【笑顔をつなぐ福祉のわ】利用者の助言で野菜づくり オクラやミニトマト実る 特別養護老人ホームハピネスビラ(輪之内町)
福祉の現場では、利用者のため、地域のため、職員に元気いっぱいに自分らしく働いてもらうために、さまざまな工夫を凝らしています。新たな取り組みに挑む施設も多々。ニューチャレンジや自慢の取り組みをのぞいてみましょう。
入居者と共に夏野菜や花を育てる
特別養護老人ホームなどで生活している人の中には、「農家だった」「余った土地で野菜を作っていた」という方も多いでしょう。
入所する直前まで野菜や花に水をあげたりしていたかもしれません。しかし、施設ではそれまでと同様にできなくなってしまうこともあり、安八郡輪之内町の特別養護老人ホーム「ハピネスビラ」では、玄関近くの花壇に夏野菜や花のタネを植え、利用者と一緒に育て、収穫する活動を10年ほど前から続けています。
オクラやミニトマト、アサガオを育てる
現在は、多職種でつくる委員会のうち「エコプロジェクト委員会」が花壇を担当。委員会メンバーが育てる品種を決め、苗や種を買ってきて一から栽培します。
2023年度は、7月にオクラとミニトマト、アサガオを植えました。日頃の水やりは委員会メンバーが中心となって行っていますが、利用者が職員と散歩で外に出る際などは、「芽が出たね」などと気にかけ、中には「〇〇した方が良いよ」とアドバイスをする方も珍しくありません。
アサガオは8月下旬に花を咲かせ、オクラは9月下旬から食べ頃になり、収穫した野菜は、利用者の食事等に使われています。
若かった日々のことを回想してもらうきっかけに
委員会メンバーの大橋香名子さんは、「家で家庭菜園などはしていないから、野菜づくりは全くの初心者。委員会メンバーといろいろと調べながらでした」とし「利用者から『こうした方が良いよ』と教えてもらえることもあって心強かったです。もし、来年以降にまたエコプロジェクト委員会になった際は、利用者に教えてもらったことを参考に、さらに自分でももっと調べて挑みたい」と話していました。
ハピネスビラの坂口しほ施設長は「大きな規模で行っているわけではありませんが、玄関からすぐの場所ですのでいつでも見てもらうことができます。農家をしていた利用者らに若かった日々のことを回想してもらうきっかけにもなって良いですね」と、ハピネスビラを運営する信輪会の田中信成理事長は「認知症の方でも、昔やっていたことはしっかりと覚えていて、本当にいろいろと教えてくださいます。
野菜づくりは、若い職員が利用者から知識をいただき、更には収穫物として形になるというすばらしい機会になっています。今後も継続させていきたい」と話しています。