プライミング効果とは?意味や仕事・生活に活かせる例をわかりやすく解説
今回は「プライミング効果」について説明していきます。この用語を聞いたことがない人でも、日常生活を送る中で必ず影響されている心理効果です。
プライミング効果の意味や応用例を知っておけば、仕事に役立ったり、目標達成への近道になることもあります。
目次
プライミング効果とは
プライム(Prime)という英単語には「事前に教える」という意味があります。そこから派生したプライミング効果とは、「前もって受けた五感への刺激が、その後の行動に無意識下で影響を与える」という心理学用語です。
プライミング効果の概要
プライミング効果は、視覚、聴覚、嗅覚などへの刺激を受けたあとに、事前の刺激に影響を受けた行動や決断をしてしまうという仕組みで成り立っています。
例えば友人の家に遊びに行き、綺麗な花が飾られているのを見たとします。その帰り道に花屋を見かけて、気がついたら花を買っていたという状況などは、プライミング効果に当たります。
「10回クイズ」もプライミング効果の一例
子供の頃、「10回クイズ」というゲームをしませんでしたか?相手にある単語を10回繰り返させてから、クイズに答えさせるひっかけゲームです。例えば、
A.「みりん」と10回言って!
B. みりん、みりん、みりん……
A. 鼻の長い動物といえば?
B. きりん!
A. ゾウでしょ。
これは「みりん」と言ったあとに「動物」と聞いて語感が近い「きりん」を連想してしまうプライミング効果を利用した遊びです。
プライミング効果の種類
プライミング効果は、プライマーとターゲットの関係性によって、次の2種類に分けられます。
直接プライミング効果
プライマーとターゲットが同じ場合は「直接プライミング効果」と呼ばれます。前出の「友人の家で花を見たあと、無意識に花を買った」という行動においては、友人の家の花がプライマーで、花を買いたくなる衝動がターゲットです。
テレビCMなどで、売りたいものをしっかり画面に映して宣伝する手法は、直接プライミング効果に分類されます。
間接プライミング効果
一方「間接プライミング効果」は、Aというプライマーをきっかけとして、Bという別のターゲットを連想させる心理効果です。「10回クイズ」は間接プライミング効果を利用して、間違ったクイズの答えを誘導します。
例えば、凍える雪山を舞台にした映画(A)を見た後に温かい飲み物(B)が欲しくなる、反対に灼熱の砂漠を舞台にした映画を見た後に冷たい飲み物が欲しくなる、というのは間接プライミング効果に当たります。
プライミング効果のマーケティング活動における具体的活用例
直接・間接プライミング効果は、あらゆるマーケティング手段で使用されています。商品を大々的に映し出すCMやポスターのような直接プライミングは検知しやすいですが、潜在意識に訴えかける間接プライミングには、一見マーケティングには見えないものもあります。
マーケティング手段別のプライミング効果の具体的な活用例をいくつかご紹介します。
アンケート
「商品に関するアンケートに答えると、○○をプレゼント」という宣伝コピーを見たことはありませんか?これには顧客から個人情報や意見を収集する目的の他に、間接プライミング効果を使ってアンケート回答者に商品をアピールするという目的があります。
例えば「夜飲むとよく眠れる」という効果を謳ったサプリの販促ウェブサイトに、睡眠についてのアンケートや診断を掲載します。ここで回答に「なかなか寝付けないことがある」「夜中に目が覚めてしまう」といったネガティブな選択肢(プライマー)を混ぜておきます。すると回答者は自分の睡眠の質について意識し、サプリに興味を抱くという仕組みです。
メルマガ・SNS
例えば沖縄ツアーの宣伝が目的のメルマガであれば、ツアー商品への期待を高めるようなキーワード(プライマー)を盛り込みます。「真っ青な海で泳ぐ熱帯魚」「ソーキそばや海ぶどうなどの郷土料理」「プライベートコテージ」などですね。
また、SNSの場合はキーワードに合わせたイメージ画像を添えると効果的です。
こうすることで、「今すぐ予約」「夏休みを無駄にしないで」といった押し付けがましいコピーを使用せずとも、購読者やフォロワーに十分アピールできます。
キャンペーン
街角での試供品配り、スーパーでの試食コーナーなどのいわゆる「キャンペーン」も、プライミング効果を狙ったマーケティングです。
消費者が試供品や試食を受け取った場合、商品を認識してもらい、好感をもってもらうことができます。この場合、その場での購入行動に繋がるケースも多いでしょう。
プライミング効果はむしろ、試供品や試食をスルーされたあとに威力を発揮すると言えるかもしれません。キャンペーンの風景や音、匂いなどが何らかの形で消費者の印象に残り、将来的に無意識に商品を選択してもらえる可能性があるためです。
口コミ・レビュー評価
友人や恋人と食事に行く際、グルメサイトの口コミやレビューを参考にしたことがあると思います。具体的な料理の名前や写真が盛り込まれたレビューをじっくり読んで、席の予約を入れたとします。当日店に着いたとき、何となくすでに食べたいものが決まっていたことはありませんか?
これは、口コミやレビューで読んだり見たりした料理が印象に残っていて、同じものが食べたくなるプライミング効果にかかっている状態と言えます。
テレビ・動画などでのイメージCM
商品を大々的に映し出すのではなく、自社のSDGs(持続可能な開発目標)ポリシーをアピールしたり、面白おかしいストーリーで視聴者を惹きつけたりするイメージCMも、プライミング効果を狙った手法です。
「良心的な企業」「面白い企業」というポジティブなイメージは、消費者が商品を選択する際に無意識下で強い影響を及ぼします。企業全体のイメージを高められるので、商品を単体で見せ続けるCMよりもコストパフォーマンスがいいというメリットもありそうです。
プライミング効果の日常生活や仕事での活用例
プライミング効果の「暗示」の作用を自分に向けて使うことで、日常生活や仕事がより充実したものになります。例えば、以下のような使い方で簡単に自己開発に利用できます。
集中力を高める
これまでの経験を振り返って、仕事や勉強に集中できた環境や状況を思い出してみてください。
- 特定のタイプの音楽を聴いている際に勉強に集中できた
- 昼食後少し経ってからコーヒーを飲むとエンジンがかかる
こうした記憶がプライマーとなり自己暗示がかかって、同じ条件を作れば自然と集中できるようになると言われています。
口癖を変えて目標を叶える
私たちが普段何気なく口にする言葉は、意外なほど大きな影響をもたらします。マザー・テレサの名言に「言葉に気をつけなさい、それはやがて行動になるから」というものがあります。これはネガティブな影響、ポジティブな影響どちらにも言えることです。
「疲れた」「面倒くさい」といったネガティブな言葉が口癖の人は、これをなるべくポジティブな言葉と取り替えてみましょう。口癖にしたい言葉を携帯電話の待ち受け画面にしたり、パソコンに付箋で貼ったり、なるべく目に付きやすい場所に掲示します。
これらの言葉がプライマーとなり、ポジティブな思考や行動を導いてくれるでしょう。
プライミング効果の活用で仕事・プライベートを成功に導きましょう
「知らないうちにかけられている暗示」といった少し怖い印象があるプライミング効果ですが、逆手にとってポジティブな自己暗示をかけることもできます。プライミング効果をあらゆるシーンに応用して、仕事もプライベートも充実させてみませんか?