【れとりっぷ】町ゆかりの戦国武将・丸毛兼利の魅力を発信!|岐阜県輪之内町を旅
戦国時代を語る上で外せない地・岐阜県。多くの城跡や武将の生きざまを感じられる史跡が数多く残されていることから、戦国観光には最適です。戦国観光×ご当地グルメ×映えスポット×NEWスポット…地元が誇るたくさんの魅力を、岐阜新聞女子ネットのメンバーらと“再発見”してみませんか。今回は輪之内町を旅しました。
マンガやアニメ、イベントも 福束城主・丸毛兼利が輪之内町を席巻
関ケ原の戦いの前哨戦となった南美濃の戦い。その舞台の一つが安八郡輪之内町にあったとされる福束城です。福束城は長良川、揖斐川、牧田川、大榑川などいくつもの河川に囲まれ、美濃への水運の要所に位置していました。西軍側についていた福束城主の丸毛兼利は、東軍の市橋長勝(今尾城主)、徳永寿昌(松ノ木城主)と戦って敗れ、落城してしまいましたが、勝った武将だけが愛される訳ではないのはご存じの通り。輪之内町では、この福束城と城主の丸毛兼利を激推し!2016年に漫画「丸毛戦記」(構成・企画、渡辺浩行)を発行し、これまであまり知られていなかった丸毛兼利の名を広めました。漫画を基にしたアニメもあります。
2017年からは、3年に一回のペースで顕彰イベント「丸毛サミット」を開始。今年は3回目の丸毛サミットの年にあたり、2月19日に有識者を招いたトークショーや地元の武将隊による演武などが行われました。
兼利は、1554年頃に美濃・多芸島(現在の養老郡養老町)に生まれました。父・長照とともに斎藤氏に仕え、67年からは織田氏につき、姉川の戦いや槙島城の戦いなどに参戦。本能寺の変の後は豊臣秀吉の家臣となり、九州攻めなどでの軍功が認められて89年に福束城の城主となりました。
南美濃の戦いでは福島正則の命で参戦した市橋、徳永勢と対峙。夜襲に遭って援軍が近づけない状況となり、福束城に籠城したものの支えきれず、兼利は大垣城に逃亡、加賀(現在の石川県)に落ち延びたと言われていますがはっきりとしたことはわかっていません。漫画やアニメでは、不利な戦況であっても決して寝返ることはしないという兼利の「信」を重視する性格や、西脇香右衛門と渋谷多左衛門という2人の家臣との幼少期から続く熱い友情が随所に描かれています。
福束城は南美濃の戦いの後、まもなく廃城になりました。さらには1900年には木曽三川分流工事によってその姿を完全に失ってしまい、位置の特定すらできていないのが現状です。城について書かれた史料もほぼなく、唯一あるのが町内の福満寺が所蔵する版木です。
この版木は1792年に丸毛家に縁のある丸毛肥後守によって寄付されたもので、「丸毛兵庫頭鉾塚城古跡」と記された石垣が描かれ、福束城跡は先祖菩薩の霊場となった旨が記されています。版木は普段見ることができないため町では本年度、レプリカを作成。町歴史民俗資料館で見ることができます。
【丸毛ネタ続々】LINEスタンプ登場
丸毛戦記(アニメ版)がなんと、LINEスタンプになりました。「出陣」「もはやこれまで」などの戦国武将を連想させるようなものから、「おめでとう」「うんうん」など日常的に使いそうなものまで全部で40種類。セリフは町職員も意見を出して決めたといいます。丸毛兼利が戦国ファンのトーク画面を制する日は遠くないかも?
縄張り図を文字にした御城印
福束城をますます盛り上げるため、「せっかくだから唯一無二の御城印を作ろう」と、福束城研究の第一人者の広島大学名誉教授の三浦正幸氏にデザインを依頼。「世の中に御城印は1000城以上もあるため、普通のものでは埋もれてしまうと思い、新進気鋭の書家が字を絵にするのに着想を得て、縄張図を文字として書きました」(三浦氏)という渾身の作が出来上がりました。輪之内町役場産業課、もしくはイオンタウン輪之内にある交流サロン「ホッとステーションわのうち」などで購入することができます。
徳川将軍家御膳米せんべい 紫色のパッケージが出陣
輪之内町は何も丸毛兼利ネタだけではありません。大河ドラマで脚光を浴びている徳川家にまつわるネタもあります。関ケ原の戦いにおいて、福束城は最も早く勝利した地であることが縁で、江戸時代初期から、幕府直轄領として将軍家台所の御膳籾(御膳米)を生産してきました。
御膳米が作られたという歴史を今につなげようと、町内でとれたハツシモのうち、定められた製法で栽培された高い品質のものを「徳川将軍家御膳米」としてブランド化。2013年産から販売されています。
この希少な米を生かした「徳川将軍家御膳米せんべい」は2年前に商品化されました。米粉ならではの軽い食感が自慢のせんべいの表面に徳川家の家紋「三つ葉葵」の焼き印をあしらい、中には抹茶クリームが挟まれています。さらには大河ドラマに合わせて紫色のパッケージのものも新たに発売。せんべいの中のクリームも紫色をしていますが、ブドウ味でも紅芋味でもなくバニラ味ですのでさっぱりと味わえます。
輪之内産米でできた団子 やみつきになるおいしさ
輪之内町産のハツシモを手軽に味わうには、全天候型プレイルーム「森のわくわくの庭 輪之内店」にある「CONCO8(こんこや)」。店主の森島冬樹さんが町内で栽培するハツシモと輪之内の水を使って毎日手作りしている団子が人気です。もともとは移動販売車のみでの取り扱いでしたが、愛知県内での朝市などで販売したところ、人気を集めたことから地元に店舗を構えたといいます。
味はみだらしだんご、きなこだんご、あんこだんごの3種類。みだらしには高山のしょうゆを使い、香ばしくさっぱりと仕上げています。キャッチコピーは「焼きたて30秒のドラマ」。確かに焼きたてが格別。お土産に何本か買って帰るよりもその場で独り占めしたくなるような味わいです。
きなこには、焼いたものではなく茹でただんごを使用しています。あんこだんごのあんこはなんと自家製。北海道産の最高級の大納言あずきを店内のかまどでじっくりと炊き上げています。あまりのおいしさに「あんこだけでも売ってほしい」という声が相次いだことから、不定期ですが8の付く日を中心にあんこの販売もしています。
みだらし、きなこ、あんこの全てを楽しんでもらいたいという思いから昨年、だんご3種とドリンクのセット販売も開始。迷ったら3種類とも味わってみては。