになりました。屋根の両端だけ少し壁を高くし、そこだけでも板葺きではなく瓦葺きにして燃え移りにくくすることで、家財道具を持って逃げる時間を生み出したと言われています。

 

 

当時、瓦屋根は高価だったことから、「うだつを上げている建物=お金持ち」と言われるように。富の象徴となったことで、うだつ飾りはだんだんと豪華になっていきました。

 

 

うだつの上がる町並みのシンボルの一つ、旧今井家住宅・美濃史料館のうだつはいたってシンプル。その理由は「300年ほど前のもので、どこよりも古いため。明治初期のものは派手で豪華です」と古川英孝館長は話しています。

 

旧今井家住宅の中もおすすめポイントがいっぱいです。日本の音風景100選に選ばれた水琴窟の音色を聞いたり、灯籠やタンス、柱などに隠れたハートを探したり(本当はハートではなく縁起物とされている猪目です)という女子っぽい楽しみ方ができます。

 

うだつの上がる町並みで和紙

 

うだつの上がる町並みには和紙に関連したお店はいくつかありますが、職人の手さばきを見るには「らんたんや」がおすすめです。市内唯一の提灯屋「幅商店」のアンテナショップで、店主の加納英香さんが、木でできた提灯型をくみ上げ、回しながらひごを巻き、美濃手すき和紙を張っていく様子を見学することができます。

 

 

黙々と作業しているのではなく、解説してもらえるのもポイント。加納さんの言葉の端々に職人魂や美濃和紙への深い愛情を感じます。

 

 

かわいらしいペーパーアイテムを探すなら、美濃和紙、紙文具製品の老舗メーカー「古川紙工」のアンテナショップ「紙遊」がおすすめです。

 

雑貨屋巡りが好きな方ならきっと見たことがあるであろう「そえぶみ箋」は古川紙工の大ヒット商品で、今年で15年目を迎えます。そえぶみ箋を見てみるもよし、カラフルでかわいらしいメモ帳やカードを探してみるもよし。

 

10、11月には美濃和紙あかりアートが町並みを照らす

 

美濃市の秋を語る上で外せないのが美濃和紙あかりアート展です。29回目となる今年は109日から1130日まで、うだつの上がる町並み一帯で開かれます。全国各地から寄せられる力作の数々が町並みと調和する一大イベントで、開始を待ちわびているファンも多いです。

 

美濃和紙あかりアート館では、過去の入賞作品を展示しており、幻想的な雰囲気が1年中楽しめます。和紙の強さ、繊細さ、自由さ…それぞれの視点で独創的に作り上げた力作の数々はずっと見ていても飽きません。

 

徳川家康に重宝された美濃和紙

 

美濃和紙の歴史は古く、1300年の歴史があります。戦国時代においても武将の間でやり取りされた書簡にも美濃和紙が使われていました。関ケ原の戦いで徳川家康は、美濃の紙すき職人・彦左衛門らにすかせた采配を手に出陣。見事天下をとれたことから、美濃和紙は幕府御用紙として重宝されました。

 

美濃市は紀州東照宮(和歌山市)の史料を基に2017年度に采配の復元に成功。2つ制作し、一つは美濃和紙の里会館に、もう一つは関ケ原古戦場記念館で展示されています。

 

美濃和紙をすいてみた!

 

美濃和紙の里会館では、ユネスコ無形文化遺産の本美濃紙についてや、美濃和紙の歴史や製造工程、紙すきの道具などをわかりやすく紹介しています。

 

和紙について学ぶなら実際にすいてみるのがおすすめです。地下1階で体験でき、美濃判、落水もみじ、落水紙、はがきのコースの中から選べます。れとりっぷ取材班は、レースのような風合いでかわいらしい落水紙づくりに挑戦。コウゾとトロロアオイと水が入ったすき舟の中で、すけたを動かしてすきあげ、シャワーをかけて模様をつけていきました。なかなか感覚がわからず苦戦しましたが、スタッフさんのサポートのおかげで満足いく出来に仕上がりました。どこに飾ろうか考え中です。