【れとりっぷ】竹ケ鼻城跡や美濃縞織り体験、サイクリングも|岐阜県羽島市を巡る旅
戦国時代を語る上で外せない地・岐阜県。多くの城跡や武将の生きざまを感じられる史跡が数多く残されていることから、戦国観光には最適です。戦国観光×ご当地グルメ×映えスポット×NEWスポット…地元が誇るたくさんの魅力を、岐阜新聞女子ネットのメンバーらと“再発見”してみませんか。今回は羽島市を旅しました。
秀吉に水攻めされた竹ケ鼻城 関ケ原の戦いの前哨戦で城は消滅
豊臣秀吉が得意とした城攻めの戦術「水攻め」。城の周りに堤を築いて水を流し、城ごと沈めてしまうというスケールの大きな戦法です。1582年に備中高松城(現在の岡山市)で行い、次のターゲットとなったのが応仁年間(1467~69年)に建てられたとされる竹ケ鼻城(竹鼻城)で、1584年5月に実施されました。
当時の羽島市一帯は、尾張の国で、織田信長の嫡男・信雄の支配下にありました。信雄は徳川家康と近い関係にあり、1584年3月に起こった小牧・長久手の戦いでは、秀吉陣営と信雄・家康陣営が争いました。その流れから起こったのが竹ケ鼻城の戦いで、秀吉は城下町を事前に見回って戦略を立てて自ら大工事を指揮。竹ケ鼻城の北1㎞にある現在の太閤山に本陣を築き、たったの5~6日間で長さ3㎞、高さ10m超、幅25m超の堤を造り、水を引き入れました。動員した人数は10万人と言われています。
当時の城主・不破源六広綱は1カ月ほど持ちこたえましたが援軍が来られなかったこともあってとうとう開城。伊勢長島の信雄の城へ退去しました。
その後は一柳伊豆守直末ら秀吉の家臣や、信長の孫・秀信の配下の杉浦五左衛門重勝が城主を務めました。そして迎えた1600年8月22日(関ケ原の戦いの1カ月ほど前)。秀信が西軍に属していたことから東軍の福島正則らの猛攻撃に遭い、重勝は城に火を放って自害。以後、城は消滅しました。
竹ケ鼻城本丸跡を示す石柱は現在、市歴史民俗資料館の敷地内に立てられており、近くには御堀と伝わる下水路がありますが、実は城石等が見つかっていないため、竹ケ鼻城のあった場所は正確にはわかっていません。規模も不明で水攻めの際に籠城した兵の数は700人とも7000人とも言われています。
秀吉が築いた一夜堤の一部は、太平洋戦争後まで残っていました。現在は県道151号岐阜羽島線の竹鼻町今町の交差点近くやその他数カ所にある「史蹟竹ケ鼻一夜堤跡」と書かれた石柱がその跡を示しています。
歴史民俗資料館は映画ファンにも◎
竹ケ鼻城に関する展示コーナーのある市歴史民俗資料館には、映画資料館も併設されており、映写機やカメラ類約220点、新旧の映画ポスター類はなんと12万点を所蔵。随時入れ替えて展示しています。
毎月第2土曜日には名作映画の上映会があり、大人300円という入館料だけで懐かしい映画を楽しむことができ大人気です。
市歴史民俗資料館では随時、様々な企画展が開催されています。3月31日まででしたが、名鉄羽島線開通40周年を記念した特別展示も開催されていました。新羽島駅の駅名板や実際に列車に取り付けられた系統板が飾られ、鉄道ファンから見ても激アツスポットとなっていました。
スポーツバイクの旅はいかが
羽島市観光の新たな楽しみ方と言えば自転車の旅。長良川と木曽川に挟まれて坂が少ない羽島市は自転車移動に最適で、サイクリングロードもいくつかあります。
岐阜羽島駅の近くの岐阜羽島ガーデンモール内に昨年4月にオープンした体験型サイクルステーション&カフェ・レストラン「BLOCK47」では、イタリアの「Bianchi」やスイスの「BMC」などの人気ブランドのスポーツバイクをレンタルすることができます。中には100万円超のものもあり、「購入前に乗ってみたい」という愛好家の心も掴んでいます。
BLOCK47では、ただ自転車を借りられるだけでなく、スタッフと一緒に羽島市近郊をスポーツバイクでめぐるツアーも開催。羽島市内の魅力を満喫するには「中野の渡しコース」がおすすめで、竹鼻別院を見学したり吉川養鶏のスイーツや羽島ダンゴの「みたらしだんご」を食べたり、羽島市と愛知県一宮市を結ぶ木曽川の渡し舟に自転車ごと載せてみたり。変化に富んだ25㎞を5時間ほどかけて楽しめます。
そして自転車旅から戻ってきた後はレストランへ。東京・白金台の老舗レストラン・結婚式場の「八芳園」が監修した「飛騨牛100%贅沢バーガー」や鶏ちゃんにエスニックのテイストを加えた料理が味わえます。プレートメニューには全て、地元の野菜をふんだんにつかった6種類のデリが付き、おいしくヘルシーでさらに見た目もおしゃれで、テンションが上がること間違いなし。
BLOCK47の運営会社のCEO林幹根さんは「コロナ禍だからこそ、身体に良いことを始めてもらいたいという思いから、運動(自転車)、食事、対話をキーワードに新しい施設を造りました。これまであまり自転車に乗らなかった方にも、車では目に入らないような景色を楽しんでいただきたい」と話しています。
美濃縞は綿から全て手作り
羽島市は古くから繊維関連の産業が盛んなまちとして全国に知られています。江戸時代中期から後期にかけては木綿の縞織物「美濃縞」が盛んに生産されました。明治以降の近代化に伴い、手紡ぎ手織りの美濃縞の生産は途絶えてしまいましたが、この地域の宝を復活させようと、20年前に美濃縞伝承会が発足。現在は羽島市を中心に岐阜、愛知両県の女性32人が昔ながらの製法にこだわった作品づくりに励んでいます。
作品づくりは綿を育てて糸をつむぐところからスタート。糸の着色も「江戸時代にもあったであろう草や木を染料にしています」と伝承会の会員は話します。そして糸ができたら市内の工房で機織りし、思い思いの作品に仕上げていきます。
市歴史民俗資料館に隣接する「はしま観光交流センター」の2階は美濃縞の紹介スペースになっており、土日祝日は会員の指導で機織りを体験することができます(体験時間は要問い合わせ)。1階ではポーチやバッグなどの販売もあります。
はしま観光交流センター TEL.058-322-2303
布の見本12万点超がずらり
洋裁愛好家や服飾デザインに興味のある人にたまらないスポットと言えば全国のファッション素材や生地見本を一堂に集めて展示する資料館「テキスタイルマテリアルセンター」。羽島市や隣接する愛知県一宮市のあたりは「尾州」と呼ばれる毛織物の一大産地であること、繊維のまちとして栄えた歴史を持つこと、さらには首都圏からも関西からもアクセスがしやすいという利点を生かし、2008年にオープンしました。
収蔵する素材の数は12万点超で国内最大。国内外の繊維の見本市に出展されたものや最新のトレンド素材まで幅広く、デザイナーや服飾関連の学生などがアイデアを探しに訪れます。
過去に愛知県で開いた尾州産地の生地によるファッションショー「尾州コレクション」でモデルが着用した作品を着ることもでき、ファッションショー気分も味わえます。
販売コーナーもあり、人気はカシミヤのマフラー。百貨店で売られているものと同等の高品質なアイテムを「カシミヤ100%でこの値段?」と思わず驚く値段で買うことができます。サンプル生地を安価で販売するサービスもあります。土日は休みですので、平日にぜひお立ち寄りください(訪問の際は事前予約が必要)。
テキスタイルマテリアルセンター TEL.058-391-8511