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投稿者:

ZYAO22編集部

NITE、高齢者の「除雪機」による事故防止対策報告書を公表

~高齢者の除雪機による事故を減らすためのリスク低減・防止策を提言~

独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE(ナイト))は、「除雪機の事故防止対策報告書」を公表しました。
本報告書は、高齢者の重篤な事故を防ぐために、NITEが除雪機の製品の特徴や事故の状況などを踏まえたリスクアセスメントを実施し、分析結果から導き出したリスク低減策や事故防止対策を取りまとめたものです。
2007年度から2023年度にNITEが収集した除雪機による事故情報は100件あり、そのうち死亡事故は45件、重傷事故は22件発生しています。死亡事故の件数が多い危害シナリオは「ひかれ」「巻き込まれ」「挟まれ」の事故で、重傷事故の件数が多い危害シナリオは除雪機に「手を突っ込む」事故でした。
報告書では、重篤な人的被害に至る危害シナリオである「ひかれ」「巻き込まれ」「挟まれ」「手を突っ込む」について、リスクアセスメントを実施しました。

図 除雪機の「巻き込まれ」死亡事故のイメージ(左)、除雪機の「挟まれ」死亡事故のイメージ(右)

>>「除雪機の事故防止対策報告書」 https://www.nite.go.jp/jiko/report/risk/snow_throwers.html

 

除雪機の事故情報分析

NITEが2007年度から2023年度に収集した除雪機の事故情報は 100件です。この100件について、危害の類型を取りまとめ、危害を「ひかれ」「巻き込まれ」「挟まれ」「手を突っ込む」「火災」「CO中毒」の6シナリオに分類しました。
危害シナリオ別に人的被害を整理すると、死亡・重傷事故の件数が多いのは「ひかれ」「巻き込まれ」「手を突っ込む」「挟まれ」でした。なお、事故件数は「火災」が28件で最多ですが、死亡・重傷事故に至っておりません。

図 危害シナリオ別の被害の割合

 

除雪機のリスクアセスメント

NITEが収集した除雪機の事故情報をもとに、経済産業省発行の「リスクアセスメントハンドブック」の内容に沿ってリスクアセスメントを実施しました。対象とした危害シナリオは、重篤な人的被害に至る割合が高く、事故件数も多い「ひかれ」「巻き込まれ」「挟まれ」「手を突っ込む」の4シナリオです。
以下に、デッドマンクラッチを搭載した製品において、各危害シナリオに有効な対策例を掲載します。なお、2023 年(令和 5 年)4 月 1 日以降に生産された車両重量 350kg 以上の製品で実装されている低減策については、その旨を追記しています。

「ひかれ」(死亡)
「ひかれ」の典型的なシナリオは、除雪機を使用して後退中、使用者が転倒して除雪機にひかれた事故です。
以下の対策の組み合わせにより、許容可能なリスクレベルまでリスク低減が可能です。
1. 後進時の速度を小さくする。(2023 年度以降に生産された 350kg 以上の製品で実装。)
2. 後進時非常停止バーを装備する。(2023 年度以降に生産された 350kg 以上の製品で実装。)
3. クローラにひかれ防止用のカバーを装備する。
4. 音による後退の周知で誤操作を防止する。

「巻き込まれ」(死亡)
「巻き込まれ」の典型的なシナリオは、除雪機を使用中、オーガに接触した事故です。
以下の対策の組み合わせにより、許容可能なリスクレベルまでリスク低減が可能です。
1. 回転部にガードを装備する。
2. 人感センサを装備し、接近時に回転を停止する。
3. 使用時には滑りにくい靴を着用する。

「挟まれ」(死亡)
「挟まれ」の典型的なシナリオは、除雪機を使用して後退中、建物と除雪機に挟まれた事故です。
以下の対策の組み合わせにより、許容可能なリスクレベルまでリスク低減が可能です。
1. 後進時の速度を低くする。(2023 年度以降に生産された 350kg 以上の製品で実装。)
2. 後進時非常停止バーを装備する。(2023 年度以降に生産された 350kg 以上の製品で実装。)
3. 挟まれ検知後に前進する機構を装備する。

「手を突っ込む」(重傷)
「手を突っ込む」の典型的なシナリオは、除雪機を使用中、雪が詰まったブロワの雪をかき出そうと回転部に手を入れた事故です。
以下の対策の組み合わせにより、許容可能なリスクレベルまでリスク低減が可能です。
1. 雪詰まりを低減する素材・構造へ変更する。
2. 手を突っ込んでもブロワに触れない構造へ変更する。
3. 雪かき棒を使って雪詰まりを解消するよう徹底する。

 

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 製品安全センターの概要 

NITE 製品安全センターには、消費生活用製品安全法などの法律に基づき、一般消費者が購入する消費生活用製品(家庭用電気製品やガス・石油機器、身の回り品など)を対象に毎年1千件以上の事故情報が寄せられます。
製品安全センターでは、こうして収集した事故情報を公平かつ中立な立場で調査・分析して原因究明やリスク評価を行っています。原因究明調査の結果を公表することで、製品事故の再発・未然防止に役立てています。