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ZYAO22編集部

ITRIは東京にて50周年記念式典を開催 台日間の多くの交流実績を紹介

長年に渡る台日友好を基に、次の50年を見据えた連携基盤を築く

2023年11月15日
工業技術研究院

 工業技術研究院(以下、ITRI)はこの半世紀、台湾の産業発展をリードしてきただけでなく、国際連携にも積極的に取り組んで来た。

 創立50周年を迎え、ITRIは日本において36年に渡り交流の根を下ろしており、去る11月13日に東京にて「ITRI創立50周年記念式典」を開催した。台湾経済部の王美花部長、台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表が出席し、現地で200人以上の台湾と日本の産業界、官界、学界、研究界の代表者が共に盛大に祝福をした。ITRIは長年に渡り、日本との国際的なパートナーシップを築き、産学研の架け橋を担ってきた。記念式典では、ITRIと長い協力関係を築いてきた日本の産学研界のパートナーも多く参加。この中には、最大級の公的研究機関の産業技術総合研究所 (AIST) 、東京工業大学、半導体材料の化学メーカーである株式会社トクヤマ、三菱電機株式会社、川崎市産業振興財団なども含まれ、ITRIの産業チェーンの強靭性と地域連携を築く台湾と日本の協力の結果を示した。

写真キャプション:ITRIが東京にて50周年記念式典会を開催し、200人以上の台湾と日本の産業、官界、学界、研究界の代表者が参加した。左から:NTT IOWN推進室室長川島正九、三菱電機国際本部長大家正宏、川崎市産業振興財団理事長三浦淳、産業技術総合研究所執行役員臼田孝、台北駐日経済文化代表謝長廷、ITRI院長劉文雄、台湾経済部部長王美花、株式会社トクヤマ社長横田浩、東京工業大学学長益一哉。
 
 台湾経済部・王美花部長によると、ITRIは常に台湾の技術研究開発と産業化を推進する役割を担っているが、創造的な起業育成の機能を備え、海外との国際連携の架け橋としての役割も担っていると述べ、産業のレベルアップ促進と国際的なイノベーションを同時に促すこのような役割は、世界の研究機関の中でも際立っている。台湾の高度な技術産業力は世界中で広く認識されており、2022年には台湾IC産業の生産額が4.84兆台湾ドルに達し、半世紀以上に渡り発展してきた半導体産業は、行政院や経済部など政治と経済界の多くの協力によって始動し、ITRIはその台湾の半導体産業の源泉と言える。過去50年間、ITRIは163以上の新興企業を創出し、そのうち35社が上場し、台湾のTSMC(台湾積体電路製造)やUMC(聯華電子)など、広く知られている企業も含まれている。
 近年、ITRIは台日交流において、従来の技術協力に加えて、今年の9月には九州半導体・デジタルイノベーション協議会(SIIQ)との協力覚書を締結し、半導体分野で双方のプラットフォームを活用した協力を行い、対象を地域全体の産業へと拡大した。
 王部長は、台日の産業政策の方向性が一致しており、技術の補完性が高い事を挙げ、ITRIの日本との協力テーマが多岐に渡ることに触れた。半導体、電子光学、機械、環境エネルギー、バイオ医療からAI、EVなどのクロスドメイン技術の統合テーマまで含まれており、日本が台湾にとって大変重要な国際パートナーであることを改めて確認し、台日の友好関係が次の50年にも継続され、両国産業の飛躍と国際競争力の向上を共に創造することを期待していると述べた。

 台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表は、ITRI設立50周年の祝賀行事に参加出来たことを非常に光栄であると述べた。更には50年前に、ITRIは台湾が困難な状況にあった中で誕生し、台湾を労働集約型産業から技術志向の国へと変革させ、台湾と世界の科学技術の発展に大きな影響を与えた。台湾の国際競争力は着実に向上しており、台湾が国際社会から高い評価を受け、国際企業と戦略的なパートナーシップを築き、産業のイノベーションを推進していることを証明していると述べた。
また、台湾と日本の産業は競争ではなく、互いに補完し合う関係であり、産業政策の方向性も一致している。両国の協力は相乗効果を生み出す事が出来、ITRIは国家の経済発展に合わせて進化し、「2035技術戦略とロードマップ」を研究方向として採用した。ITRIは時代の最先端に立ち常にイノベーションと研究開発を進め、台湾の経済産業の次の50年を切り開くために尽力し、台湾が国際舞台においてより一層輝くことが出来ることを期待していると述べた。

 劉文雄院長は、ITRIが1987年に日本事務所を設立し、前哨基地という優位性を生かして、日本の産学研、経済団体・協会などとの連携プラットフォームを構築し、「研究開発協力」、「技術商業化」、「サプライチェーン相互補完」、「投資促進」など4つの戦略による協力を通じて、ウィンウィンの成果を創出していると述べた。
 ITRIは研究開発の協力においては、半導体、電子・光電子システム、機械・メカトロニクス、グリーンエネルギー、材料、生物医学などの領域から、分野横断的な技術を統合したAI、EVなど幅広い領域において日本と連携をしている。
 技術の産業化に関しては、ITRIは産業技術総合研究所(AIST)と手を組み、触媒の大量生産の提携を通じて、台湾の石油精製所及び鉄鋼工場への導入を実現し、大幅な炭素排出削減を実現した。また、ITRIは日本の化学系大手と共に、電解による水素生成実験を行い、台湾台南の沙崙地区でのイオン交換膜開発に協力し、産業化に向けた一歩を踏み出している。
 サプライチェーン相互補完においては、台湾と日本の技術は高い補完性を持ち、サプライチェーンの関係は非常に深いと言える。ITRIは半導体産業において、日本との間で上流から下流の各段階で密接に協力関係を続けている。例えば上流ではITRIは日本企業と協力しナノレベルの不純物モニタリング検査や、シリコンカーバイド粉末プロセスを共同開発している。この粉末プロセスにおける提携は、日本の機器分野における優位性とITRIが自主開発した検査プラットフォームを組み合わせたもので、シリコンカーバイド粉末の自主的サプライチェーンを構築している。中流では日本の半導体装置メーカーと共にスパッタリングプロセスの専用装置を共同開発している。下流では日本と異種統合パッケージング技術についても協力を行っている。さらにより多くのベンチャー事業への投資を促すため、ITRIでは投資促進戦略を通じて、ITRI傘下の投資ファンド(ITIC)と日本の投資銀行と協力して台日ファンドを設立するなど、台日のスタートアップ企業にリソースを提供し、半導体、グリーンサステナビリティ、ヘルスケア産業などにおける革新的な技術市場を推進している。両国産業や経済発展に新たな価値を生み出すため、力を合わせて産業発展を強力に推進していくと述べた。

 創立50周年記念式典では、ITRIが長年培ってきた日本との連携の実りある成果が示された。強靱なグローバル・サプライチェーンの確立や2050年ネット・ゼロ・エミッションなど、世界的な重要課題に対して、国境を越えた連携を通して価値革新を加速させ、日本が台湾産業の技術発展における重要な国際パートナーとして、台湾と日本がより一層手を携え、ビジネスチャンスを創出し、ウィン・ウィンな関係を作り出すことが期待される。