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投稿者:

ZYAO22編集部

EY調査(CEO Outlook)、不確実性を成長機会と捉えるCEOが増加、戦略的取引への関心が高まる

■ CEOの57% が、地政学的・経済的不確実性は1年以上続くと予想しつつも、変動の激しい環境を乗り越える強い自信を示している。

 ■  72% が、ローカライゼーション(現地化※1)やリージョナライゼーション(地域化※2)を長期的な戦略転換と位置付けており、その多くが業務効率化に向けてすでに具体的な変革を進めている。

 ■  48% が、2025年にM&Aの実施を計画しており、ジョイントベンチャー(JV)や戦略的提携に意欲を示すCEOも73% と急増している。

 ■  日本企業のCEOは、地政学的・経済的不確実性の長期化を強く認識しており、1年以上続くと予測する割合は77%、3年以上続くと見る割合も46% と、グローバル平均を大きく上回っている。また、M&Aや戦略的提携への意欲も高く、売却・スピンオフ・IPOを計画する企業は76%、JV・提携への関心は96% と、積極的なポートフォリオ変革が進んでいる。

 

 

EYは、最新のM&Aに関する調査レポート「EY-Parthenon CEO Outlook調査」(以下、「本調査」)を発表しました。本調査は、世界のCEO 1,200人(日本70人)を対象に実施され、現状や将来に対する彼らの見解や楽観度を評価・分析しています。

 

本調査結果によると、世界のCEOの多くが、絶え間なく続く変動の激しい経済環境の中にあっても、それに適応する高いレジリエンス(回復力)と揺るぎない自信を示しています。

 

一方で、地政学的・経済的不確実性の見通しについて、CEOの57% が2025年以降も続くと見ており、24%は3年以上続くと予測しています。しかし、今回のCEOコンフィデンス指標(ビジネスの多様な側面にわたる世界のCEOの意識を、1〜100のスコアで定量化した指標)は83ポイントを記録し、前回(5月)の調査から7ポイントの上昇となりました。

 

CEOの回復力は、現在の不安定な状況がいずれ落ち着くという確信に支えられているわけではありません。

その回復力はむしろ、不確実性への適応、業務モデルの再構築、変化の受容、そして機動力の向上を通じて、揺れ動く世界経済の中でも、自ら成長の道を切り拓こうとする姿勢に根ざしており、こうした取り組みが自信の高まりにつながっています。

 

不確実な状況が続く中でも力強く成長する術を身に付ける

本調査結果の注目すべき点のひとつとして、CEOの間では、変化と変革を前向きに受け入れる傾向が強まっていることが挙げられます。実際、今後12カ月以内にポートフォリオ変革を加速するために投資を拡大する予定でいると回答したCEOは52% に上り、さらに39% が過去数年間と同水準の変革を継続する意向を示しています。

 

こうした中、多くのCEOが、加速する世界経済の構造的な変化を踏まえ、対応策として、現地化や地域化を進める動きを強めています。

これらの施策は、長期的な戦略転換として捉えられており、CEOの72%が現地化を、63%が地域化をそのように位置付けています。

目まぐるしく変化する市場環境や多様化する顧客ニーズへの対応が求められる今、こうした戦略的転換は、地域ごとのニーズに迅速に応えるうえで、ますます重要になっています。

 

この長期的な戦略アプローチは、CEOが進める地域・現地市場での取り組みにおいてすでに具体化されており、38%が現地化を完了、さらに36%が現在実行中であると回答しています。

地域化についても、21%が実施済みで、35%が現在実行中です。

多くのCEOにとって、現地化・地域化は、一時的な動きではなく、長期にわたって事業戦略の中核をなす本質的な変革となっています。

 

EY GlobalのVice Chair兼EY-ParthenonのGlobal LeaderであるAndrea Guerzoniは、次のように述べています。

「先進的なCEOは、変動の激しい環境がもたらす混乱にただ対応するのではなく、その混乱を変革の起点として捉え、自社の成長へとつなげています。

今回の調査結果からは、そうした姿勢のもと、事業運営における回復力と機動力を高めるために、現地化・地域化を戦略の中核に据えるという明確な転換が進んでいることが明らかになりました

このような戦略的な考え方が、予測困難な状況下でも機会を捉え、持続的な成長を実現する原動力となっています」

 

地政学的な不確実性の見通しについては、CEOの見方が分かれています。57% が「1年以上続く」と予測する一方で、24%は「3年以上にわたって続く」と見ています。しかしながら、規制の不透明さが自社の成長戦略を大きく妨げると考えるCEOはわずか19%にとどまっており、変化するグローバル環境の中でも、CEOは自社を力強く導いていくための自信と回復力を高めていることがうかがえます。

 

また、本調査では、CEOは直面する課題に向き合い、それらを乗り越える力への自信を深めていることが明らかになりました。例えば、インフレに関しては、79%が「今後1年間、業務運営に影響を与える主要な要因になる」と見ており、関税についても78%が「課題になる」と予測しています。テクノロジーは、2025年の取引計画を牽引する重要な要素ですが、機会だけでなく課題ももたらします。

実際、CEOの69%が、サイバーセキュリティの脅威によって、安心してイノベーションを進めることが難しくなっていると感じています。さらに、70%は、デジタル変革を妨げている最大の要因はテクノロジーそのものではなく、国や地域によって異なる一貫性のない規制であると考えています。

 

M&A活動は依然として活発であるが、一方で戦略的提携も新たな選択肢に

M&Aの見通しは明るく、CEOの約半数(48%)が従来型のM&Aを行う予定でいます。

また、企業が外部資源を活用して成長を目指す動きが広がる中、実に73%のCEOが、JVや戦略的提携への参加を見込んでいます。こうした関心の高まりは、変動の激しい環境下で、完全買収の複雑さを避けながら、柔軟にイノベーションと成長を進められる「アジャイル型の外部成長戦略」への志向が強まっていることを示しています。

 

M&Aの進出先は、米国が依然として最も多く選ばれており、カナダ、英国、インド、ドイツがそれに続いています。 さらに、M&Aの目的にも注目すべき動きが見られます。M&Aを進めるCEOの41%が、対象企業の技術力や知的財産(IP)に目を向けており、これは、今日の競争環境において、技術革新がいかに重要な戦略要素となっているかを物語っています。

 

M&Aに対する意欲は多くの業界で高まりを見せていますが、今後12カ月間の傾向としては、特に石油・ガス、保険、ヘルスケアの分野で 最も高い意欲が示されています。一方で、メディア・エンターテインメント、銀行、金属・鉱業、テクノロジーの分野 では、JVや戦略的提携を選択する可能性が高いと考えられます。

 

Guerzoniはまた、次のように述べています。

「CEOの多くが、取引のあり方を見直す中で、俊敏性とリスク分散を両立できる戦略的パートナーシップに注目しています。不確実性の高い時代においては、考え方の変革が不可欠です。協業は、不確実性を乗り越え、成長を加速させるための有効な手段として重要性が増しています。

世界のCEOは、今日の複雑なビジネス環境に適応するために、現地化、変革を促す戦略的な取引、テクノロジーへの投資などに力を入れています。これらの取り組みは、絶えず課題に直面しながらも、企業が力強く成長する基盤となります」

 

日本企業の動向についてEY Japan EY-Parthenonリーダー 川口 宏は次のように述べています。

「日本企業のCEOは地政学的・経済的不確実性の長期化を強く認識しています。『1年以上続く』と予測する割合は77%、『3年以上続く』と見る割合も46%と、いずれもグローバル平均を大きく上回ります。背景には、中国・台湾情勢、海外からの資源依存、円安・インフレなど複合的なリスクがあり、日本企業は慎重な姿勢を強めています。 ただし、日本のM&A市場の活発さを踏まえると、守り一辺倒ではなく、アクティビスト対応や資本効率改善、ESG対応のプレッシャーを背景に、ポートフォリオ変革が加速しています。ノンコア事業の切り離しと成長領域への集中が進む中、今回の調査でも、売却・スピンオフ・IPOを計画する企業が76%と高水準で、ジョイントベンチャーや戦略的提携への意欲も96%と突出しています。単独でのリスクテイクよりも、パートナーシップを通じて新市場や新技術へのアクセスを図る姿勢が鮮明です。

さらに、サプライチェーン再構築の観点から、日本企業は現地化・地域化を不可逆的な戦略転換と捉えています。現地化を長期戦略と回答した割合は94%、地域化も74%と高く、背景には、トランプ関税や米中対立、台湾情勢、物流コスト高騰などによる圧力があり、グローバル一極集中モデルからの脱却が急務です。日本企業は『守りと攻め』を両立し、リスク分散と成長機会の確保を同時に進める戦略転換を加速させています」

 

※1現地化:国単位でのローカルサプライチェーン化。地産地消の考えに基づきサプライチェーンを構築する戦略。 製造拠点を消費地に近づけることで、輸送コストの削減、供給リスクの低減、地元経済への貢献などを目的としています。

 

※2地域化:地域単位でのサプライチェーン化。特定の地域ブロック(例:ASEAN、EU、北米など)において、複数国間でサプライチェーンを構築する戦略。 地域内での貿易協定や関税優遇、地理的近接性を活生かして、効率的かつ安定した供給体制を築くことを目的としています。

 

本調査のすべての内容は、以下のサイトでご覧いただけます:

EY-Parthenon CEO Outlook調査(2025年9 月期)

CEO調査 2025年9月期 地政学リスク時代の成長戦略 | EY Japan | EY Japan

 

※本ニュースリリースは、2025 年9月18日(現地時間)にEYが発表したニュースリリースを翻訳したものです。英語の原文と翻訳内容に相違がある場合には原文が優先します。

英語版ニュースリリース:

CEO mindset shift: renewed focus on strategic transactions as leaders acclimatize to volatility | EY - Global

 

 

 

本調査について

EYは、Financial Times Groupの専門的調査・コンテンツマーケティング部門であるFT Longitudeに委託し、2025年の3月から4月にかけて、世界中の大手企業のCEO1,200人を対象に匿名のオンライン調査を実施しました。本調査は、世界の主要企業に影響を与える重要なトレンドや動向について、また、将来的成長と長期的価値創造に対するビジネスリーダーの期待などについて有益な気付きを提供することを目的としています。

回答者は、21カ国(ブラジル、カナダ、メキシコ、米国、ベルギー、ルクセンブルク、オランダ、フランス、ドイツ、イタリア、デンマーク、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、英国、オーストラリア、中国、インド、日本、シンガポール、韓国)から選ばれ、5つのセクター(消費財・ヘルスケア、金融サービス、工業・エネルギー、インフラ、TMT〈テクノロジー・メディア&エンターテインメント・テレコム〉)にわたります。

調査対象企業の年間の全世界売上高構成は、5億米ドル未満(20%)、5億以上9億9,999万米ドル以下(20%)、10億米ドル以上49億9,999万米ドル以下(30%)、50億米ドル以上(30%)です。

 

EYについて〉

EYは、クライアント、EYのメンバー、社会、そして地球のために新たな価値を創出するとともに、資本市場における信頼を確立していくことで、より良い社会の構築を目指しています。 データ、AI、および先進テクノロジーの活用により、EYのチームはクライアントが確信を持って未来を形づくるための支援を行い、現在、そして未来における喫緊の課題への解決策を導き出します。 EYのチームの活動領域は、アシュアランス、コンサルティング、税務、ストラテジー、トランザクションの全領域にわたります。蓄積した業界の知見やグローバルに連携したさまざまな分野にわたるネットワーク、多様なエコシステムパートナーに支えられ、150以上の国と地域でサービスを提供しています。

 

All in to shape the future with confidence.

 

EYとは、アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドのグローバルネットワークであり、単体、もしくは複数のメンバーファームを指し、各メンバーファームは法的に独立した組織です。アーンスト・アンド・ヤング・グローバル・リミテッドは、英国の保証有限責任会社であり、顧客サービスは提供していません。EYによる個人情報の取得・利用の方法や、データ保護に関する法令により個人情報の主体が有する権利については、ey.com/privacyをご確認ください。EYのメンバーファームは、現地の法令により禁止されている場合、法務サービスを提供することはありません。EYについて詳しくは、ey.comをご覧ください。

 

本ニュースリリースは、EYのグローバルネットワークのメンバーファームであるEYGM Limitedが発行したもので、顧客サービスは提供していません。

 

EY-Parthenonについて

EY-Parthenonは、変革戦略、トランザクション、コーポレートファイナンスを独創的に組み合わせることで、単なる机上の空論ではない実際に機能するソリューションを提供しています。

私たちは絶えず複雑さを増す世界を前に、EYが提供する包括的なサービスラインアップを活用しながら、未来に対応する戦略コンサルティングです。職能領域に関する深い知識とセクターごとの専門性を備え、革新的なAI技術と投資家の視点を組み合わせることで、CEOをはじめとする経営層、投資機関、政府機関といったパートナーと共に、一歩ずつ、確信を持って未来を形作る支援をします。

EY-ParthenonはEYにおけるブランドの一つであり、このブランドの下、戦略コンサルティングサービスをEYメンバーファームが世界各地で提供しています。詳しくは、ey.com/ja_jp/services/strategy/parthenonをご覧ください。