【全文掲載】滝藤賢一さん「女性よりも女性らしく」、ドラァグクイーンを熱演|映画『ひみつのなっちゃん。』舞台挨拶[後編]
去る1月8日、郡上がロケ地となった話題の映画『ひみつのなっちゃん。』の豪華キャスト&監督の舞台挨拶付き岐阜上映会が、岐阜CINEX、シネックスマーゴ、イオンシネマ各務原にて行われました。その岐阜CINEXでの上映後の舞台挨拶の模様をレポートします。(前編はコチラ)
滝藤さん「メイクをして衣装を着せてもらうとその気になってくるんですよね。」
司会:では、また滝藤さんにうかがいます。最近はLGBTQ+のことも認知されるようになってきましたが、自由に自分の生きたいままに生きるのもなかなか大変なことだと、この映画を観て思わされるものがありました。そういう面ではどんなイメージを持って演じられたのでしょうか。
滝藤:あまりLGBTQ+だから、ということでもなく、性的マイノリティの人たちを通した友情物語だったり、恋愛だったり。ぼくに関して言うと、年齢的に体がいうことをきかないというバージンと共感できる部分がいっぱいあったので、すごく入りやすかったですね。動きとか所作に関しては相当苦労しましたけど、中身はスッと入れました。
司会:今までも役柄として女装の経験はあるのですか。
滝藤:あります、何度も。ただ、これは監督と話して決めたんですけど、バージンは普段から女性というタイプを選択したので、やっぱり女性らしくいるというのは難しかったです。でも、メイクをして衣装を着せてもらうとその気になってくるんですよね。なんか眠っていたものが起きてきて・・・、そういう感じはありました。
司会:ほんとうにおきれいでした。一方で、バージンがオフィスで働いているシーンでは、会社のみなさんにもちゃんと理解されていることを自然に演じられて。ああいうところが深みを増すのだと思います。
滝藤:もうカミングアウトをして、会社の人たちはみんなわかっているということですよね。
司会:多様性について映画で自然にわかるというのはすごく素敵なことだと思いました。また、ズブ子さんやモリリンさんのようにナイーブな一面もいっぱいあって、人情喜劇としてもすごく素敵な映画でした。
滝藤:特に、ふたりは仲が良くて。ぼくは普段からスイッチを切らなかったので、とっつきにくかったと思うんですけど、あのふたりはすごかったですよね。自分たちでずーっと下ネタのアドリブを考えていましたよ、全部カットされていますけど。特に薫のことは、めちゃくちゃエロい目で見てたよ(笑)。
司会:そうなんですね。もしDVDが出るときには、その未公開シーンも入れてもらえるよう楽しみにしています。そうしたアドリブが出るほど、現場はいい雰囲気だったのですね。
滝藤:アドリブをカットしても、その空気感というのは残るので良かったですよね。時間に追われることもなく、とても穏やかな楽しい現場でした。
司会:コロナ禍で撮影が1年延期になりましたが、滝藤さんはその先1年間のスケジュールを延ばされたということですか。
滝藤:ちょうど他の作品もひしめき合っていたので、逆に1年延びたことでスコッと時間ができて、なっちゃんに集中できました。他の作品をやりながら「こういう衣装が着たいです」「こういうYouTube見ましたか」と、監督と蜜に連絡を取り合って準備できたから、ぼくは延期になった方が良かったです。
司会:ということは、女性が入っていた時期が長かったのですか。
滝藤:そうですね。某ゾンビドラマでは、お尻をふって歩いていましたからね。
司会:そういう影響もあったのですね。滝藤さんはCCIさんのコマーシャルにも出演されていますが、あれも短いドラマで秀逸です。評判もとてもいいです。
滝藤:嬉しいです。なかなか東京では見られないから、昨日、名古屋駅着いて、こんなにポスターを貼ってくれているんだと。
司会:滝藤さんは、無名塾(俳優の仲代達矢さん主宰の俳優養成所)のご出身で、役に没入する集中力が桁外れだという気が勝手にしておりますがいかがでしょう。
滝藤:どうなんですかね。あんまり自分では没入している気はしていないんですけどね。客観的に見ている感じがあるんですけれど。特にこういう役は、ぼくじゃなくてもいいわけじゃないですか。ほんとうにLGBTQ+の俳優さんがやった方が映画に説得力が出るし、そういう意味では中途半端なことはできないですよね。徹底して役作りをしないと。もちろん、他の作品でも徹底して役作りをしていますよ。だけど、特にこういう作品は、やるからには無責任ではいられないですよね。
田中監督「お葬式のシーンはいろいろカットも試しながら、かなりこだわって撮りました」
司会:わかりました。今度はまた松原さんにおうかがいします。撮影現場では、ドラァグクイーン姿のお三方をご覧になっていないのですよね。映画ではじめてご覧になってどうでしたか。
松原:すごーく笑えるところもあって、綺麗だし、踊りのシーンも素敵でした。それから、最後に、わたしの息子のお葬式で、ちょっと泣けませんでした? そういうシーンもあって、いい映画ですね。
司会:お葬式のときに棺桶がひっくり返るシーンがあるのですが、とてもうまくカッティングされていて、そのシーンでなっちゃんがスカートをはいているとわかって母親の思いが伝わる。松原さんのお母さんとしてのフォローの仕方を含めて素晴らしいなと思いました。あそこは何回も取り直されていましたよね。
田中:転げるシーンはいろいろカットも試しながら、かなりこだわって撮りましたね。
司会:お葬式に向かうときは『レザホア・ドックス』のようにブラックスーツでクールな感じで出て行きますが、それとはうらはらに、おかしみを秘めたときめきのあるお葬式シーンで、なっちゃんのひみつも出てくるという素晴らしい展開だと思いました。
田中:転げ落ちたらスカートをはいている、お母さんがはかせている。というシーンが決まった瞬間に、この映画が走り出しました。ほんとうに人の優しさが詰まっているシーンになるなと思いましたし、そこに向かっていく3人のドタバタ劇というのがパッと見えたという感じでしたね。
司会:コメディの醍醐味がそこに詰まっているというシーンですね。永田さんは、この映画をご覧になったのはいつですか。ご覧になってどうでしたか。
永田:撮影が終わって、かなり時間が経ってから観せていただきました。ぼくは撮影以外のシーンは見ていなかったので、完成試写ではじめて映像として全貌を見て、バージンさん、モリリンさん、ズブ子さんはほんとうに美しかったですし、智恵子さんにバレるかバレないかというドキドキのシーンでは、見ているぼくも大丈夫かとドキドキしました。笑うシーンも泣けるシーンもあって、泣けるシーンでは実際に自分も泣いていましたね。ほんとに悪役もいなくて、心がほっこりする映画だと思いましたし、その映画に自分も出演することができて、コロナで延期になったんですけど公開されて良かったなという気持ちでいっぱいです。
司会:同じ質問で、市ノ瀬さんはこの映画をご覧になったとき、どんな気持ちになったでしょうか。
市ノ瀬:わたしは「自分の仕事が映ってる」と思って、そこで感動しましたし、笑ったり泣いたり、感情がコロコロ変わって、すごく素敵な映画だなと思いました。
地元・岐阜での撮影について
司会:郡上八幡がどんなまちかご存知ない方も、「郡上八幡に行きたいな」と思っていただけるような映画になっていると思います。岐阜の人がこの映画を観ると、特に東京で観ると、ホッとする風景がそこにあるので嬉しいですよね。
市ノ瀬:嬉しいです。
司会:おかげさまで、本日のチケットはこの劇場でも、マーゴシネックスでも最速記録でソールドアウトになりました。多くの方に関心を寄せていただき、こうして出演者や監督に来ていただいたことでますます盛り上がるのではないかと思います。1月26日からは木村拓哉さん主演の『レジェンド&バタフライ』も始まるので、それまでになっちゃんブームを巻き起こしたいと思っています。ところで、永田さんはコロナ前には、ぎふ信長まつりの信長役もされましたよね。
永田:そうです。2018年のぎふ信長まつりで、信長役をやらせていただきました。だから、信長役だけで言えば、木村拓哉さんよりぼくの方が先輩(笑)。他は大大大大大先輩で、昨年の木村拓哉さんの信長姿も実際に見せていただきましたが、もう感動しましたね。すごかったです。
司会:来年、信長役のオファーがあったらどうします?
永田:実はそのことを市長に尋ねてみたのですが、「木村さんなみの方を連れてきていただかないと・・・」と言われたので、BIGタレントといっしょに、ぎふ信長まつりに出られるように自分も頑張らないといけないなと思いました。
監督、キャストからのメッセージ
司会:さて、いよいよ100館以上での公開が始まりますが、監督からみなさんにいちばん伝えたいことを。
田中:この映画は、新年にふさわしい映画だという気がしています。バージンさんとともに、みなさんも一歩前に、自分らしく今年を迎えていただけると嬉しいなと思っております。
司会:では最後に、みなさまから一言ずつ、よろしくお願いします。
永田:映画をご覧いただき、ありがとうございました。地元が舞台の映画に出演することができてほんとうに嬉しく思いますし、このような素晴らしい映画でデビューすることができてほんとうに嬉しく思っています。みなさんにはぜひSNS等で発信していただいて、この映画がもっとたくさんの方に広まればいいと思っていますし、13日から全国公開もありますので、たくさんの方に観ていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。今日はほんとうにありがとうございました。
司会:それでは市ノ瀬さん、お願いできますか。
市ノ瀬:今日はありがとうございました。私の大好きな郡上が舞台となっている映画なので、またよろしくお願いします。今日はありがとうございました。
司会:田中監督お願いします。
田中:本日はありがとうございました。郡上で撮影できたことを嬉しく思っております。いろんな素晴らしいキャラクターが登場しておりますので、「このキャラクターが面白かったな、カッコよかったな」ということがありましたら、それも添えてSNSに上げていただいて、宣伝にご協力いただければと思います。本日はありがとうございました。
司会:では松原さん、お願いします。
松原:寒い中、こんなに大勢の方がいらしてくださいまして、ほんとうにありがとうございました。面白くて、すごく心があったまるいい映画でしたよね。わたしはそう思いました。みなさんぜひ、ご家族の方、ご友人の方に連絡して、またもう一度観に来てください。お待ちしております。
司会:では、最後に滝藤さん、よろしくお願いいたします。
滝藤:あのとき中学生くらいだったアオちゃんが立派に挨拶している姿を見て、すごいなぁと思ってちょっと感動しました。薫は、何年か後にはキムタクさんのようになって信長役をやると思うので、そのときは、伊藤英明くんの役はぼくがやりますから(笑)。
司会:ありがとうございます。ぜひ、ぎふ信長まつりもお待ちしております。この映画は、ハートフルなロードムービーです。これをぜひ宣伝していただいて、少しでも岐阜のお客様が増えれば、みなさんに喜んでいただけると思っていますし、ぜひパート2が見たいと思っていますので、そんなふうになるよう応援のほど、よろしくお願いします。
ほんとうに今日はお客様もお忙しい中、ありがとうございました。そして、5名のみなさんありがとうございました。とにかく岐阜では盛り上げますので、この後もよろしくお願いいたします。ほんとうにありがとうございました。(終)
※前編はコチラ
映画 「ひみつのなっちゃん。」
2023年1月13日(金)より、新宿ピカデリー他で大ヒット上映中!
◆キャスト・スタッフ
滝藤賢一
渡部 秀 前野朋哉 カンニング竹山
豊本明長 本多 力 岩永洋昭 永田 薫 市ノ瀬アオ(821) アンジェリカ
生稲晃子 菅原大吉 ・ 本田博太郎
松原智恵子
脚本・監督:田中和次朗
主題歌:「ないしょダンス」渋谷すばる
製作:東映ビデオ 丸壱動画 TOKYO MX 岐阜新聞映画部
ロケ協力:岐阜県郡上市 ドラァグクイーン監修:エスムラルダ
配給:ラビットハウス 丸壱動画
©2023「ひみつのなっちゃん。」製作委員会
公式サイト:himitsuno-nacchan.com
公式twitter:@HimitsuNacchan