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投稿者:

ZYAO22編集部

日本オープンイノベーション大賞内閣総理大臣賞受賞 産学官連携 日本初・世界最小の変形型月面ロボット開発

 宇宙航空研究開発機構(理事長:山川宏、以下「JAXA」)と株式会社タカラトミー(代表取締役社長 COO:富山 彰夫、以下「タカラトミー」)、ソニーグループ株式会社(代表執行役 会長 CEO:吉田 憲一郎、以下「ソニー」)、同志社大学(学長 小原 克博)の4者で共同開発した変形型月面ロボット(Lunar Excursion Vehicle 2(LEV-2)、愛称「SORA-Q」、以下「LEV-2」)は、内閣府の主催する第7回日本オープンイノベーション大賞※1のうち、最も優れたものとして表彰される内閣総理大臣賞を受賞し2月5日に表彰式が執り行われました。

2025年2月5日表彰式
©JAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学

 タカラトミーの玩具技術、同志社大学の小型ロボット開発技術、および、ソニーのIoTデバイス・イメージセンサ・画像処理技術をJAXAが有する宇宙関連技術と融合させ、超小型・軽量にも関わらず、月面を安定的に走行して自律制御で動作できるロボットLEV-2を開発したことが、オープンイノベーションによる成果として評価され、今回の受賞となりました。
 JAXA宇宙探査イノベーションハブ※2の枠組みを利用して産学官連携の共同研究を行い、将来の宇宙探査ミッションに貢献できる新しい技術を育てると共に、地上事業への展開を行うことを目的として推進してまいりました。
直径約78mm、質量228gの世界最小・最軽量の変形型月面ロボットLEV-2の開発に成功し、LEV-2は世界初の完全自律制御による月面探査を達成し、SLIMの着陸状態や周辺環境が分かる画像を撮影・送信した※3ことで、日本初の月面着陸ミッションに大きく貢献しました。

 また、今後の宇宙探査ミッションに必要不可欠な超小型ロボットの完全自律制御による月面探査、複数ロボットによる同時月面探査等の技術実証に成功しました。


変形型月面ロボット(LEV-2)が月面上で撮影したSLIMとその周辺の様子
©JAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学


変形型月面ロボット「SORA-Q」変身前(左)変身後(右)
(撮影場所:JAXA相模原キャンパス宇宙探査実験棟宇宙探査フィールド)
©JAXA/タカラトミー/ソニーグループ(株)/同志社大学 
◆受賞した取り組みでのその他の主な実績
・月面実証を通じて、ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社が開発・販売するIoT用ボードコンピュータSPRESENSE™※4の機能や信頼性を検証。研究利用及び製品販売の促進に寄与しました。

・LEV-2(「SORA-Q」)をタカラトミーが1/1 スケールモデル「SORA-Q Flagship Model」※5として商品開発。180以上の学校/科学館への配布、約40地域での展示/出張授業等、教育活動へも寄与しました。

◆4者の役割と概要

本取組の概要

 
◆今後について
 今回の変形型月面ロボット(LEV-2)の取組みは、4者にとって重要な成功事例であり、宇宙探査イノベーションハブの活動においても貴重な知見の獲得につながりました。変形型月面ロボットに続く新たなイノベーションを目指して、「宇宙探査」と「宇宙/地上でのビジネス・社会課題解決」の双方に有用(Dual Utilization)な技術や価値の創出及び宇宙/地上での利用の拡大を進めてまいります。

◆受賞にあたっての関係者のコメント
JAXA 宇宙探査イノベーションハブ 主任研究開発員 平野 大地
このような名誉ある賞を受賞できたことを大変光栄に思います。この受賞は、私たちが培ってきた異分野とのコラボレーションと共同創造の結果であり、宇宙探査技術の革新と地上ビジネスの振興を目指すJAXA宇宙探査イノベーションハブの取り組みが実を結んだ瞬間だと感じています。日本初・世界最小の月面ロボットSORA-Qは、玩具技術や最新IoTデバイス・画像処理技術を取り入れることで、世界初の完全自律制御による月面探査を達成し、日本初の月面着陸ミッションに大きく貢献しました。研究開発に参画いただいた企業・パートナーの皆様の支えと協力に深く感謝申し上げます。この受賞を励みに、異分野との連携をさらに強化し、社会課題の解決に向けた挑戦を続けていきます。

株式会社タカラトミー SORA-Qプロジェクトリーダー 赤木 謙介
名誉ある賞を賜り、光栄に存じます。
当社はSORA-Qのデザイン、構造機構設計、走行検証を主に担当いたしました。そこには我々が100年受け継いできた玩具作りの技術が活用されています。皆様を楽しく、笑顔にしたい、という思いのもと培ってきた「変形」や「ユニークな走行」などのおもちゃの技術が、レゴリスに覆われ動きにくい月面下での探査活動と、日本初の月面着陸に成功したSLIMの撮影に貢献できたことを大変うれしく思います。 
「SORA-Q」を通じて、宇宙の不思議さや素晴らしさを楽しく伝え、子どもたちが自然科学に興味を持つきっかけとなることや、未来を担う方々の育成に貢献できるよう、これからも「アソビ」を通して挑戦を続けてまいります。

ソニーグループ株式会社 リサーチプラットフォーム Exploratory Deployment Group 永田 政晴
この度は、共同研究に参画した変形型月面ロボットが名誉ある賞を頂戴し、光栄に思います。関係各所の皆様に改めて感謝申し上げます。
本共同研究において、当社は、IoT用ボードコンピュータSpresenseを活用し、月面ロボットの制御システムおよび画像処理技術の開発を主導しました。今後も新たな技術の創出と、その応用可能性の探索に積極的に取り組んでまいります。

同志社大学 生命医科学部 教授 渡辺 公貴
このたび、第7回日本オープンイノベーション大賞において、栄誉ある「内閣総理大臣賞」を受賞できましたこと、大変光栄に存じます。
本プロジェクトは、産学官の連携を通じて、日本初の月面着陸ミッションに大きく貢献しました。このような形で高い評価をいただいたことは、私たちにとって大きな励みとなります。
この受賞は、共に挑戦を続けてきたパートナー企業や関係機関の皆さまの多大なるご支援とご協力の賜物です。心より御礼申し上げます。同志社は今年、創立150年を迎えます。引き続き新しいことへの挑戦をしてまいります。

※1: 日本オープンイノベーション大賞
https://www8.cao.go.jp/cstp/openinnovation/prize/index.html
※2:JAXA宇宙探査イノベーションハブ
  https://www.ihub-tansa.jaxa.jp/
  科学技術振興機構(JST)のイノベーションハブ構築支援事業にて採択され、2015年4月より、国立研究開発法人における「イノベーションハブ」構築を支援する事業として進めました。当該事業終了後、2020年度からはJAXAの運営費交付金事業として継続し、宇宙探査と地上/宇宙でのビジネス・社会課題解決の双方に有用(Dual Utilization)な技術等について、非宇宙企業を中心とした民間企業参画型、かつオープンイノベーションによる共同研究に取り組んでいます。
※3:プレスリリース「変形型月面ロボットによる小型月着陸実証機(SLIM)の撮影およびデータ送信に成功」
  https://www.jaxa.jp/press/2024/01/20240125-4_j.html
※4:SPRESENSE™
  https://www.sony-semicon.com/ja/products/spresense/index.html
  SPRESENSEおよびロゴは、ソニーグループ(株)またはその関連会社の登録商標または商標です。
※5:SORA-Q Flagship Model
  https://www.takaratomy.co.jp/products/sora-q/