コールドリーディングとは?信頼関係を生み出すテクニックや実践例を紹介
相手と上手くコミュニケーションを取れず、信頼関係を構築できなかったり、自分に自信をなくしたりしている人は、会話術を磨くといいかもしれません。
コールドリーディングは、相手との信頼関係の構築につながる可能性のある会話テクニックのため、ビジネスシーンや日常生活で活用できるでしょう。
コールドリーディングについて、意味や7つのテクニック、おすすめ本についてご紹介します。
目次
コールドリーディングとは
コールドリーディングとは、事前情報がない状態で、相手の考えや感情を会話などから言い当てる会話テクニックのひとつです。コールドリーディング(cold reading)の「cold」は「準備せずに」、「reading」は「読むこと」を意味します。
例えば、「あなたはいま悩んでいますね」と相手に伝え、相手から「私のことを理解してくれている」と信頼を寄せられるテクニックがコールドリーディングといえるでしょう。悩みがない人のほうが少ないため、相手の事前情報がなくても「あなたはいま悩んでいますね」という問いかけに多くの人が「はい」と答える可能性があります。
占い師などが使っているテクニックに感じられますが、コールドリーディングはビジネスにおいてや日常生活でも、相手との信頼関係を生み出すために活用できます。
ホットリーディングとの違いは?
コールドリーディングが事前情報なく相手のことを言い当てる一方で、ホットリーディングは、事前に相手のことを調べ、把握した状態であたかも事前情報なしに言い当てたように見せかけることをいいます。
ホットリーディングは、あらかじめ相手の情報を調べておく必要があったり、ケースによっては相手を騙すような行為と考えられたりするため、ビジネスシーンや日常生活向きとはいえないでしょう。
メリットとデメリットは?
コールドリーディングを活用すると、相手に「私のことを理解してくれている」と思ってもらえて、信頼感が高まり、すぐに仲良くなれたり、信頼関係を構築できたりするメリットがあります。また、相手の情報をさりげなく引き出すことも可能でしょう。
一方で、信頼関係の構築方法としてコールドリーディングにこだわるあまり、当てずっぽうで的を射ない発言ばかり行うと、相手を不快にさせたり、自分が相手との会話を楽しめなかったりするデメリットが考えられます。
コールドリーディングを活用する際には、無理なく、相手との会話を楽しみながら行うことが大切です。
コールドリーディングのテクニック7選とその実践例
コールドリーディングには7つのテクニックがあります。相手とコミュニケーションを取る際に活用すると、良好な関係構築につながるかもしれません。
コールドリーディングの7つのテクニックと実践例を解説します。
あいまいルーズ
あいまいルーズとは、曖昧な言葉で相手の性格や性質を言い当てたかのように見せるテクニックです。
「多少」「適当」「〇〇することがある」「○○と考えてしまうことがある」など、程度がはっきりしなかったり、ある場合もない場合もあったりするような言い方で誰にも当てはまりそうなことを言えば、多くの人が「自分に当てはまる」と考えてしまうでしょう。
例えば、「あなたは失敗すると落ち込んでしまうことがありますね」の場合、「落ち込みますね」と断定していないため、少しでも落ち込むことがある人は「そうだ」と思い、自分のことを理解してくれていると感じるかもしれません。
不満ルーズ
不満ルーズとは、相手が不満を持っていることを指摘するテクニックです。
自身の生活、仕事、恋愛など、人は何かしらに不満を持っている可能性が高いため、「あなたはいま不満がありますね」のようなことを言うと、多くの人が「はい」と答えると考えられます。
不満ルーズを使うと、相手の不満を引き出し、悩みの共有や解決に役立てることができるでしょう。
おだてルーズ
おだてルーズとは、相手の長所を褒めて、自分への好感度や信頼度を高めるテクニックです。
人は、褒めてくれた相手に対し、自分の隠れた長所を見つけてくれたと好感を抱き、信じやすくなる傾向があるといわれています。
褒められて嬉しくなる人はいても、気分を害する人などいないと考えられるため、「あなたは意志が強くて努力家だ」「よく周りに目を配っているよね」など、良い点を伝えると良好な人間関係の構築につながるかもしれません。
弱点ルーズ
弱点ルーズとは、相手の弱点を指摘するテクニックで、おだてルーズとあわせて使われます。
例えば、「あなたはあまり考えずに行動する」のみの場合は、相手の弱点を指摘しただけですが、「あなたはあまり考えずに行動するけど、何でも挑戦する行動力が素晴らしいよね」とおだてルーズも使うことで、長所の信憑性が高まるでしょう。
弱点ルーズのみを使うと、相手を不快にさせ、関係性が悪化する恐れがあるため、おだてルーズも忘れないように気を付けてください。
ダブルバインドルーズ
ダブルバインドルーズとは、相手の意思を操作するテクニックです。
例えば、後輩に「面談の日程、明日と明後日どっちがいい?」と聞くと、後輩は面談をやる前提になりますが、すでに限定された選択肢でも自ら選べるため、肯定的な返事をしてもらいやすいです。
仕事を任せたい相手に、「この仕事、今週中にできる?それとも週明けかな?」などと話しかけ、「仕事をやる前提」にすることも、相手からの肯定を引き出すダブルバインドルーズとして挙げられます。
向上心ルーズ
向上心ルーズとは、相手の「上に行きたい」「認められたい」という向上心を指摘するテクニックです。
「現状よりも上に行きたい」「周りの人から認められたい」という気持ちは、多くの人が抱いていると考えられます。
不満ルーズと同様に、たいていの人に当てはまる思いを「あなたは多くの人に認められたいと思っていますね」などと指摘することで、信頼を得られる可能性があります。
自己幻想ルーズ
自己幻想ルーズとは、相手の「たられば」を指摘するテクニックです。
人は誰でも、「あのとき〇〇していたら、いまごろ××だったかもしれない」と自己幻想に浸ることがあるでしょう。例えば、「A社じゃなくてB社を選んでいれば、いまごろ手に職がついていたかもしれないのに」「大学を出ていたら、大好きなあの会社に入れたかもしれないのに」などと思うことです。
自己幻想ルーズは、「あなたは自分の人生の選択に、疑問を感じることはありませんか?」などと伝え、相手の共感を得たり、心の距離を縮めたりできる効果があります。
コールドリーディングの実践ポイントは?
コールドリーディングで相手との信頼関係を構築するためには、相手に「当たっている」「自分のことを理解している」と思ってもらい、信頼感を高めることが大切です。
「あなたはいつも人目を気にしている」など、断定するような言葉を使った場合、相手に当てはまらない恐れがあるため、誰にでも当てはまりそうなことを曖昧な言葉で伝えるようにしましょう。
また、相手を観察すると、仕草や表情、会話の内容などから、より適切な問いかけができるかもしれません。例えば、相手が足をついたときに顔をしかめた場合、「あなたはよく怪我をすることがありますね」と言えば、相手に当てはまる可能性があります。
コールドリーディングを意識しすぎると、スムーズな会話ができなかったり、相手の性質を当てることが目的になったりして、相手に不快感を抱かせる恐れがあるため注意が必要です。
おすすめ本紹介
コールドリーディングについて学べるおすすめの本をご紹介します。
コールドリーディングをさらに理解したい人は、ぜひ読んでみてください。
コールド・リーディング: 人の心を一瞬でつかむ技術
『コールド・リーディング: 人の心を一瞬でつかむ技術』は、コールドリーディングの第一人者であり、マジシャン、コンサルタント、作家として活躍しているイアン・ローランド氏の書籍です。ローランド氏は、英国国防省やFBIでの講義も行いました。
コールドリーディングの仕組みやテクニック、コールドリーディングをブロックする方法などがまとめられており、ビジネスや恋愛、人間関係などに応用できるため、コールドリーディングの実践の参考になるでしょう。
■『コールド・リーディング: 人の心を一瞬でつかむ技術』(株式会社楽工社)
https://rakkousha.co.jp/books/cold_reading.html
なぜ、占い師は信用されるのか? 「コールドリーディング」のすべて
『なぜ、占い師は信用されるのか? 「コールドリーディング」のすべて』は、セラピストや催眠療法家である著者の石井裕之氏が、ビジネスやプライベートなどで応用できるコールドリーディングのテクニックについてまとめた本です。
コールドリーディングを実際に使うときの基本の5つのステップや、具体的なシチュエーション別にコールドリーディングの活用方法が紹介されているため、他者と上手くコミュニケーションを取りたい人は読んでみるといいかもしれません。
■『なぜ、占い師は信用されるのか? 「コールドリーディング」のすべて』(フォレスト出版株式会社)
https://www.forestpub.co.jp/author/ishii/book/B-1248
まとめ
コールドリーディングとは、あいまいルーズやダブルバインドルーズなどを活用して、相手からの信頼を得たり、相手から「yes」を引き出したりする会話テクニックです。
相手とのコミュニケーションに自信がない人や、信頼関係を築きたいと思っている人は、ご紹介したテクニックを活用すると、相手との良好な人間関係の構築につながるかもしれません。
自分に自信を持てるように、コールドリーディングについてのおすすめ本も読んでみるといいでしょう。
記事執筆や校正など文字に関わる仕事を幅広く行う元金融業のフリーライター。静岡県在住だけど岐阜県も大好き。戦国武将の推しは斎藤道三。(ブログ:https://enmojilaboblog.com/)