宅建士の仕事内容と就職先とは|不動産業界以外に活躍できる業界も紹介
「宅建の資格を取得したいが、勉強はどれくらいすればいいの?」
「宅建士の仕事はどんなことをするの?」
「宅建士の資格を取得したら、不動産業界以外にどんな業界で活躍できるの?」
このように、宅建士の仕事に興味はあるけど詳しく知らないという人も多いでしょう。
この記事では、宅建士の仕事内容と就職先、不動産業界以外に活躍できる業界も合わせて紹介しています。
本記事を読むことで、宅建の資格を取得するとどのようなメリットがあるのか、宅建士に向いている人はどんな人なのかなど、宅建の資格や宅建士について理解することができるでしょう。
宅建の資格を取得しようと考えている人、すでに資格を持っているけれどどのような業界で活躍できるか知りたい人は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。
目次
宅建資格の特徴とは?
宅建は、「宅地建物取引士」を略した言葉です。この資格は毎年20万人ほどの受験者がいる、とても有名な国家資格です。
しかし、名前を知っているだけでどのような資格なのか知らないという人も多いのではないでしょうか。ここからは、宅建資格の特徴などを詳しく解説していきます。
出典:宅建試験|一般財団法人 不動産適正取引推進機構
参照:https://www.retio.or.jp/exam/takken_shiken.html
資格取得までに必要な勉強時間の目安
宅建の資格取得までに必要な勉強時間の目安は、200~300時間ほどです。
しかし、個人の持っているスキルや経験、知識にも大きく影響されるでしょう。初めて宅建取得を目指す人は、平均で500時間ほど勉強を行っていると言われています。
法律系の知識がある人やスキルや経験がある人は、最低で100時間ほどの勉強時間で合格するケースもあります。そのため、平均して200~300時間ほどを目安に勉強を行うとよいでしょう。
宅建の試験は毎年10月に開催されます。1日に2時間ほど勉強するとしたら、300時間の勉強時間を達成するのに5か月ほどを要します。そのため、およそ5月くらいから勉強を始めるとよいとされています。
初めて受ける人はもう少し前から勉強を始めると、余裕を持って勉強することができるでしょう。
出典: 宅建試験の概要|一般財団法人 不動産適正取引推進機構
参照:https://www.retio.or.jp/exam/exam_detail.html
難易度
宅建試験の合格率は、15%~17%前後と言われています。
科目は宅建業法、民法、法令上の制限、税およびその他関連知識の4つに分かれています。マークシート方式で、全50問を2時間で解答することになります。
50問を2時間となると時間の余裕があるように見受けられますが、宅建士の試験は出題範囲がとても広く、勉強する範囲も膨大であるとされています。
そのため、試験の合格率は15%~17%前後で推移し、他の中堅難度の資格と比べると難しい資格として知られているのです。
出典:試験実施概況(過去10年間)|一般財団法人 不動産適正取引推進機構
参照:https://www.retio.or.jp/exam/pdf/zissigaikyo.pdf
宅建資格の取得がおすすめの理由
ここからは、宅建試験の取得がおすすめの理由について解説していきます。
宅建の資格を所持することで、資格手当がついたり就職に有利になったりする可能性があります。詳しく解説していくため、気になる人はぜひ読み進めてください。
就職後に資格手当がつく場合がある
宅建士の資格を所持していると、就職先で資格手当がつく可能性があります。
不動産会社などで宅建士として勤務した際、月1~3万円ほどの資格手当がつくことがあります。金額は企業により異なるため確認が必要ですが、資格手当の金額に男女差はありません。
ただ、資格手当が相場よりも高い場合、基本給やその他の手当などが少ない場合もあるため必ず確認しましょう。
年収が上がる可能性がある
宅建士の資格を取ると、年収が上がる可能性があります。もちろん働く条件なども関係するので注意が必要です。
企業に勤めている宅建士の年収は、その会社の規模や役職などによっても異なりますが、平均して470万円~620万円ほどになります。
また、宅建士の年収は年齢によって段階的に増えていきます。おおよそ20代から徐々に上がっていく傾向にあります。特に50代は役職につくこともあるため、年収も高くなるでしょう。
合格率が高い
宅建試験の合格ラインは厳密に決まっていません。合格者の割合で決まる相対評価の試験となるため、その年に受験する人のレベルやテストの難しさによって、合格ラインは変動します。
合格率は15~17%ほどのため一見合格率が低い試験と思われがちですが、相対評価の試験であることから合格率が高くなることもあります。また、受験資格に制限がないため建築や法律の知識がない人でも受験できます。このことが、合格率を下げている要因でもあるのです。
そのため、仕事や経験上、宅建試験に関する知識を持っている人であれば、比較的合格率の高い試験と言えます。
宅建士の仕事内容とは
宅建士は正式名称を宅地建物取引士と言い、不動産取引のスペシャリストと呼ばれています。
不動産契約の内容の説明、不動産の契約などを進めていく仕事です。不動産取引の際に顧客に重要な情報を提供するのが仕事となるため、専門的な知識が必要になります。
不動産取引は一般的な人々にとって人生で大変高額な買い物となる場合が多く、宅建士はそのような重要な契約に関わることになるため責任感を持って働けるでしょう。
不動産業界で就職に有利とされる理由
ここからは、宅建士の資格を持っていると不動産業界での就職に有利とされる理由について、詳しく解説していきます。
宅建士は不動産の取引のスペシャリストですが、なぜ宅建士の資格を持っていると就職に有利になるのか、気になる人はぜひ読み進めてください。
不動産業界には宅建士に対する「設置義務」がある
不動産会社の事務所には、必ず宅建士を置かなければならないという義務が存在します。事務所に設置すべき宅建士の最低設置人数は、事務所の従事者数の5分の1以上となります。
もし、事務所にいる従事者が11人の場合、5分の1は2.2人となります。そのため、専任の宅建士を3人以上置くことが義務付けられているのです。このような理由から、宅建士は就職に有利とされています。
出典:宅地建物取引業法|e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC1000000176_20220610_504AC0000000061
出典:宅地建物取引業の範囲・免許権者・免許の要件等・有効期間について|国土交通省近畿地方整備局
参照:https://www.kkr.mlit.go.jp/kensei/kensetsu/fudousanjyounado/torihikigyou/copy_of_takken.html
不動産会社に必要不可欠な宅建士の「独占業務」
不動産会社には必要不可欠な、宅建士の「独占業務」というものが主に3つ存在します。
契約締結前の重要事項の説明、次に重要事項説明書面への記名押印、そして契約内容書面への記名押印の業務は、必ず宅建士が携わらなければなりません。
詳しく解説していくと、宅建士は顧客に対して不動産の登記名義人や建築制限があるかや、水などのライフラインの供給施設や排水施設の整備状況など、契約に対して重要な内容を説明します。
その後、宅建士は不動産の重要事項を説明する際に、口頭だけで説明するのではなく、重要事項を記載した書類を顧客に交付することになります。
この書類は「重要事項説明書」と呼ばれ、ここには宅建士の記名押印が必要となります。さらに、不動産取引を締結する際に契約書にも宅建士の記名押印が必要です。
これらは宅建士のみに許された独占業務となります。そのため、不動産業界の宅建士の需要が高くなっているのです。
出典:宅地建物取引業法|e-Gov法令検索
参照:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=327AC1000000176_20220610_504AC0000000061
不動産会社以外で宅建士が就職できる業界とは
宅建士の資格を取得すると、不動産会社以外にも就職できる業界が多数あります。
宅建士は様々な業界で重宝され、活躍の場は多岐に渡ります。ここからは、具体的にどのような業界で宅建士が求められているのか解説していくため、気になる人はぜひチェックしてみてください。
建設業界
不動産会社以外で宅建士が就職できる業界に、建設業界があります。
建設会社は大手になるほど、建築のみならず完成した物件の販売事業を行うところも存在します。住宅やマンションの販売には宅建士が必要になるため、建築業界に就職し活躍する宅建士がいるのです。
金融業界
金融業界でも、宅建の資格を持っていると活躍できます。
銀行や信用金庫などで担保が必要になる融資業務に就く場合、不動産に対する知識や鑑定力を有する人が必要になります。そのような知識を持ち合わせていないと、融資の判断ができなくなるからです。
また、不動産担保ローンを扱う金融機関もあり、今では営業所ごとに宅建士を雇う金融機関もあります。そのため、宅建の資格を持つ人は金融機関でも重宝され、活躍しています。
保険業界
保険業界ではライフプランを作成する際に、住宅の購入やローンなど不動産の知識が必要となります。
そのため、保険業界でも宅建の資格を持つ人を雇い入れる傾向にあるため、資格を取得しておくと就職に有利になる可能性があります。
小売業界
小売業界では新規出店などの際に、立地の見極めが重要となります。そのため、土地やテナントを借りる際に宅建士がいると重宝されます。
宅建士の配属先は、店舗開発部や総務部などに配属される場合が多くあります。
一般企業
一般企業でも、宅建資格を取得しておくことで有利になる場合があります。
宅建士の試験では、民法や税法などを学ぶことになります。これは、一般企業でも通用する知識で、宅建試験に合格するとある程度の法律の知識を有している人材だとみなされ、評価が高まり、就職にも有利に働くことがあるでしょう。
起業・独立
宅建士の資格を持っていると、就職ではなく宅建業を起業したり独立したりする道がひらけるでしょう。
ただし、独立開業する場合には、宅建士の資格と「宅地建物取引業免許」の取得が必須となります。取引業免許は申請手続きが必要で、申請するには事務所を開設しなければなりません。
出典:ご入会手続きについて|公益社団法人 埼玉県宅地建物取引業協会
参照:https://www.takuken.or.jp/admission/manual.html
宅建資格の勉強をするなら入社前がおすすめ
宅建資格は、大手不動産会社などの採用で有利になる場合があるため、入社後よりも入社前に取得する方がおすすめです。
もちろん、入社後に取得することもできますが、学生時代だと就職後よりもまとまった時間を取れる傾向にあるため勉強もしやすいでしょう。
そのため、宅建資格の勉強をするのなら、入社前に資格を取得した上で就職活動に臨むのがよいでしょう。
宅建士の仕事に向いている人
ここからは、宅建士の仕事に向いている人について詳しく説明します。
資格を取得する前に、自分が宅建士の仕事に向いているのか気になる人は、ぜひチェックしてみてください。
不動産業界で働きたい人
宅建士の仕事に向いている人は、不動産業界で働きたい人です。
不動産業界で働きたいということは、不動産業界に興味がある人でしょう。興味があれば宅建士の資格取得の勉強を積極的に取り組むことができるでしょう。
資格を取得して実際に不動産業界で働くことになったときにも、不動産業界で働きたいと考えている人は業務に前向きに取り組むことができ、生き生きと仕事ができるでしょう。
コミュニケーション能力がある人
宅建士はその業務の内容から、人とコミュニケーションを取ることが欠かせない仕事です。不動産の契約時には重要事項の説明を行ったり、実際に取り扱う不動産を見に行って調査する際に質疑応答したりと、コミュニケーションが必要な場面が多くあります。
難解な法律用語をかみ砕いて顧客に説明することもあるでしょう。そのようなときは、特にコミュニケーション能力が欠かせません。
コミュニケーション能力を褒められることがある人は、宅建士の仕事に向いていると言えるでしょう。
冷静かつ慎重に仕事を進められる人
宅建士は、不動産の取引を扱う仕事です。不動産は高額なものが多く、その契約には重要事項の説明や契約書の取り扱いなどがあり、宅建士には冷静さや慎重さを求められるでしょう。そのため、冷静かつ慎重に仕事を進められる人は宅建士の仕事に向いていると言えます。
重要事項の説明を省いてしまったり、伝え忘れてしまったりした場合は、説明義務に反したとみなされ責任を問われることがあるのです。冷静で慎重に仕事を進めることができるのは、宅建士に必要な要素と言えるでしょう。
土日祝の勤務に問題ない人
一般的には土日祝日休みの人が多いため、休日に不動産会社を訪れたり契約を結んだりすることが多くなります。宅建士もそれに合わせて出勤する必要があるため、土日祝日に出勤することが多くなります。
そのため、土日祝日に勤務することに抵抗がない人が向いています。
向上心がある人
宅建士に必要な資格を取得するためには、向上心がないと難しいでしょう。
宅建士になるには、1日2時間ほどの勉強時間を半年ほど行う必要があります。そのためには、成長意欲や向上心がないと勉強を続けることが難しいでしょう。
また、宅建の資格を取得して就職した後もそこで終わりではありません。宅建士として業務に当たる際に必要な税法などは、頻繁に改正されることがあります。日々勉強しないと顧客からの質問に答えられずに信頼を失い、業務に当たることもできなくなる可能性もあります。
宅建士として就職した後も向上心を持ち、自分を磨きながら仕事をすることができる人は宅建士の仕事に向いているでしょう。
宅建士の仕事内容と就職先を理解しておこう
宅建の資格を取得すると就活で有利になったり、資格手当がついたりする可能性があるなど、とても魅力的です。勉強はとても大変ですが、それに見合った資格と言えるでしょう。
この記事では、宅建士の仕事内容と就職先や、不動産業界以外に活躍できる業界も合わせて詳しく解説しました。
ぜひこの記事を参考にして、宅建資格の取得を目指したり、取得した宅建資格を有効に活用して就職先を選んでいきましょう。