札幌市中心地に10階建て耐火木質ビル~地元産業と若者を支援する拠点に~
2024/04/30
住友林業
外観
(2024年4月撮影)
札幌市の地下1階地上10階建ての耐火木質ビル「木NINARU(キニナル) BLDG(ビルディング).」※1が4月29日に開業しました。本施設で株式会社Beppo Corporation(社長:金 亮都 本社:東京都渋谷区)が北海道の産業と若者を支援し、新たな出会いや刺激を生み出す拠点にします。
設計は主に株式会社アトリエオンド一級建築士事務所(社長:大島 亘 本社:札幌市中央区)が、施工は株式会社熊谷組(社長:上田 真 本社:東京都新宿区)と住友林業株式会社(社長:光吉 敏郎 本社:東京都千代田区)がそれぞれ担当しました。本施設は鉄骨造で上層階には木質ハイブリット集成材※2を使用。外装で使用した木材も含め、すべて北海道産材で木のぬくもりを感じることができます。
※1.旧名称は仮称:KAGAプロジェクト。
※2.鉄骨造でありながら集成材を耐火被覆して木質感ある仕上げにするのが特徴。
■施設の特徴
観光やビジネス、流行の中心地である札幌市中央区南1条通に面しています。1階はピスタチオ菓子専門店「佐藤堂本店」、2~3階はお酒を飲んだ後のシメパフェで知られるパフェ専門店「パフェ、珈琲、酒、佐藤」が入居。4~8階は木質感あふれる内装の「TREE BASE」が入り、4~6階のシェアオフィスは各テナント企業が利用、7~8階はコワーキングスペースとして5月1日から開業します。会員が活発に交流できる可変型のワークスペースや集中して作業するブースなど用途で使い分けられるように設計。常駐するコミュニティマネージャーが会員の交流を促し、札幌の成長のシンボルとなる場にしていきます。
■建築の特徴
北海道の若者と産業を支援する拠点となるため、設計段階から「ひと・もの・こと」が高次元でつながる場づくりを実現しようと考えました。狭小敷地で建築制限がある中でも空間構成や次世代につなぐ技術を取り入れています。
・空間構成 : コミュニケーションの活性化を促すために2層吹抜けのインナーテラスを設けてつながりのある空間にしました。
・次世代につなぐ技術 : 都市部のビルを木質化するため木質ハイブリッド集成材を北海道で初めて採用。各種木材は北海道産材を採用し北海道の林業・林産業にも貢献しています。
■物件概要
事業主:株式会社Beppo Corporation
場所:札幌市中央区南1条西2丁目1-2
敷地面積:139.05㎡
延床面積:1,152.02㎡
構造・階数:鉄骨造(7~10階に木質ハイブリッド集成材を使用)・地下1階 地上10階
設計:株式会社アトリエオンド一級建築士事務所・株式会社桜設計集団構造設計室
施工:熊谷組・住友林業共同企業体
スケジュール:2022年6月着工 2023年6月建物竣工 2024年4月内装工事完了
■Beppo Corporation概要
本社:東京都渋谷区渋谷2丁目10-15
代表者:金 亮都
設立:2013年11月
事業概要:自然農業の拡散と大衆化を目指し不動産投資事業を展開。農業のIT化推進事業、若い世代の活躍 できる空間の創出・建築・運営事業スタートアップベンチャー支援投資事業を行う。
アトリエオンド一級建築士事務所は様々な人々が関わり合いながら新たな価値が創造される「場」を創りだすことを目標に活動する設計事務所です。その目標を目指し、建築設計においてはプレイス・メイキングを理念の主軸に据え、これからの社会に必要な新たな資産となる「場」と「人」の双方を同時に造り育てていく総合的な建築・環境デザインを行っています。
本プロジェクトの建築に命を吹き込む一番重要なコンテンツとして、若者やベンチャー企業を支援するシェアオフィスと飲食店が入居することが決まり、より一層、建物の魅力を引き立ててくれることになると楽しみにしています。
熊谷組は2010年5月に環境省から「エコ・ファースト企業」に認定されて以来、「脱炭素社会への移行」、「循環型社会の形成」、「生物多様性への配慮」に関する取組みの約束を掲げています。約束達成に向け、事業活動でのCO2の削減、再生可能エネルギーの積極導入、大幅な省エネに貢献する「ZEB」の普及促進に取り組んでいます。また熊谷組は事務所などの「中大規模木造建築」建設の受注施工のために木質部材の開発や技術開発を行っています。今後も都市と森がつながる脱炭素の街づくりに貢献していきます。
住友林業グループは森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅・中大規模木造建築の請負や不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業をグローバルに展開しています。2030年までの長期ビジョン「Mission TREEING 2030」では住友林業のバリューチェーン「ウッドサイクル」を回すことで、森林のCO2吸収量を増やし、木造建築の普及で炭素を長期にわたり固定し、社会全体の脱炭素に貢献することを目指しています。今後も非住宅建築分野での木造化・木質化を推進し、木の魅力を最大限に生かした付加価値の高い商品・サービスを提供していきます。