Z世代が重視するタイパ(タイムパフォーマンス)とは?意味や注目の背景などを分かりやすく解説
Z世代(1995年前後〜2010年前後生まれ)の間では、「タイパ」が重視されています。Z世代より以前の世代では、この言葉を知らない人もいるかもしれません。
この記事では、タイパにまつわる基本的な情報から、タイパを日常生活に活かす方法までをカバーしていきます。
目次
「タイパ」とは
「タイパ」とは「タイムパフォーマンス」の略で、かけた時間に対して得られる満足感や成果を表す言葉です。ある行動にかける時間をなるべく短くしながらも、通常と変わらない満足感や成果を得られると、「タイパがいい」ことになります。
例えばビジネス書を読む際、すべての項目に目を通すのではなく、必要だったり興味がある箇所だけ選んで読むことも、タイパを意識した行動と言えます。
「コスパ」との違いは
よく耳にする「コスパ」とは「コストパフォーマンス」の略で、かけたお金に対して得られる満足感や成果を表す言葉です。「タイパ」がかかる時間を重視しているのに対し、「コスパ」はかかるお金を重視しています。
コスパの悪さとタイパの良さが同居する行動もあります。一部のテーマパークなどで導入されている「行列スキップチケット」がその一例です。これを購入すると、同じ体験をするのに他の人より多くお金がかかりますが、待ち時間が短くて済むため、時間を圧倒的に節約できます。
タイパが注目された背景
Z世代がタイパに注目するようになったのには、90年代半ば以降の社会的な変化が背景にあります。複数の要因がある中でも、最も影響が大きい変化は以下の2つが挙げられます。
デジタルコンテンツの普及
Z世代には、「デジタルネイティブである」という他の世代には見られない特徴があります。
デジタルネイティブとは、物心ついたときからインターネットに容易にアクセスできた人たちのことです。
幼少期からSNSや動画サブスクなど様々なデジタルコンテンツに囲まれているZ世代ですが、すべて手当たり次第に消費するわけにはいきません。
こうした環境の中、なるべく短い時間で有益な情報を入手しようという姿勢が育まれ、「タイパ」を重視する傾向に繋がったと推測されます。
価値観・意識の変化
高度経済成長期やバブル期などには、長時間労働を美徳とする風潮がありました。しかしZ世代は仕事にやりがいを求めず、経済的な豊かさよりも「プライベートの時間」を大切にする価値観が強いとされています。
プライベートの時間をしっかり確保し、好きなことに使うためには、仕事を短い時間で効率良く終わらせる必要があります。
こうしたニーズからも、「タイパ」が注目されるようになったと考えられます。
タイパを意識した日常の中での行動例
タイパを重視するZ世代は、日常の中で様々な工夫をしています。特に広く実践されているのが、巷に溢れるデジタルコンテンツから自分に必要な情報だけを取捨選択する方法です。
ここでは具体的な例を見ていきましょう。
動画は「ながら見」や「倍速・スキップ視聴」
再生速度を上げることで時間を節約する「倍速視聴」、必要な情報、見たいシーンだけを探して観る「スキップ視聴」などは、YouTubeで良く使われるタイパを意識した行動です。それを見越して、多くのYouTuberがあらかじめ概要欄でタイムテーブルを提供しています。
また、全編字幕がついている動画を見ながらドライヤーをかけたり、音声だけで内容が分かる動画を流しながら家事などをする「ながら見」も、タイパの良い視聴方法として広まっています。
情報収集はSNSで
友人やインフルエンサーなどのSNSを利用して、自分の趣味に合うお店や音楽などを収集するのも、タイパを意識した行動です。
好みが合う人から情報をダイレクトに入手できるため、ランダムな情報源を当たる必要がなく、欲しい情報が短時間で見つかるためです。
ネタバレ消費
1本の映画に2時間半を費やしてまったく面白くなかったら、「時間を返して!」と思ってしまいますよね。
これを避けるために、あらかじめ詳しい展開や、場合によっては結末も知った上でコンテンツを消費するのが「ネタバレ消費」です。
この行動の根底には、意外性やワクワク感が削がれても、完全なハズレに時間を費やすよりマシ、というタイパ重視の発想があります。
「タグる」と「タブる」を活用
「タグる」とは、TwitterなどのSNSで、#を使って情報を検索することです。
例えば土地勘のない街で昼食をとりたいとき、#(食べ物)、#(地名)などで検索すると、周辺の人気のある飲食店を知ることができます。
「タブる」とは、Instagram画面下の虫眼鏡マークをタップしたときに表示される画面(発見タブ)をブラウズすることです。
発見タブには、アルゴリズムによりユーザーの興味にマッチする投稿が一覧表示されます。そのため、眺めているだけで好みにマッチする投稿に行き当たることが多いのです。
どちらも最短時間で欲しい情報だけを得られる、タイパのいい行動です。
タイパを意識したビジネスシーンでの行動例
残業時間を減らしたり、同じ時間内でより多くの成果を上げるためには、タイパを意識した働き方が重要です。
そこで注目されているのが、デジタル技術を活かしたタイパ対策です。主なものを2つご紹介します。
Web会議ツールを活用
取引先とのミーティングのために外出や出張をすると、実際に相手と話す時間より移動時間の方が長い…ということはよくあります。この移動時間を他の仕事に使えるなら、それに越したことはありません。
ZoomやGoogleミートなどのWeb会議ツールを使えば、インターネットとパソコンがあればいつでもどこでもミーティングができます。移動時間を節約できるうえ、交通費もかからないので、一石二鳥です。
ウェビナー受講
対面式のセミナーについても、Z世代はわざわざ現地に移動する時間がもったいないと考えます。そこでインターネット上でセミナーに参加できる「ウェビナー受講」を選択肢する人が増えています。
リアルタイムで行われるウェビナーであれば講師に直接質問ができますし、対面式セミナーと遜色のない効果と満足感が得られます。また、録画されたウェビナーであれば、その場で講師に質問できなくても、好きな時間に受講ができるというメリットがあります。
ただし対面式セミナーには現地でネットワーキングができるという利点があり、これを重視する人にはウェビナー受講では物足りないかもしれません。
タイパを上げるには
Z世代以外にも、プライベートでもビジネスでもタイパを上げて効率よく生活したいと思う人は多いでしょう。そこで、手軽にタイパを上げるためのアイディアをいくつかピックアップしてみました。
タイパのいいサービスなどを利用する
例えば食材配送サービスは、すでにカットされた食材とレシピが入った箱を宅配便で受け取り、調理するだけで料理が出来上がります。買い物の時間と下準備の時間が節約できるため、タイパを上げることができます。
また、スキマ時間にリモートでできるアルバイトを紹介するウェブサービスに人気が集まっています。通勤時間がかからず、空いた時間に細切れで作業できるため、タイパのいい働き方と言えます。
時間を可視化してみる
自分が1日の中で何にどれくらい時間をかけているのかを書き出してみると、タイパを上げるヒントを発見できるかもしれません。
例えば1日に「通勤時間」と「新しいスマートフォンの機種検討」という別々の時間があることが可視化できれば、この2つは組み合わせられるという気付きがあるでしょう。
ビジネスシーンでは、タスク管理ツールにその日の予定とタスクを書き出してみましょう。漠然と頭の中で予定を立てるよりも、効率良く動けることが多くなります。
まとめ
タイパとはタイムパフォーマンスの略で、かけた時間に対して得られる成果や満足感を指します。最近ではタイパを上げるためのツールやサービスが続々登場しています。
その中から自分のライフスタイルにあったものを選び、タイパの向上とプライベート時間の確保に役立ててみてはいかがでしょうか。