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投稿者:

ZYAO22編集部

Stellantis様が参画するV2G AC実証実験に向け、V2X OBCを開発・提供

 ダイヤモンドエレクトリックホールディングス株式会社(本社:大阪市、社長:小野 有理)は、当社のV2X対応車載充電器 (OBC)を搭載したStellantis様の電気自動車(xEV)をカリフォルニア州に設置し、V2X対応OBCを介した本車両の充放電を通じてV2X ACの実効性を検証します。当社は2021年7月にStellantis様とV2X ACの実証実験に参画することに合意し、2022年8月にV2X対応車載充電器 (V2X OBC)を開発しました。

 

 温暖化対策としてxEVや再生可能エネルギーが普及拡大する中、xEVの充電による電力需要過多や再生可能エネルギーによる過剰供給や過小供給による系統の不安定化が懸念されています。そこで、xEVの蓄電池から系統に放電し系統安定化を図る V2G (Vehicle-to-Grid、系統連系)が次世代技術として期待されております。加えて、xEVの蓄電池を災害時の非常用電源として活用するV2H (Vehicle-to-Home、家全体をバックアップ)もあり、V2G, V2H等を総称する V2Xへの注目が高まっています。

 V2Xシステムの一つであるV2X ACでは、xEVに搭載されたOBCが充電並びに放電をし、売電、系統の安定化、並びに停電時のバックアップを実現します。そのため、OBCがパワーコンディショナ(PCS)として動作し、系統連系機能を有することが求められます。

 当社は「車と家をものづくりでつなぐ」をビジョンとして掲げ、自動車機器事業とエネルギーソリューション事業のシナジー向上に取り組んできました。その旗艦プロジェクトとして世界に先駆けて米国の系統連系機能を有するV2X対応OBCの開発を進め、実証実験参画に至りました。

 

 今後も当グループは、中長期経営計画【炎のスクラム】に掲げた新ビジョン【車と家を地球環境に資するものづくりでつなぐ】に基づき、公器としてお客様の発展に寄与し社会の豊かさに貢献するべく、挙社一致で連戦猛進して参ります。

 

実証実験の背景について

 V2XシステムにはxEVが交流(AC)で直接充放電するV2X AC, 住宅に設置する充電設備(EVSE)が交流直流の電力変換をし、EVSEがACで充放電するV2X DCがあります。V2X ACの場合、車に搭載されるOBCが交流直流変換を行い、OBCが充放電を行います。

 カリフォルニア州はxEV普及に向け、米国内でいち早くV2Xに関連するロードマップ※1を掲げました。またV2Xを必須とする法案※2も審議中です。その中で、カリフォルニア州はV2X DCに加え、トータルコストが安価と試算される※3 V2X ACへの投資も行っています。

 V2X ACでは移動体であるxEV特有の規制や規格開発が必要です。米国はV2X ACに関わる規制や規格開発で先行しており、これら規制・規格開発の促進並びに検証が本実証実験の目的の一つです。

 一方で現在、米国系統連系規定IEEE 1547-2018に準拠したOBCを搭載した車両は市場にありません※4。当社は世界に先駆けてIEEE 1547-2018準拠のV2X対応OBCを開発しました。その評価・検証も本実証実験の目的です。

  一方で、災害による停電が相次ぐ米国では、停電時にxEVから家をバックアップするV2Hも注目されています。本実証実験では、V2Hの評価も行います。

図 実証実験の構成

 

※1 California Vehicle-Grid Integration (VGI) Roadmap: Enabling Vehicle-based Grid Services.

※2 SB-233 Electric vehicles and electric vehicle supply equipment: bidirectional capability.

※3 FINAL REPORT OF THE VEHICLE TO GRID ALTERNATING CURRENT INTERCONNECTION SUBGROUP

※4 2023年4月現在、California Energy Commissionのデータベースより
https://database.epicpartnership.org/project/132493

 

当社開発品について

 今回実証実験に提供するV2X対応OBCは、米国系統連系規格IEEE 1547-2018に準拠し、スマートインバータ機能としてVolt-var, Volt-watt, Frequency droopといった先進機能、系統擾乱時に系統を保護するRide-through機能、単独運転検知・防止などの安全に関する機能を有しています。

 また、自動車技術者協会(SAE)が開発したV2X AC規格SAE J3072並びにV2G AC Profileに準拠し、スマートインバータ機能を実現するための情報交換やハンドシェイクを行います。

 さらに自立動作機能も有し、停電時に家をバックアップすることが可能です。

 

主な製品の仕様

基本性能

最大電力

充放電(有効)電力: +/- 6.6 kW
無効電力: +/- 6.6 kvar

最大AC電流

32 Arms

最大DC電圧

310~450 V

力率

0~+/-1で可変

系統連系機能

準拠規格

IEEE 1547-2018
IEEE 1547.1-2020 + UL 1741SB

IEEE 1547カテゴリ

Normal: B
Abnormal: III

連系電圧

240 V

連系周波数

60 Hz

スマートインバータ機能

あり
(Constant var, Constant PF, Volt-var, Volt-watt, Watt-var, Frequency droop)

系統保護機能

あり
(電圧ライドスルー・トリップ、
周波数ライドスルー・トリップ)

単独運転機能

あり (受動 + 能動)

自立動作機能

出力電力

6.6 kVA

出力電圧

単相2線式: 240 V (ソフトウェアにより変更可能)

電圧品質

Waveform X, Class 1 (IEC 62040-3:2021)

 

将来展望について

 本実証実験に参加することで、V2X ACのみならず、V2X DCも加えたV2Xエコシステムに対する規格、規制、そして市場動向をいち早く捕捉しています。

 V2X対応OBCに限らず、「車と家をものづくりでつなぐ」ための製品開発に生かしています。