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投稿者:

ZYAO22編集部

立ち向かうにせよ、逃げるにせよ、決断する勇気を。(前編)|足立紳監督特別インタビュー【『雑魚どもよ、大志を抱け!』公開記念】

2023年324日より上映が始まる岐阜県飛騨市オールロケ映画『雑魚どもよ、大志を抱け!』。

岐阜新聞では足立紳(あだちしん)監督に映画に対する思いを直撃しました!(前編)

 

【足立紳監督PROFILE

1972年鳥取県生まれ。相米慎二監督に師事。脚本を手掛けた『百円の恋』が2014年映画化。他脚本作品として『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(17)、『こどもしょくどう』(19)、『嘘八百シリーズ』、『アンダードッグ 前編・後編』(20)などで、ドラマ「拾われた男」がBSプレミアムとディズニープラスで現在配信中。202310月からのNHK連続テレビ小説「ブギウギ」の脚本も控える。また監督作は『14の夜』(16)、『喜劇 愛妻物語』(20)など。

20年以上前に書いたシナリオがようやく形に。

原作は足立監督の小説「弱虫日記」ですが、いつからこの作品を温めていたのでしょう

大元になったシナリオは20年以上前に書いていて、それとはほとんど原型をとどめていないくらい変わっているんですけど、そのころに書いたシナリオをずっと「映画にしたいなぁ」と思いつつ、どうにもならなかったんで、放ったらかしにしていたんです。

 

それが6年くらい前に、出版社の方から「小説にするようなネタはないですか」と聞かれたので、そのシナリオを見せてみたんですね。そしたら、「このシナリオを小説にしてみませんか」と言われて。「小説にすれば、もしかしたら映画になるかもしれないなぁ」と思って、書いてみたんです。それでも、すぐには映画にならなかったんですけどね。だから、温めてたというと、その間、苦労してたみたいですけど、放ったらかしにしていたという感じです。

 

東京国際映画祭での舞台挨拶の際に、「相米監督にこのシナリオの原型を読んでもらって、初めて褒められて有頂天になった」というお話をされていましたが

そうですね。相米さん(当時、師事していた相米慎二監督)のマネージャーさんが、「ちょっと相米に預けてみない」とおっしゃって。だから、そのときは、もしかしたら相米さんが映画にしてくれるかもしれないと思っていたんですよ。

 

でも、相米さんが持って回ってもダメなんだから、当時は今以上に何者でもなかった俺が、持って回ってもどうにもならないだろうなと諦めちゃっていた。

 

それから事あるごとに人に見せてはいたんですけど、「面白いけど、子どもの話は難しい。商品としてなかなか成立しない」というようなことを言われて。それはどういう意味なのか、そのときはよくわからなかったんです。結局、それは、欧米だとよくある〝子ども映画〟というジャンルが日本にはないので、「興行的に成立しない」という意味だったんですけどね。でも、ようやく形になったので嬉しいです。

 

 

そもそも、本作品の発想の原点というのは何だったのですか

昔から、子どもが登場する映画がすごく好きだったんです。子どもは子どもの映画が好きですけど、そのままずっと好きでいた。だから、もともと子どもの話を書きたかったというのもあります。

あとは、やたら少年犯罪が話題になったときに、テレビのワイドショーなどでいろんな人が小学生や中学生について語っているのを聞いて、少し違和感があって、そのときワーッと一気に書けたという感じなんです。

 

そうして完成した作品がいよいよ公開されますが、今のお気持ちはいかがですか。

いつもの映画が公開されるのと同じような気持ちです。この作品だけ特別ということはなくて。どの映画も実現するまでにはそれ相応の時間がやっぱりかかったので、全部、気持ちはいつもと一緒です。「ヒットしてほしいなぁ」という気持ちです。

 

 

子どもたちと一緒に撮っているのが楽しくてしょうがない。

出演された少年たちはオーディションで選ばれたとのことですが、どんなところに惹かれたのですか。特に、主人公の高崎瞬を演じた池川侑希弥さん、瞬の親友で父親はヤクザという難しい役どころの田代輝さんは。

それぞれ、役の雰囲気と合うということが一番大事だと思っていて。池川くんは、オーディションのときから、どっか自信がなさそうで、欲もなさそうで、芸能界で生きてはいきたいのでしょうけど、まだ自分がどういうふうになりたいのか薄ぼんやりしていて、前に出てくる感じが全くなかったんです。見てくれ以外は、今回の主人公と感じが似ていて、合うんじゃないかと思って。演技経験は全然ないということだったんですけど、その雰囲気で池川くんに決めました。

田代くんの演じた隆造役は特に演技力が求められる役で、セリフも長いし、「こんなに難しい演技ができる子なんているのかなぁ」と、ちょっと不安だったんですけど、田代くんは演技が圧倒的にうまかった。オーディションでの演技と映画に映っている演技は、寸分違わないんですよね。オーディションのときからあの演技ができていたので、「この子だったら監督としては超ラクだな」と(笑)。もう「何もしなくていい」ぐらいに思いましたから、ホッとしましたね。田代くんには「ほんとうに来てくれてありがとう」という想いです。

 

少年たちが演じる上で、監督自らディレクションされたことはありますか。

ほとんど何もないんです。2カ月くらいリハーサル期間をとってもらって、その間に何をしたかというと、ひたすら本読みをやって、立ち稽古みたいなことをちょっとしたくらいで。「ああしてくれ」「こうしてくれ」ということはそんなに言っていないんですよね。

池川くんに関しては、演技が初めてだったので単純に声が出ないとか、当たり前ですけど自分がテレビドラマなどで見てきたであろう演技の真似をするので、小手先の真似にならないように、お芝居とは直接関係ないところで野球の声出しを何度も何度もしてもらったりしていましたね。

 

でも先日、池川くんと一緒にインタビューを受けたときに、「監督から演出されて印象に残ったところは」と質問されて、彼が「関西弁を直してもらいました」と言っていたんで、「俺はほんとうに何もしなかったんだな」と思いました(笑)。

 

後編に続く

立ち向かうにせよ、逃げるにせよ、決断する勇気を。(後編)|足立紳監督特別インタビュー【『雑魚どもよ、大志を抱け!』公開記念】

 

 

雑魚どもよ、大志を抱け!

すべての弱虫たちに花束を。

少年時代の葛藤、勇気、そして旅立ちを描いた、感動の物語

 

【上映期間】

2023年3月24日(金)上映開始

 

STORY

地方の町に暮らす平凡な小学生・瞬。心配のタネは中学受験のためにムリヤリ学習塾に入れられそうなこと。仲間たちととにかく楽しく遊んでいたいだけなのに…。ある日、瞬は、いじめを見て見ぬ振りしてしまう。卑怯で弱虫な正体がバレて友人たちとの関係はぎくしゃくし、まるで罰が当たったかのような苦しい日々が始まる。大切な仲間と己の誇りを獲得するために、瞬は初めて死に物狂いになるのだった。

 

【キャスト、監督、配給、上映時間】

池川侑希弥(Boys be/関西ジャニーズ Jr.)、田代輝、白石葵一、松藤史恩、岩田奏、蒼井旬、坂元愛登、臼田あさ美、浜野謙太、新津ちせ、河井青葉/永瀬正敏

監督:足立紳

配給:東映ビデオ

時間:145

©2022「雑魚どもよ、大志を抱け!」製作委員会

【映倫】PG12

【公式HP】

https://zakodomoyo-movie.jp/