年金制度とは?Z世代向けにFPがわかりやすく解説![後編]~ねんきん定期便とZ世代が抱える課題~
「年金」について、今のZ世代の方の中には、「まだ先のこととして深く考えていない」「難しい」「もらえなくなる」「あてにならない」等、ネガティブな印象を持っている方が多いのではないでしょうか。
ここでは年金の記録と現役世代が今後考えなければならない課題について解説します。
記録される年金額
日本は終身雇用制度が一般的ですが、現代では同じ会社にずっと務めるのでなく現役世代の間に転職をすることも珍しくありません。
加入している保険制度が第一号から第二号、第二号から第一号等への変更や職場を変更した場合でも、その時々で加入している制度での保険料を正しく支払っていればその履歴は記録されていますので、記録に応じた年金を受け取ることができます。
現役世代の方は、毎年1回、誕生月に届くねんきん定期便で記録を確認できますので、一度見てみるとよいでしょう。
最近ではねんきんネットでインターネット上からアクセスして確認できます。
ねんきん定期便をご覧になると、50歳未満の方の年金定期便には20歳から今までの加入実績に応じた年金額が記載されているため、額が少なくて驚かれるかもしれません。
しかし、その額はあくまで今まで支払ってきた分に応じたものですので保険料支払い期間が少なければ少ないのは当然のことです。
老齢年金だけで生活水準を保てる?
とはいえ20歳から60歳までの満額支払った方の今の国民年金や厚生年金の額と現在の自分たちの生活水準とを比べてみると、どうでしょうか。
公的年金は所得代替率といって、年金を受け取り始める時点(65歳)における年金額が、現役世代の手取り収入額(ボーナス込み)と比較してどれくらいの割合か示すものを年金給付水準のものさしとして使用しています。現在の老齢年金ではその所得代替率を50%以上という目標設定をしています。(2019年度の財政検証時は61.7%)
つまり年金受給開始後、老齢年金だけで現役世代のときのような生活水準を保つことは難しいということです。
公的年金だけには頼れない?
今後は積立金を崩したとしても少子高齢化が予想以上に進めば所得代替率も下げざるを得なくなります。今、労働人口(厚生年金の保険料を支払う第二号被保険者)を増やすべく厚生年金加入の適用拡大や定年年齢を引き上げる等の措置が行われています。
そのため現役世代は公的年金だけに頼ることなく自助努力で自身の生活資金を確保していけるようにしなければなりません。
現在はつみたてNISAやiDeco等自助努力して非課税で将来のお金を用意できる制度も確立されています。今一度、ご自身の年金制度について現状を把握し、将来について考えてみることが令和を生きる私たちには大切となってくると言えるでしょう。
前編(賦課方式と積立方式)はコチラ
中編(年金の種類ともらえる金額)はコチラ
折戸 知美
岐阜市生まれ、岐阜市在住。生命保険会社に事務職として在籍中、ファイナンシャルプランニングについて正しく伝える必要性を感じFP資格を取得し独立。岐阜県内を中心にセミナー・個別相談業務を行っている。