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投稿者:

ZYAO22編集部

健康的な生活習慣がワクチン接種後の有害事象を減らす

~朝食摂取と十分な睡眠確保の重要性~

2024年6月26日
岐阜大学

健康的な生活習慣がワクチン接種後の有害事象を減らす ~朝食摂取と十分な睡眠確保の重要性~

【本研究のポイント】
・岐阜大学の大学生の新型コロナワクチンの有害事象は高い頻度で発生しましたが、重篤なものや、入院が必要なものはありませんでした。
・新型コロナワクチン接種後の有害事象は、新型コロナワクチンの接種回数が増えることと、女性、BMIの低さが有害事象の発生率の高さと関連していました。
・朝食の定期的な摂取習慣と睡眠時間を長くとる生活習慣のある大学生では有害事象の発生率の低下と関連していました。

【研究概要】
 岐阜大学大学院医学系研究科感染症寄附講座の手塚宜行特任教授、岐阜大学保健管理センターの山本眞由美教授らのグループは、岐阜大学の大学生を対象とした研究で、新型コロナワクチン接種後の有害事象が、朝食の摂取と十分な睡眠時間をとる習慣のある大学生においては、発生率が低くなる事を報告しました。
 岐阜大学の大学生における新型コロナワクチン接種後の有害事象は、高い頻度で発生しましたが、生命を脅かされるような重篤なものや入院を要するものはありませんでした。特に接種回数が多いこと、女性であること、BMIが低いことが有害事象の発生率の高さと関連していました。生活習慣では、朝食の定期的な摂取と睡眠時間を長くとる生活習慣のある大学生は、有害事象の発生率が低いことが明らかになりました。健康的な食事と睡眠習慣、理想体重の維持が若年成人における新型コロナワクチン接種後の有害事象を減らすことが分かりました。今後、他の種類のワクチンでも有害事象の減少に関与する要因に関する研究が進むことが期待されます。
 本研究成果は、日本時間2024年6月22日にVaccine: X誌(Elsevier社)のオンライン版で発表されました。

【研究背景】
 新型コロナワクチンは、新型コロナウイルス感染に伴う入院や死亡など重篤な合併症を予防する効果が示されていますが、特に若年成人では新型コロナワクチン接種に伴う有害事象の発生率が高く、それに対する懸念からワクチン接種を躊躇う人が多いのが現状です。

【研究成果】
 岐阜大学の大学生を対象に、新型コロナワクチンの接種を受けた後の有害事象の発生率とそれを予防する要因を明らかにするために健康診断での生活習慣に関する情報と照らし合わせる研究を行いました。
 岐阜大学の大学生では、ワクチン接種当日もしくは翌日にワクチンを接種した部位の症状が89.7%、全身的な症状が64.3%に認められました(表1)。ワクチン接種に関連する要因を調べたところ、ワクチン接種回数が増えるほど、および女性であるほど、接種した部位と全身的な症状の発現率は高くなりました。またBMIが高いほど、全身的な症状の発生率が低いことが分かりました。またワクチン接種後の症状に関連する生活習慣を調べたところ、朝食を摂る頻度が高いほど、ワクチン接種当日の全身的な症状の発生率が低いことが分かりました(表2)。

 細かい症状をみていくと、BMIが高くなるにつれて、ワクチンを接種した部位の発赤や頭痛、発熱が起こりにくくなることが分かりました。朝食を少なくとも週に2回以上摂取していると、ワクチンを接種した部位のかゆみが起こりにくくなり、朝食の摂取頻度が増えるほど、腹痛・下痢などの全身的な症状の発生率が低くなることが分かりました(図1)。また睡眠時間が長いほど、腹痛・下痢の発生率が低くなることが分かりました(図2)。

【今後の展開】
 健康的な食事と睡眠習慣、理想体重の維持が若年成人におけるmRNA※1ベースのワクチンの接種後の有害事象を減らすことが分かりました。今後は他のワクチンなどでも同様の研究を行うことで、科学的な根拠をもって健康的な生活習慣の維持がワクチンの有害事象への懸念を払しょくすることとなり、ワクチン接種を躊躇う人に対して、より不安の少ない予防接種の提供につながることが期待されます。

【用語解説】
※1 mRNA(メッセンジャーRNA):
DNAからの情報を基に細胞内でタンパク質を作る際の設計図の役割を果たす重要な分子。

【論文情報】
雑誌名:Vaccine: X
論文タイトル:Adverse events of COVID-19 vaccination during 2021–2022 suppressed by breakfast consumption and favorable sleeping habit among Japanese university students
著者:Nobuyuki Tetsuka, Keiko Suzuki, Kodai Suzuki, Takuma Ishihara, Takao Miwa, Satoko Tajirika, Miho Aadachi, Ryo Horita, Taku Fukao, Mayumi Yamamoto
DOI: 10.1016/j.jvacx.2024.100516