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投稿者:

ZYAO22編集部

過敏性腸症候群有症状者を対象とした効果的なeHealthシステムの開発に成功

過敏性腸症候群有症状者を対象とした 効果的なeHealthシステムの開発に成功

 

詳細は 早稲田大学Webサイト をご覧ください。

 

【発表のポイント】

◆ 過敏性腸症候群(IBS)有症状者を対象としたeHealthシステムを新規構築した。

◆ eHealthシステムを利用したセルフマネジメントプログラムにより、IBS症状の重症度を減少させることに成功。

◆ 今回開発したeHealthプログラムは、IBS以外の慢性疾患のセルフマネジメントのために応用できると期待できる。

 

早稲田大学人間科学学術院の田山 淳(たやま じゅん)教授、埼玉県立大学の濱口 豊太(はまぐち とよひろ)教授らの研究グループは、過敏性腸症候群(IBS)有症状者を対象としたeHealthシステムを用いた8週間のセルフマネジメントプログラムにより、IBS関連マーカーが有意に軽減することを発見しました。主要な結果として、「IBS重症度スコア」の顕著な改善が見られるとともに、門レベルの腸内細菌であるシアノバクテリア(cyanobacteria)の減少が認められました。

 

図1:A eHealth実施群、B eHealth未実施群。IBS-SIはIBS症状の重症度を500満点で評価する質問紙。

点数が低いほど症状が軽いため、eHealth実施群は介入後に改善を示している。

 

本研究成果は、『Scientific Reports』(論文名:Efficacy of an eHealth self-management program in reducing irritable bowel syndrome symptom severity: A randomized controlled trial)にて、2024年1月3日(水)に掲載されました。

 

■ 今回の研究で新たに実現しようとしたこと、明らかになったこと

最初に、既にランダム化比較試験でIBS症状の軽減に寄与することが明らかになっているIBSのセルフヘルプガイドブックを日本語に翻訳し、章立て、内容等をeHealthコンテンツ用に加除修正し、eHealthシステムを構築しました。研究では、このeHealthベースのセルフマネジメントプログラムが、IBSの重症度を軽減できるという仮説検証を目的としました。eHealth群(n=21)と、eHealth未実施群(n=19)を比較する無盲検単純無作為化比較試験を行い、eHealth群は、8週間、コンピュータとモバイルデバイスでセルフマネジメントコンテンツに無制限にアクセスすることができました。主要アウトカムはIBS重症度評価表(IBS-SI)とし、副次的アウトカムはQOL、腸内細菌、脳波とし、ベースライン時と8週目に各測定を実施しました。結果としてeHealthによって主要アウトカムであるIBSの重症度が軽減することが明らかになりました。さらに、副次的アウトカムに関しては、脳波は変化がなかったものの、QOLの上昇、門レベルの腸内細菌であるCyanobacteriaの減少が認められました。したがって、eHealthベースのセルフマネジメントプログラムにより、IBS症状の重症度を減少させることに成功しました。

 

■ 研究の波及効果や社会的影響

IBSは慢性疾患ですが、慢性疾患の症状改善には長い期間を要することが知られています。本研究では慢性疾患のうちIBSのみをターゲットとして、彼ら自身が症状と長期間上手に付き合っていくためのセルフマネジメント法としてのeHealthプログラムの効果を明らかにしました。IBS症状を自助努力によってコントロールできることが本研究によって示されたことから、IBS以外の慢性疾患のセルフマネジメントに対しても、eHealthプログラムが応用できる可能性があります。

 

■論文情報

雑誌名:Scientific Reports

論文名:Efficacy of an eHealth self-management program in reducing irritable bowel syndrome symptom severity: A randomized controlled trial

執筆者名(所属機関名):田山 淳1*, 濱口 豊太2*, 小泉 浩平2, 山村 凌大3、大久保 亮4、河原 純一郎5、井ノ上 憲司6、武岡 敦之7、福土 審8

1. 早稲田大学 人間科学学術院、2. 埼玉県立大学 保健医療福祉学部、
3. 北海道大学 遺伝子病制御研究所、4. 独立行政法人国立病院機構 帯広病院、
5. 北海道大学 大学院文学研究院、
6. 大阪大学 スチューデント・ライフサイクルサポートセンター、
7. 長崎大学 保健センター、8. 東北大学大学院医学系研究科、*共同筆頭著者

掲載日時:2024年1月3日(水)午前10時(イギリス時間)、午後7時(日本時間)

掲載URL:https://doi.org/10.1038/s41598-023-50293-z

DOI:10.1038/s41598-023-50293-z

 

■研究助成

研究費名:国際共同研究加速基金(国際共同研究強化(B))

研究課題名:IBS症状のセルフケアためのeHealthシステム構築及びその効果についての研究

研究代表者名(所属機関名):田山 淳(早稲田大学)