ドローンで運搬可能な土石流等の発生を検知する クラウド型システムを開発しました
株式会社建設技術研究所(本社:東京都中央区、代表取締役社長:中村哲己)は、ドローンで運搬できるGPSセンサとセンサ位置の変位によって土石流の発生を検知するクラウド型システムを開発しました。
これまでは、二次災害の恐れから作業員による立入規制区域内でのセンサの点検や設置作業ができませんでしたが、このシステムにより、安全かつ迅速に土石流等の発生を判定することができるようになります。
1.背景
現在土石流の発生検知は、渓流にワイヤーや振動計、監視カメラなどを設置して監視を行っています。しかし土石流等によって計器が破損すると監視を継続することができないこと、立入規制区域内では点検や交換作業ができないため、土石流発生を迅速に判定できないことが課題となっています。近年のゲリラ豪雨や線状降水帯の多発により、土石流危険渓流や急傾斜地のほか、これまで想定し得なかった箇所で土石流やがけ崩れが発生しており、安全かつ迅速に検知ができるシステムの開発が求められています。
2.開発した技術の概要と特徴
(1) 開発した技術の概要(図1)
・土石流等の発生が予見される危険箇所にGPSセンサを設置し、土石流等の発生に伴ってGPSセンサが流下(変位)することに着目したシステムです。
・GPSセンサが移動した距離や方向によって、土石流の規模や到達範囲を推定することができます。
・GPSセンサは、モジュールとバッテリをひとつのケースに収容してドローンで運搬、設置することができます。
・GPSセンサの位置情報は、クラウド上の監視システムに集約され、センサの位置の変化により、土石流の発生を判定します。
・GPSセンサが移動した場合、メールで施設管理者に通報します。
(2) 開発した技術の特徴
・ ドローンで運搬設置ができるため、土石流等の発生後の立入規制区域内にも設置が可能で、作業員の安全を確保することができます。
・ これまで監視機器が設置されていなかった渓流の上流域や火口部周辺にも設置することができます。
・ 現地での設置工事は不要で、管理者はインターネットが参照できる端末があればシステムを利用できます。
・ バッテリを充電あるいは交換することでGPSセンサは再利用できます。
3.今後の展望
GPSセンサの稼働時間の延長や通信規格の拡張により活用範囲を広げ、頻発する土砂災害に対する地域の安全確保に貢献します。