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投稿者:

エンモジ

リスキリングとは?意味や手段、リスキリングに使える補助金制度について解説します。

リスキリングとは、デジタル技術の発展や働き方の変化に対応できるように、今後の業務で必要とされる知識やスキルを学習することです。

リスキリングに取り組むと、変化が激しい現代においても自身のスキルによって活躍し続けられるでしょう。

リスキリングの意味と注目されている理由、リスキリングで活用できる補助金をご紹介します。

リスキリングとは

リスキリングの意味と、リカレント教育やアンラーニングとの違いを解説します。

リスキリングの意味

リスキリング(re-skilling)とは、「学び直し」を意味する言葉で、デジタル技術の発展や働き方の変化に対応できるように、今後の業務で必要とされる知識やスキルを学習することを指します。

リスキリングは、経済産業省によって「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」と定義づけられており、「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」が設けられるほど重要視されています。

参考:経済産業省「リスキリングとは―DX時代の人材戦略と世界の潮流―

リカレント教育との違い

リカレント教育とは、社員が職場から離れて仕事に活かす知識やスキルを学び直し、再度職場に戻ることです。「リカレント(recurrent)」は、「繰り返す」「循環する」という意味があります。

リカレント教育もリスキリングと同様に「学び直し」を行いますが、リカレント教育は社員の個人的な学びであるのに対し、リスキリングは企業が人材戦略の観点から社員を育成する点に違いがあります。

アンラーニングとの違い

アンラーニング(unlearning)とは、「学習棄却」を意味する言葉で、現在ある知識やスキル、価値観のうち時代の変化に対応できないものを捨て、新たな知識やスキルなどを学び直すことを指します。

アンラーニングは「捨てる」ことが伴いますが、リスキリングは必ずしも「捨てる」ことが必要とされるわけではありません。

リスキリングが注目されている理由

リスキリングが注目されている理由として、次の4つが挙げられます。

・IT技術の発達に伴う産業構造の変化
・DX化やAIの発達による仕事内容の変化
・ポストコロナにおける働き方の変化
・業務の効率化のため

それぞれの理由を解説します。

IT技術の発達に伴う産業構造の変化

IoTやビッグデータ、AIなどの発達によって第4次産業革命が起き、産業構造の変化に伴いIT技術に強みを持ったIT人材が多くの企業で求められています。

しかし、IT人材の確保は現在の採用市況において難易度が高く、社員をIT人材として育成するリスキリングが、産業構造の変化に対応するために注目を集めています。

DX化やAIの発達による仕事内容の変化

DXの推進やAIの発達によって、仕事内容が変化してきています。例えば、AIによって職人の技を再現できたり、自動車の自動運転が普及したりすると、物作りの技術者やタクシー運転手などが機械に代わる可能性があります。

そのため、DX化などによって仕事内容が変わっても、社員が引き続き知識やスキルを活かして活躍できるように、リスキリングへの取り組みが求められています。

ポストコロナにおける働き方の変化

新型コロナウイルス感染症が流行したことで、働き方に変化が生じました。例えば、リモートワーク制度の導入や、紙ベースの仕事のペーパーレス化などです。

変化した働き方に適した知識やスキルがないと、業務を進めることが難しくなるため、リスキリングが注目されています。

業務の効率化のため

厚生労働省によると、日本は少子化の影響で、労働力人口(15歳~64歳)が減少し続けていくと予測されています。2020年には7509万人いた労働力人口が、2040年には6213万人、2070年には4535万人になるとされており、足りない労働力を補うには、業務効率化を図って社員一人ひとりの生産性を向上させることが求められています。

時代の変化に対応し、業務効率化を図っていくには、社員を戦略的に育成するリスキリングの実施が不可欠でしょう。

参考:厚生労働省「我が国の人口について

リスキリングで注目したい分野と関連資格

産業構造や働き方が変化している現代において、仕事で活躍していくためにも、リスキリングに取り組むことは大切です。

リスキリングで注目したい分野と関連資格をご紹介します。

デジタル・IT分野

IT技術の発達やDX推進があるため、デジタル・IT分野のリスキリングをすると、仕事で活躍できる可能性が高いです。

データを分析し、適切に判断するデータサイエンスのスキルは、企業の事業を成功させるために重要です。また、ITに関連する製品やサービスを生み出せるプログラミングスキルを持つ人材も需要が高く、今後益々活躍が期待できます。

AIやクラウドはビジネスシーンで活用されることが増えているため、AIやクラウドに精通している人材も需要があります。デジタルデータを扱うということは、サイバー攻撃に備えることも重要です。サイバーセキュリティのスキルを持っている人材は、機密情報やシステムを守るために必要でしょう。

デジタル・IT分野に関連する資格の一例をご紹介します。

・ITパスポート
・基本情報技術者試験
・ビジネス統計スペシャリスト
・AWS認定資格
・情報セキュリティマネジメント

建築・建設分野

建築・建設分野は、今後も需要が続く業界です。なぜなら、建物は一度建てたあとも、老朽化したり災害に遭ったりして破損する可能性が高く、補強や立て直しが必要だからです。また、新たな建造物も建てられるでしょう。

人手不足といわれている建築・建設業界で活かせる資格を取得しておくと、時代が変化しても活躍し続けられると考えられます。

下記は、建築・建設業界に関連する資格の一例です。

・建築士
・宅地建物取引士

経理分野

経理分野のスキルとしては、企業の財政状態や経営状態を財務諸表から分析・把握できることが求められます。企業を継続的に経営していくために、重要なスキルといえるでしょう。

経理分野に関連する資格は、次のとおりです。

・公認会計士資格
・税理士資格
・日商簿記検定
・FP(ファイナンシャルプランナー)

語学分野

現代はグローバル社会であり、海外の人とコミュニケーションを取る機会も増えてきています。

そのため、日本語以外も話せるように語学をリスキリングすると、海外の顧客とも取引できるようになり、業績が上がるなどして自身の評価向上につながるかもしれません。

語学分野としては、下記のような資格が挙げられます。

・TOEIC
・TOEFL
・ドイツ語検定

リスキリングで活用できる補助金

リスキリングで活用できる補助金は、企業向けのものと個人向けのものがあります。

企業向け・個人向けのそれぞれの制度をご紹介します。

人材開発助成金【企業】

人材開発助成金は、厚生労働省によって企業向けに設けられている助成金制度で、次の4つのコースがあります。

・人材育成支援コース
・教育訓練休暇等付与コース
・人への投資促進コース
・事業展開等リスキリング支援コース

人材開発助成金のうち、事業展開等リスキリング支援コースが、従業員にリスキリングを実施した場合に訓練にかかった経費や訓練期間中の賃金の一部を助成してもらえる制度です。経費は75%の助成率(中小企業以外は60%)、賃金は960円の助成額(中小企業以外は480円)です。

事業展開等リスキリング支援コースは、令和4年~8年度までの期間限定の助成金制度のため、リスキリングに取り組みたい人は、勤めている企業の担当者に伝えてみるといいでしょう。

参考:厚生労働省「人材開発支援助成金

DX リスキリング助成金【企業】

DXリスキリング助成金とは、都内の中小企業等が従業員に対してDXに関する職業訓練を実施する場合に経費を助成してくれる制度のことで、東京都が管轄しています。助成額は、経費の3分の2で、最大64万円です。

DXに関する職業訓練の例として、DX推進を目指したマネジメント講座や、情報セキュリティ対策講座、組織力向上のためのプレゼンテーションソフト活用講座などがあります。

DXリスキリング助成金の対象となるのは、都内に本社または事業所の登記がある企業であり、すべての企業が申請できない点に注意が必要です。

参考:公益財団法人東京しごと財団「 DXリスキリング助成金

教育訓練給付制度【個人】

教育訓練給付制度とは、厚生労働省が管轄する制度で、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・終了した場合、受講費用の一部が支給されます。

教育訓練の種類と給付率、対象講座を表にまとめました。

教育訓練の種類・給付率 対象講座(例)
専門実践教育訓練
(最大で受講費用の70%※年間上限56万円)
  • 業務独占資格などの取得を目標とする講座(看護師・美容師など)
  • デジタル関係の講座(第四次産業革命スキル習得講座など)
  • 大学院、大学、短期大学、高等専門学校の過程(MBA、教職大学院など)
  • 専門学校の過程(職業実践専門課程など)
特定一般教育訓練
(受講費用の40%※上限20万円)
  • 業務独占資格などの取得を目標とする講座(介護職員初任者研修、大型自動車第一種・第二種免許など)
  • デジタル関係の講座(ITSSレベル2相当以上の情報通信資格の取得を目標とする講座など)
一般教育訓練
(受講費用の20%※上限10万円)
  • 資格の取得を目標とする講座(輸送・機械運転関係、Webクリエイターなど)
  • 大学院などの過程(修士・博士の学位などの取得を目標とする過程)

 

制度の対象となる教育訓練は約15,000講座あるため、自身がスキルアップしたい講座を選び、受講すると、補助金を使って金銭的な負担を減らしながらリスキリングできるでしょう。講座の検索は、厚生労働省のサイトにある「検索システム」で行えます。

教育訓練給付制度を受けるには、雇用保険の加入期間などの条件を満たすことが必要です。

例えば、受講開始日時点で在職中・雇用保険に加入している人や離職してから1年以内の人は、過去に教育訓練給付を受けたことがなく、雇用保険の加入期間が1年以上ある場合に給付を受けられます。

また、過去に教育訓練給付を受けたことがある人も、下記のいずれにも該当すれば教育訓練給付を受けられます。

① 前回の受講開始日以降に雇用保険の加入期間が3年以上ある
② 前回の支給日から今回の受講開始日までに3年以上経過している

教育訓練給付は、パートやアルバイト、派遣労働者も対象です。

教育訓練給付制度の活用を検討している人は、厚生労働省のサイトを確認してみることをおすすめします。

参考:厚生労働省「教育訓練給付制度

リスキリングで自分の可能性を広げよう

リスキリングとは、働き方や仕事内容の変化に対応できるように、今後の業務で必要とされる知識やスキルを習得することです。

自分のスキルを上げ、変化が激しい現代においても仕事で活躍し続けられるように、「企業がリスキリングを実施するから仕方なく」という気持ちではなく、自主性を持ってリスキリングに取り組むことが大切です。

リスキリングで活用できる補助金のなかには、個人で受けられる制度もあるため、興味がある人は厚生労働省のサイトをチェックしてみましょう。

 

記事執筆や校正など文字に関わる仕事を幅広く行う元金融業のフリーライター。静岡県在住だけど岐阜県も大好き。戦国武将の推しは斎藤道三。(ブログ:https://enmojilaboblog.com/

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