【注意喚起】5年で2倍、配線器具の火災事故に注意!
~無頓着は火事の元!~
2024/1/25 11:00
製品評価技術基盤機構(NITE)
テーブルタップ・延長コードなど(以下「配線器具※1」という)による事故が毎年発生しています。独立行政法人製品評価技術基盤機構[NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原]に通知のあった製品事故情報※2によると、2019年から2023年の5年間に配線器具の火災事故は126件あり、2023年の件数は2019年の約2倍となり、近年高止まりの傾向がみられます。これはテレワークの普及・増加によって、配線器具の使用が増えたことが関係しているものと推定されます。
配線器具の取扱いは、家電製品の陰でつい無頓着になってしまいがちですが、ほこりがたまったまま放置したり、机や椅子の脚で踏むなど繰り返し負荷を加えたり、接続可能な最大消費電力を超えて使用したりすると、火災につながるおそれがあります。
近年、DIYやキャンプブームで人気のコードリールも、使用方法を誤ると火災の危険があります。
改めて配線器具やその使用状況をチェックして、事故を未然に防ぎましょう。
撮影協力:株式会社畑屋製作所
コードを引き出さずに最大消費電力を超えて使用し、コードリールが発火(再現実験)
■配線器具の事故を防ぐポイント
○電源プラグやテーブルタップ及びコンセントの差込口などにほこりがたまらないよう掃除する。水分に注意する。
○電源コードを引っ張る、机や椅子の脚で踏むなど、無理な力を加えない。変形した電源プラグは使用しない。
○接続可能な最大消費電力を確認し、これを超えて使用しない。
(※1)テーブルタップ、延長コード及びマルチタップなど。詳細は次ページ参照。
(※2)消費生活用製品安全法に基づき報告された重大製品事故に加え、事故情報収集制度により収集された非重大製品事故やヒヤリハット情報(被害なし)を含みます。
対象製品および製品分類
テーブルタップ :電源プラグから差込口までが延長されており、複数の差込口を有するもの
延長コード :電源プラグから差込口までが延長されており、差込口が一口のもの
マルチタップ :電源プラグから差込口までが延長されておらず、複数の差込口を有するもの
コードリール :電源プラグから差込口までが延長されており、複数の差込口を有し電源コードが巻取り収納できるもの
2.事故発生状況
2-1.配線器具の事故発生状況(使い方や設置状況が関係する事故)
NITEに通知のあった製品事故情報のうち、2019年から2023年に発生した配線器具の火災事故126件のうち、使い方や設置状況が要因とみられる事故は50件でした。表1に50件の「事故発生状況別の被害状況」を示します。
(※3)製品本体の被害にとどまらず、周囲の製品や建物に被害が及ぶことを拡大被害としている。
(※4)人的被害のあった事故の被害者数は、事故1件につき、いずれも1名。
(※5) 詳細は次ページ参照。
(※6)テーブルタップなどに採用されている、180度回転する電源プラグの可動部分です。
3.事故事例と気を付けるポイント
(1)トラッキング現象による事故
事故発生年月 2022年2月(埼玉県、年齢・性別不明、拡大被害)
【事故の内容】
使用中のテーブルタップ付近から出火し、周辺を焼損した。
【事故の原因】
テーブルタップの電源タップに他の電気製品を長期間(製造後約23年)接続したまま放置して接続部にほこり等が蓄積したため、トラッキング現象が生じて焼損したものと考えられる。
【SAFE-Lite検索キーワード】
テーブルタップ、トラッキング
気を付けるポイント①
○電源プラグ及び電源タップは小まめに掃除し、水分に注意する
電源プラグはコンセントや電源タップとの間に隙間が生じないようにしっかりと差し込み、定期的に掃除してほこりを取り除いてください。電源プラグをコンセントや電源タップとの間に隙間がある状態で差したままにすると、隙間にほこりがたまって表面に水分が付着したり、水分が内部に侵入したりしてショートやトラッキング現象が生じるおそれがあります。また、観賞魚水槽などの水気の近くは、特に注意が必要です。
掃除の際は、必ずコンセントや電源タップから差込プラグを抜いて、“から拭き“でほこり等のよごれを取り除いてください。コンセントや電源タップの差込口にアルコールスプレー等の洗浄液が直接かかるとショートやトラッキング現象が生じるおそれがあります。
【トラッキング現象の仕組み】
コンセントや電源プラグの周囲、隙間や内部にほこりや水分が付着した状態で使用すると、付着したほこりと水分によって電源プラグ栓刃の間等に微弱な電流が流れる状態となり、火花放電が繰り返されます。その結果、絶縁の役割を果たしている樹脂部分が徐々に炭化していき、トラック(電気の通り道)が形成されて異常発熱し、発火へと至ります。この現象を「トラッキング現象」といいます。
※コンセント側でトラッキングを検知して電流を遮断する製品や水分などが内部に入りにくいようにシャッターがついた製品なども販売されています。次回購入時の参考にして下さい。
(2)外から強い力が加わったことによる事故
事故発生年月 2023年1月 (埼玉県、60歳代・男性、拡大被害)
【事故の内容】
テーブルタップに電気製品を接続していたところ、テーブルタップ及び周辺を焼損する火災が発生した。
【事故の原因】
使用者がテーブルタップに足を引っ掛けて電源プラグ部に外力が加わったため、電源プラグ栓刃可動部のカシメ部が緩んで接触不良が生じ、異常発熱して発火したものと考えられる。
【SAFE-Lite検索キーワード】
電源プラグ、接触不良
気を付けるポイント②
○無理な力を加えない、変形したプラグは使用しない
延長コードやテーブルタップの電源コードを折り曲げる、踏みつける、引っ張るといった、外部から電源コードに無理な力が加わる使い方をすると、電源コードの芯線が断線したり、電源プラグが変形してコンセントの刃受け金具と正常に接触できなくなったりして、異常発熱や発火に至るおそれがあります。机や椅子の脚などでコードを踏みつけたり、足に引っ掛けたりしないよう、配線は設置状況に注意し、電源プラグは電源コードではなくプラグ本体を持って抜き差してください。
もし、電源プラグの栓刃が変形した場合は使用を中止し、メーカーや販売店にご相談ください。
(3)最大消費電力を超える電気製品を接続したことによる事故
事故発生年月 2018年11月 (北海道、年齢・性別不明、拡大被害)
【事故の内容】
使用中のコードリール付近から出火し、建物を半焼した。
【事故の原因】
コードリールはほとんど巻き取られた状態であり、巻き取り時の定格電流値を超える電気製品(布団乾燥機2台及び電気除湿器2台)を接続して使用したため、コードが異常発熱してショート・スパークが生じ、焼損したものと考えられる。
【SAFE-Lite検索キーワード】
コードリール、定格電流
気を付けるポイント③
○接続可能な最大消費電力を超えて使用しない
テーブルタップやコードリールには接続可能な最大消費電力または定格電流(何アンペアまで接続できるか)が定められています。接続可能な最大消費電力や定格電流を超えると発熱を生じ、コンセント部の刃受け金具と電源プラグの栓刃の接触が緩い箇所で異常発熱したり、電源コードの絶縁被覆が破損してショートしたりして発火するなどの事故につながります。
電気製品を接続する際は、接続可能な最大消費電力を超えないように注意してください。接続可能な最大消費電力又は定格電流は、テーブルタップ本体やパッケージに記載されています。
【コードリール】
特にコードリールの場合は、電源コードを全て引き出した状態と収納した状態とで接続可能な最大消費電力が異なるものや、電源コードを全て引き出した状態でのみ使用できるものがあるため、使用する際は取扱説明書や本体表示を確認してください。
異常発熱や接続可能な最大消費電力を超えたことを検知して電流を遮断する製品なども販売されています。次回購入時の参考にして下さい。
今回の注意喚起動画はこちら
株式会社畑屋製作所と連携し、注意喚起動画を作成いたしました。
>>NITE公式 YouTube
コードリール「1.許容電力を超えて発火」
【コンセント】
コンセントにも定格があります、一般住宅の壁に設置してあるコンセントは二口のものが一般的ですが、その場合、二口の合計で1500Wまでが接続可能な最大消費電力となっています。例えばコンセントの片方に1000W分の電気製品を接続した場合、もう片方には500Wまでしか接続できません。
配線に一定以上の電気が流れた場合の安全装置として、配線用遮断器(ブレーカー)が設置されていますが、配線用遮断器が作動するまでに時間を要する場合があるため注意が必要です。
一般消費者用検索ツール「SAFE-Lite」のご紹介
NITEはホームページで製品事故に特化したウェブ検索ツール「SAFE-Lite(セーフ・ライト)」のサービスを行っています。製品の利用者が慣れ親しんだ名称で製品名を入力すると、その名称(製品)に関連する事故の情報が表示されます。
https://www.nite.go.jp/jiko/jikojohou/safe-lite.html
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE) 製品安全センターの概要
NITE 製品安全センターには、消費生活用製品安全法などの法律に基づき、一般消費者が購入する消費生活用製品(家庭用電気製品やガス・石油機器、身の回り品など)を対象に毎年1千件以上の事故情報が寄せられます。製品安全センターでは、こうして収集した事故情報を公平かつ中立な立場で調査・分析して原因究明やリスク評価を行っています。原因究明調査の結果を公表することで、製品事故の再発・未然防止に役立てています。