プレイングマネージャーの意味と役割を解説。管理職との違いやなるために必要な資質についても紹介
「プレイングマネージャー」とは元々、プロやアマチュアのスポーツチームで、選手としてプレーしながら、同時に監督やチームマネージャーとしての役割も果たす人のことを指します。
そこから転じて、日本ではビジネスシーンでも「プレイングマネージャー」という言葉が使われるようになりました。この場合はどういった意味や役割を持つのか、解説していきます。
目次
プレイングマネージャーとは
ビジネスにおけるプレイングマネージャーとは、自ら業務をこなしながら、組織のマネジメントも手がける人物を指します。具体的な定義は以下の通りです。
プレイングマネージャーの意味
プレイングマネージャー(playing manager)という言葉には、「playing」(=プレーする、現役)と「manager」(=管理者、責任者)というふたつの英単語が含まれており、スポーツの世界では「選手兼任監督」と訳されます。
そこから転じて、日本ではビジネスシーンで「現役で実務をこなしながら、管理者の役割も果たす人」という意味で使われます。和製英語ではありませんが、ビジネスシーンで使用するのは日本だけという、少し特殊な位置づけです。
プレイングマネージャーの役割
プレイングマネージャーには、「チームのマネジメント」、「現場での実務」、「チームメンバーの指導・育成」、「業務の改善・戦略の立案」といった役割が求められます。
つまり、管理者としての役割と実務者としての役割を両立することが求められます。
プレイングマネージャーと管理職との違い
プレイングマネージャーには、組織内のスタッフやメンバーと密接に連携し、日々の業務の改善や効率化に取り組むことが求められます。
一方で、管理職には、組織全体を視野に入れ、ビジネスの将来性や市場動向を見極め、組織の発展に必要な方針を決定する役割が求められます。
プレイングマネージャーにはより現場に即した人材マネジメントが、管理職にはより大きなビジョンの形成が求められる、と言ってもいいでしょう。
プレイングマネージャーのメリット
プレイングマネージャーは、管理者の役割を果たしながら自らも現場に出て実務に携わります。そこにはどのようなメリットがあるのでしょうか。
生産性が上がる
プレイングマネージャーの役割を設けることで、現場で起こる問題や課題をすばやく把握でき、適切な対応策を早急に打つことができるため、チーム全体の生産性が向上する可能性があります。
現場の能力が上がる
プレイングマネージャーは、自らの実務経験を通じてチームメンバーに的確な指導やアドバイスができます。現場に即した細かなケアで、チームの能力の底上げが期待できるでしょう。
組織力が高まる
プレイングマネージャーが現場での問題や課題を直接把握し、チームメンバーと共にタスクを実行することで、メンバー間のコミュニケーションが強化され、チームワークの改善に繋がります。
プレイングマネージャーになるために必要な能力、資質
プレイングマネージャーとして実務面とマネジメント面の両方をこなすには、どういった能力や資質が求められるのでしょうか。
複数ある中で、最も重要なのが以下の3つです。
コミュニケーション能力
プレイングマネージャーとして十分な役割を果たすためには、チームメンバーとの役割分担や、業務の優先順位付けについて、しっかりとコミュニケーションを取る能力が必要です。
自身がすべてのタスクに関与できない場合を考慮して、チームメンバーに自己決定権を与え、自己管理能力を高めるよう働きかけるスキルも必要とされます。
バランス感覚
実務とチームマネジメントの両方をこなすプレイングマネージャーは、自身の負荷が増えることがあります。
その際に仕事量やスケジュール管理のバランスが崩れ、片方の役割にネガティブな影響が出たりしないよう、適切なバランスを保ちつつ業務を進めることが求められます。
成長意欲
プレイングマネージャーは個人としての業績を伸ばすことに加え、組織としての目標達成にも貢献することが求められます。
そのため業務に関連する本などから新しい知識を学ぶなど、成長への意欲が必要なポジションと言えるかもしれません。
プレイングマネージャーの課題、「つらい」「激務」といわれる理由
マルチタスクが求められるプレイングマネージャーのポジションを、激務でつらいと感じる人もいます。主な課題と悩みには次のようなものがあります。
仕事量が多い
プレイングマネージャーは、チームメンバーの指導・管理に加え、自分自身も現場で業務を行うため、自然と仕事時間が長くなります。
プレイングマネージャーが業務過多になり実務にもマネジメントにも支障が出ると、組織全体に影響が出てしまうおそれがあります。
個人と組織の両方の評価を求められる
一人二役をこなしているのだから、持てるエネルギーや時間を半分ずつ使えばいい、とはいうわけにはいきません。
実務とチームマネジメントの両方の役割で100%の成果を求められるのがプレイングマネージャーの辛いところです。これは以下の「昇進・昇格がしにくい」という課題にも繋がってきます。
上司と部下の板挟みになる
プレイングマネージャーは、実務レベルでチームの指導やタスク管理を行う一方で、組織内の上位管理職との間で現場の情報や決定を共有する役割を担います。
上司と部下の橋渡しをする立場上、両者の間で板挟みになることがあります。
昇進・昇格がしにくい
プレイングマネージャーが昇進・昇格しにくいとされるのには、いくつか理由があります。例えば個人的なパフォーマンスの面ではチーム内の部下のフォローや指導に時間を割かれ、実務がおろそかになり業績が伸び悩む場合があります。
また、チームメンバーの業務に対して責任を負うことが多いため、上位管理職から高評価を得づらいというデメリットにも原因があるかもしれません。
プレイングマネージャーとして仕事をこなすコツ
プレイングマネージャーに求められる能力や資質、課題などを知った後では、かなり難易度の高いポジションのように感じられるかもしれません。
しかしプレイングマネージャーとして仕事をこなす次のようなコツを掴めば、実務とマネジメント、両方の業務を均等に回すことが可能です。
業務を抱え込みすぎないようにする
仕事量が増えがちな立場のプレイングマネージャーは、業務の優先順位を決め、周囲に任せられる業務は潔く任せてしまうことが重要です。
こうすることで、自分の時間を効率的に使うことができます。また、スケジュールに余裕を持たせ、予期せぬトラブルや業務に備えることも大切です。
組織内で細かく情報共有を行う
チーム全体で随時課題や現状を共有し、コミュニケーションの密度を上げます。
チームメンバーに各々の業務をタスク管理ツールに入力するよう指示したり、定期的にメンバーからフィードバックをもらう機会を設けることで、問題解決を早めることができます。
マネジメントのための時間を十分確保する
実務での業績を買われてプレイングマネージャーになった人は、チームメンバーの力不足を自分の実務能力でカバーしがちです。
しかしこれではチーム全体の成長には繋がらず、自身の仕事が増える一方、という事態になりかねません。
自身がすべて指示しなくてもスムーズに仕事が回る環境を作るために、チームメンバーの自律性を育成する時間を十分確保するといいでしょう。
まとめ
現場での業務とチームマネジメントの両方で高く評価されるのが、プレイングマネージャーとしての目標です。
ただし、プレイングマネージャーだけに負担が集中することのないよう、組織には公平な評価制度や業務分担を整備していくことが求められるでしょう。