地域活性化とは?岐阜県の事例や成功のためのポイントについても紹介
「地域活性化という言葉を耳にするけど、具体的な事例はどんなものがあるの?」
「地域活性化を行う目的って一体なんだろう?」
「どのような取り組みをすれば地域活性化が成功するんだろう?」
これから地域活性化に取り組もうとしている人は、このような疑問を抱えていることもあるでしょう。
本記事では地域活性化が注目を浴びている理由や、岐阜県の事例をはじめとした具体的な政策の内容、地域活性化を成功させるポイントなどを紹介しています。
この記事を読むと、地域活性化が担う大切な役割について理解できます。またそれぞれの地域が行った政策から、新たなヒントが得られるでしょう。地域活性化を成功させたいけれど、うまくいくか不安だと感じている人はぜひチェックしてみてくださいね。
目次
地域活性化とは
地域に根ざす文化や経済における強みを活かして、自律的で持続可能な地域を作ろうとする動きが地域活性化です。地方創生や地域おこしなどの言葉に置き換えられることもあります。
地域活性化は主に、地域の過疎化を止める目的で行われる政策です。第三次産業の発展により都市部に流出した若年世代が、地域の魅力を再認識することが期待されています。
地域活性化によって地方へ流入した人々の存在が、地域復興の足掛かりとなるでしょう。
地方が抱える課題
若者が都市部に流出したことによる労働人口の減少、及び雇用機会の萎縮は、地方の抱える深刻な問題です。
どれほど過疎化が進んでいるのか、どのようにして過疎化が進んでしまったのか、詳しくみていきましょう。
過疎化の深刻化
地方の過疎化は昭和35年に顕在化して以来、現在に至るまで続いています。
日本の総人口に対する過疎地域の人口が、昭和35年時点では22.4%だったのに対し、令和2年になると8.2%まで減少しました。
過疎地域の面積は現状国土の約6割を占めています。前述した内容と併せて考えると、地方における過疎化の深刻さは想像に難くないでしょう。
出典:令和2年度版 過疎対策の現況|総務省 地域力創造グループ過疎対策室
参照:https://www.soumu.go.jp/main_content/000807029.pdf
雇用の減少
都市部への人口流出は、結果的に地方における雇用機会の萎縮をもたらしました。
かつて地方では、第一次産業により雇用機会が確保されていました。しかし昭和45年から平成27年にかけて第二次・第三次産業が台頭したことにより、地方の労働人口は減少していきます。
条件のよい職を求めて若者が都市部へ出て、地方の雇用機会が減っていくという負のスパイラルが、過疎地域の中では現在も続いているのです。
出典:令和2年度版 過疎対策の現況|総務省 地域力創造グループ過疎対策室
参照:https://www.soumu.go.jp/main_content/000807029.pdf
地域活性化が注目される理由
東京への人口集中や日本の総人口の減少は、日本が抱える大きな問題のうちの一つです。地域活性化はこれらの問題を解消してくれる可能性があります。
東京一極集中、および日本の人口減少の問題について詳しく解説しつつ、なぜ地域活性化が有効なのかについてお話しします。
東京一極集中の問題
地方で過疎化や高齢化が進む傍ら、東京では人口の増加が続いています。
実際に、国土交通省が発表した2013年における世代別転入超過数をみると、地方から都市部への若年世代の転入者数が著しく多いことが分かるでしょう。
東京圏のみに人口が集中することは、産業や雇用機会も同様に都市部に集中することを意味します。
資源が一箇所に集中することにはリスクを孕んでいるため、地方活性化による人口分散が期待されているのです。
出典:東京一極集中の状況等について|国土交通省
参照:https://www.mlit.go.jp/common/001042017.pdf
日本の総人口の減少
日本の総人口は年々縮小し続けています。総務省統計局の公表したデータからは、令和4年現在の総人口が前年と比較して85万人も減少していることが分かります。
特筆すべきは、高齢者の人口が増加する一方で、労働人口が著しく減少していることです。
総人口の減少を抑制するには、地域活性化で雇用機会を創出し、日本全体を活気付ける必要があるでしょう。
出典:統計局ホームページ/人口推計(令和4年(2022年)3月確定値、令和4年(2022年)8月概算値)(2022年8月20日公表)|総務省統計局
参照:https://www.stat.go.jp/data/jinsui/new.html
岐阜県内の地域活性化の事例
岐阜県内にある大垣市や可児市では、すでに地域活性化のための取り組みが行われています。
大手企業との連携によるプロモーション活動であったり、地域の資源を活用したイベントの開催だったりと内容はさまざまです。
各地域がどのようにして町おこしを行なっているのか、具体的な内容を見ていきましょう。
大垣市|ポニーキャニオンとの包括連携協定
大垣市は映像や音楽の制作を手掛ける大手企業「ポニーキャニオン」と連携協定を結び、地域活性化のための政策を進めています。
プロモーションやブランディングにおいて豊富な経験を持つ企業と連携することで、大垣市の魅力が多くの人に広まることでしょう。
可児市|城跡を活用した取り組み
可児市では城跡を利用したイベントで町おこしを行なっています。例えば令和4年の春には「チャンバラ合戦 -戦IKUSA-」と称されたチャンバラ合戦が開催されました。
城跡ののどかな風景の中で、子供たちが自由に動き回れるので、子育て世代に嬉しいイベントです。
岐阜県|地域活性化ファンド事業費助成金
岐阜県全体では2022年に「岐阜県地域活性化ファンド事業助成金」の交付が行われました。中小企業者をはじめ、商工会議所やNPO、まちづくり団体も助成の対象です。
助成金の目的は、地域ならではの特色を活かしたもの作りやブランド作りを支援すること、と説明されています。それぞれの地域が主体となって行う、理想的な形の地域活性化政策ですね。
岐阜県以外の地方活性化の事例
岐阜県以外の地域でも、地域活性化の動きが進んでいます。
ここでは香川県三豊市、石川県金沢市の2ヶ所における町おこしをチェックしてみましょう。
どちらも地域ならではの特色を活かしていたり、地域密着型で身近な人々の生活を大切にしていたりと、参考になる工夫がされています。
香川県三豊市|瀬戸内ビレッジ
浦島太郎伝説発祥の地である香川県三豊市の荘内半島では、「URASHIMA VILLAGE(ウラシマビレッジ)」と呼ばれる宿泊施設が建設されました。
その名の通り非日常の中に身を置いて、流れゆく時間を忘れてしまいそうになる程リラックスのできる空間です。
都会では味わえない特別な休日を過ごせるため、若い世代の集客が見込めます。
大人も子供も、病気の人も障がいを持つ人も、誰もが手を取って幸せになれる町をつくろうという取り組みが金沢で行われています。
町の名前は「Share金沢」です。夏祭りやハロウィンパーティーといったイベントが催されるなど、多様な人が暮らす地域の活性化に貢献しています。
地域活性化を成功させるポイント
地域活性化の成功のコツは、莫大な費用をかけることでも、他所を真似た名物を作り出すことでもありません。
無理な計画や、他の地域を真似した政策は、たとえうまく行ったところで長続きしないでしょう。
先に紹介した岐阜県などの事例を参考にすると、いくつか成功させるためのポイントが見えてきます。
- 多くの人と繋がりを持つ
- 既存の地域資源に着目する
- 持続可能な取り組みを目指す
多くの人と繋がりを持つ
地域活性化を成功させるためには、地域に関わっている人々の協力が必要です。
地域活性化と聞くと、行政や町おこし団体が中心となって進めるイメージがあるかもしれません。しかしみんなが住みやすいと思う町は、住人たちの力によってこそ作られるのです。
地域活性化に協力する人が多く集まれば集まるほど、それぞれの多様な得意分野や職業を活かした取り組みができるようになるでしょう。
既存の地域資源に着目する
地域活性化に取り組もうとして、よその地域の成功例を真似したり、無理して新しいことを始めたりするのはハードルの高いことです。
自分たちの地域ならではの資源に注目することで、他の取り組みとの差別化が図れます。加えて予算を低く抑えられるため、思い描いた通りのアイデアを実現しやすくなるでしょう。
持続可能な取り組みを目指す
街に活気が戻っても、それが継続するものでなければ意味がありません。一過性の効果しかない町おこしでは、費やした費用や労力が水の泡となってしまいます。
持続可能な地域おこしをするには、身近な資源を有効に活用することが大切です。また地域にいる一人ひとりのモチベーションを保つことも重要でしょう。
都市部から人を呼び込むこともそうですが、まずは地域に住む人々全員が笑顔になれるようなまちづくりを目指すのがよいです。
地域活性化について理解しよう
地方活性化は、地方が抱える過疎化の問題や、東京一極集中の問題、さらには日本の人口減少を抑制することが期待されています。
現在では岐阜県をはじめとした各地域で魅力的な町おこしが行われており、豊かさを取り戻している地域も多いです。
自分たちが住む地域ならではの特産品や観光地を活かして、たくさんの人が笑顔で暮らせるまちづくりを目指してみてはどうでしょうか。