株式会社ワイエス・コーポレーション|代表取締役 中尾正邦氏 バナナ栽培で地域を活性化へ

―2022年を振り返って。
8年前に代表取締役に就任して以来、経営の安定に向け、本業の解体工事業以外の他業種参入を模索してきました。20年からは、成長細胞を凍らせて南国の果物に耐寒性を備えさせる凍結解凍覚醒法という技術を用いた、高級バナナづくりに着手。翌年に初収穫を実現し、現在は道の駅や直売所で販売するほか、贈答用も展開しています。バナナは香りと糖度の高く、ねっとりとした食感が楽しめるグロスミッシェル種という品種。海外産と違って完熟状態で収穫できるため、うま味と栄養をしっかり蓄えられます。また、無農薬栽培で、収穫後も洗浄剤や殺菌剤を使用しないため、皮まで食べられます。「一度食べたら他のバナナは食べられない」という声もあり、現在は出荷を待っていただいている状態です。
―新たな取り組みは。
害虫被害や傷により販売できないバナナを活用するため、瞬間冷凍やドライ加工などを施した商品開発に注力し、試作段階に入っています。既に昨年は、皮ごと食べられる点を生かして、丸ごとペースト状にしたドッグ用食品を販売。今後は離乳食や介護食への展開も考えています。また、従来は廃棄する葉や幹に高い保湿成分があることも分かり、保湿ジェルの開発・販売もスタート。さらなる活用を目指し、大学に依頼して新たな有用な成分も探索しています。
―今後の目標は。
現在、山県市の休耕地約1500平方メートルにハウスを建て、地域の高齢者を活用して栽培をしています。近年は全国に休耕地が増えており、こうした事業は土地の有効活用や雇用創出にもつながります。このバナナ農園をモデルに、本業で培った土地の造成や不動産売買の経験やノウハウを生かして、元気な地域企業の他業種参入をサポートし、農業による地域活性化に貢献していきます。
