EY Japan、地方公共団体における外国人材の受入れや共生施策に関する調査を実施
~自治体の取り組み状況や課題、国内外の先進事例を整理~
EY 新日本有限責任監査法人(東京都千代田区、理事長:片倉 正美、以下 EY新日本)は、内閣官房から委託の「地方公共団体の地方創生に資する外国人材受入支援・共生支援に係る施策の推進等に関する調査」を実施し、2024年3月に調査報告書をとりまとめました。
近年、地方における外国人人口が増加していることに加え、新たな在留資格として「特定技能」が創設され、地域の新たな担い手として、外国人材のさらなる活躍が期待されています。また、専門性を有する高度外国人材を確保し、地方に不足している知識・経験の獲得や国際関係業務の遂行、海外展開の足掛かりとすることも期待されています。
政府も2018年12月に「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」を決定し、外国人材の受入れおよび共生のための取り組みを推進しています。外国人材がその能力を最大限に発揮し、地域における新たな担い手として定着できるよう、地方公共団体において外国人材に対する積極的な受入れ支援や共生支援を行うことが重要となっています。
このたびEY新日本がまとめた「地方公共団体の地方創生に資する外国人材受入支援・共生支援に係る施策の推進等に関する調査報告書(以下 本報告書)」では、2023年10月から2024年1月にかけて、1)全国の地方公共団体を対象にした外国人材の受入れ・共生施策の導入状況等に関するアンケート調査、2)高度外国人材の受入れ・共生施策に関する先導的事例の調査、3)海外の地方公共団体における外国人材の受入れ・共生施策に関する参考事例の調査の3分野の調査を行い、その結果をまとめています。
全国の地方公共団体へのアンケート調査からは、主に以下の内容が示唆される結果となりました。
外国人材の受入れ・共生に関する施策の内容について
- 都道府県・市区町村共に、「外国人相互の交流促進や生活支援」、「情報の他言語化等」、「多文化共生に係る理解の醸成」に関する取り組みが多い。
- 一方、市区町村では「受入れ企業に関する支援」や「高度外国人材の受入れ・活躍促進」に関する取り組みが相対的に少なく、都道府県がそれらの取り組みを推進する役割を担っていることが推察される。
高度外国人材の受入れを推進する理由について
- 高度外国人材の受入れを推進する理由としては、都道府県・市区町村共に「地域内の人手不足への対応」や、「地域の活性化」といった理由が多い。また、都道府県では「専門人材の確保」、市区町村では「国際化・国際交流の促進」が多い。
- 都道府県では、高度人材の確保による地域産業の振興、市区町村では、地域の外国人コミュニティの強化や、多文化共生の理解促進の担い手としてのニーズが高いと考えられる。
外国人材の受入れ・多文化共生支援に関する課題
- 都道府県・市区町村共に、「財源の確保」や「コミュニケーション(言葉の壁)」、「担当職員の不足」が多い傾向にある。
- 都道府県では、「支援者の確保・育成」や「関係機関・関係部署等との連携」、「外国人材の他地域への流出」が多く、市区町村では、「外国人住民や関係機関・地域住民のニーズ把握」や「他の施策に比べ優先度が低い」、「制度や法令、先行事例等の知識不足」が多い傾向にある。
- 今後国に求められる取り組みとして、都道府県向けには、支援者の確保・育成や関係機関・部署との連携、外国人材の地域への定着に関するノウハウの共有を進めつつ、市区町村向けには、ニーズの把握に関するノウハウや、先行事例の情報共有が必要になると考えられる。
本報告書では、アンケート調査および国内外の事例調査に基づき、外国人材の受入れ・共生・活躍促進に向けた地方公共団体のニーズの類型や、取り組みを進める際のポイントをまとめています。また、15の地方公共団体の先導的な事例のほか、韓国や台湾、フィンランドの地方公共団体における参考事例を掲載しています。詳細はこちらでご覧ください。また、報告書の概要版はこちらです。
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