国際無線通信規格Wi-SUN FAN1.1向け評価基板および 仮想空間で動作する無線機との相互接続環境の開発に成功
2024年5月10日
京都大学
国立大学法人 京都大学 大学院情報学研究科の原田博司教授の研究グループ(以下 京都大学)は、次世代電力スマートメータ等において今後利活用が期待されている国際無線通信規格Wi-SUN FAN 1.1向けの評価基板の開発に成功しました。
Wi-SUN FANは、Wi-SUNアライアンスが制定するスマートメータリング、配電自動化を実現するスマートグリッドおよび、インフラ管理、高度道路交通システム、スマート照明に代表されるスマートシティを無線で実現するためのセンサー、メーターに搭載するIPv6で20段程度のマルチホップ通信が可能な通信仕様です。京都大学は、株式会社日新システムズとローム株式会社と共同で、このWi-SUN FAN 搭載のWi-SUNアライアンス認証済み無線機の開発を2019年1月に世界で初めて行いました。また、Wi-SUN FAN version 1.0 (Wi-SUN FAN1.0)はIEEE 2857により国際標準化済です。以下に開発した評価基板の特徴を示します。
■ 国際無線通信規格Wi-SUN FAN1.1向けの評価基板
・従来の無線を利用したスマートメータリングシステムで用いられている100kbpsのFSK方式に加えて、最大2.4Mbpsの伝送速度が実現可能なOFDM方式が搭載されており、従来より最大20倍以上の伝送速度を実現可能
・利用用途、環境に応じて切り替えてFSK方式とOFDM方式を切り替えて運用することも可能
・次世代スマートメータリングシステム等のIoT(Internet of Things)用無線通信システムである国際無線通信規格Wi-SUN FANの最新の標準仕様Wi-SUN FAN1.1に準拠した通信ソフトウェアを搭載
また、開発したWi-SUN FAN1.1評価基板の伝送特性評価を行うために、仮想空間で無線通信を模擬・評価するワイヤレスエミュレータ上にて動作させたWi-SUN FAN1.1対応仮想無線機と開発されたWi-SUN FAN1.1実無線機との相互接続、評価環境を開発し、相互運用に成功しました。
今回の成果により、Wi-SUN FANの最新仕様を手軽に実無線機として評価できるだけではなく、現実空間にある無線機をあたかも仮想空間上で構築された地理空間上で設置された無線機として扱い、屋外実験等を行わずに評価することが可能となり、研究開発の加速化が期待できます。
詳しくは
https://www.dco.cce.i.kyoto-u.ac.jp/ja/PL/PL_2024_02.html
をご覧ください。