電通、「学生アスリート 就活まるわかり調査」を実施
-昇進や出世の意欲が高い一方で、競技活動と就活の両立には苦心-
2024年10月1日
株式会社 電 通
株式会社電通(本社:東京都港区、代表取締役 社長執行役員:佐野 傑)において、企業の人財採用におけるブランディングを支援するコンサルティングチーム「採用ブランディングエキスパート」※1は、体育会運動部所属の大学生および大学院生の計303人を対象に、就職活動やキャリア形成に関する意識調査「学生アスリート 就活まるわかり調査」(以下「本調査」)、調査期間:2024年7月22日~8月5日)を実施しました。
採用ブランディングエキスパートは、「Z世代就活生 まるわかり調査」※2など、電通のリサーチ力を生かした調査活動を行っています。その中でも本調査は、これまで実態の把握が難しかった「学生アスリート」の就職活動に焦点を当てた当チーム初の試みとなります。学生アスリートの多くが競技活動に熱心に取り組む一方で、業界・企業研究や自身のキャリアプランに向き合うための十分な時間が確保できず、結果として、学生アスリートと企業との間にミスマッチが生じていることが分かりました。学生アスリートが競技活動を通じて培った向上心や行動能力に期待する企業には、そうした実態を踏まえた採用活動が求められます。
本調査で得られた主なファインディングスは次のとおりです。
【主なファインディングス】
①学生アスリートの6割は「昇進や出世」に意欲を示している(学生アスリート 59.1%/就活生全般51.8%)。また、自身の性格や特徴について、「コミュニティ意識」(67.7%)、「競争心・向上心」(65.0%)、「勤勉さ・継続力」(49.5%)などに当てはまると回答。
②多くの学生アスリートは、一般的な就活期間中は競技活動に打ち込んでおり(部活動の引退時期は4年生:76.5%、週5日以上の活動:70.3%)、秋・冬のインターンシップへの参加率が就活生全般と比較して約20ポイント低い。
③学生アスリートの就活中の主な悩みは、「何から始めれば良いのか分からない」(33.9%)、「自分自身のやりたい仕事・キャリアイメージが分からない」(33.3%)、「自分に向いている仕事・職業が分からない」(32.3%)。
④「企業の認知」から「入社決定」に至る就活の各ステップで、学生アスリートにとって最も影響を及ぼした存在は、いずれも「部活動の先輩・同期」。
注)本調査における構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があります。
注)本リリースにおける「就活生全般」のデータは、2024年4月公表の「Z世代就活生 まるわかり調査2024」に準拠しており、その際の調査対象は「キャリア支援NPO法人「エンカレッジ」登録の2024年または2025年卒業予定大学生・大学院生」で、818人(文系467人、理系351人/大学生531人、大学院生277人、休職・留年中10人)から有効回答を得ています。
※1 2024年2月2日 「電通、企業のZ世代の採用を対象としたコンサルティングチーム「採用ブランディングエキスパート」を発足」
※2 2024年4月15日 「電通、「Z世代就活生 まるわかり調査2024」を実施」
【各ファインディングスの詳細】
①学生アスリートの6割は「昇進や出世」に意欲を示している(学生アスリート 59.1%/就活生全般51.8%)。また、自身の性格や特徴について、「コミュニティ意識」(67.7%)、「競争心・向上心」(65.0%)、「勤勉さ・継続力」(49.5%)などに当てはまると回答。
・「あなたは入社先で昇進や出世をしたいと思いますか」に対して、学生アスリートの59.1%が「とてもそう思う」と回答(就活生全般 51.8%)。【図表1】
・自身の性格・特徴については、「コミュニティ意識(自分の所属しているコミュニティを大切にする)」(67.7%)、「競争心・向上心(目標達成には努力を惜しまない)」(65.0%)などの回答が多く、「勤勉さ・継続力(こつこつと努力を継続することができる)」(49.5%)などが続く。【図表2】
【図表1】
【図表2】
②多くの学生アスリートは、一般的な就活期間中は競技活動に打ち込んでおり(部活動の引退時期は4年生:76.5%、週5日以上の活動:70.3%)、秋・冬のインターンシップへの参加率が就活生全般と比較して約20ポイント低い。
・学生アスリートの部活動の引退時期は「4年生 11-3月」が49.8%、「4年生 4-10月」が26.7%と、約8割が就活が本格化する4年生まで競技を継続している。70.3%が「週5日以上」部活動に参加。【図表3】
・夏のインターンシップ参加率(学生アスリート:86.8%、就活生全般:88.2%)がほぼ同率な一方で、大会時期と重なる事が多い秋を含む、10-3月のインターンシップは学生アスリートが63.8%となり、就活生全般(85.1%)より約20ポイント低い。【図表4】
【図表3】
【図表4】
③学生アスリートの就活中の主な悩みは、「何から始めれば良いのか分からない」(33.9%)、「自分自身のやりたい仕事、キャリアイメージが分からない」(33.3%)、「自分に向いている仕事・職業が分からない」(32.3%)。
・学生アスリートが就活中に感じた悩みは、「何から始めれば良いのか分からない/就職活動全体の流れやステップが分からない」(33.9%)、「自分自身のやりたい仕事・キャリアイメージが分からない」 (33.3%)、「自分に向いている仕事・職業が分からない」(32.3%)など、就活そのものやキャリア形成に関する項目が多い。【図表5】
・所属部の活動時間を確保すると、イベント参加や各種準備時間を捻出できない悩みについても一定数が回答した。【図表5】
【図表5】
④「企業の認知」から「入社決定」に至る各ステップで、学生アスリートにとって最も影響を及ぼした存在は、いずれも「部活動の先輩・同期」。
・学生アスリートにとって、「企業の認知」「企業理解」「エントリー」「入社決定」の就活の各ステップで、最も影響を及ぼした存在はいずれも「部活動の先輩・同期」、次いで「部活動の卒業生(OB/OG)」。【図表6】
・就活生全般は就活の各ステップで影響を及ぼした存在が変遷しており、学生アスリートとの違いが現れた。【図表6】
【図表6】
【調査担当者の解説】
多くの学生アスリートが、身近な場所のみで情報収集を行い完結させる、言うなれば「半径5m就活」を行っている可能性が高いです。部活動の先輩・同期・卒業生の影響力が非常に大きく、企業の説明会での情報や親・親族の意見なども積極的に取り入れる就活生全般とは、情報収集方法が大きく異なります。こうした原因で、就活の最中に、就活そのものやキャリア形成に関する根本的な悩みを感じ、企業とのミスマッチが生じる懸念があります。
また、競技活動に打ち込む一方で、就活に充てる時間が十分に捻出できず、特に秋・冬インターンシップの参加率が就活生全般に比べ低い傾向です。
昇進や出世の意欲、向上心が高い学生アスリートのポテンシャルに期待する企業も多く、学生アスリートの実態を踏まえた採用活動が求められています。
例えば、部活動のオフシーズンかつ就活本格化前のタイミング(2年生の1~3月等)でのアプローチや、実際の業務内容やキャリアパスを具体的にイメージできるキャリア教育に近いコンテンツを準備し、学生アスリートとの接点を設けるなどの手法が効果的であると考えられます。
【調査概要】
・目 的:学生アスリートの就活に関する意識や本音を把握・分析し企業の採用活動に貢献
・対象エリア:日本全国
・対象者条件:体育会運動部に所属する大学生及び大学院生
・有効回答数:303人
・調 査 手法 :インターネット調査
・調 査 期 間 :2024年7月22日~8月5日
・調 査 機 関 :株式会社RECCOO(リクー)
・調 査 協 力 :一般社団法人 大学スポーツコンソーシアムKANSAI(KCAA)
「学生アスリート 就活まるわかり調査」は、電通が提唱する、事業グロースのための次世代マーケティングモデル「Marketing For Growth」の4つのプロセスのうち、「Mechanism Resolving(市場構造解明、インサイト解明)」に該当する取り組みです。
「Marketing For Growth」については以下リリースをご確認ください。
https://www.dentsu.co.jp/news/business/2024/0130-010682.html
以上