2024年オフィス・アウトルック:インドがアジア太平洋地域オフィス需要の回復を牽引
日本のオフィス需要は同地域平均の成長率を下回る見通し
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2023年12月15日、東京 – クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドによると、2024年内にはグレード Aオフィスの総需要がコロナ前の水準まで回復すると予想されますが、記録的な新規供給により空室率も上昇する見込みです。
世界的な不動産サービス会社であるクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(NYSE: CWK)は、「2024年アジア太平洋オフィスアウトルック」の中で、インドの上位8都市の合計は地域総需要の半分強を占めると予測しています。
中国本土の主要4都市(北京、上海、広州、深圳)のオフィス需要も緩やかな回復が続くと予想され、2024年の需要は18msfと、今年末までに予想された13msfから増加する見込みです。
ほか、クアラルンプールとマニラのオフィス市場は、自国の経済の拡大から恩恵を受けそうであり、シンガポールは引き続き堅調に推移しそうです。
需要の改善にもかかわらず、予測される25市場の約半数で2023年から2027年にかけて空室率が上昇します。最も空室率が上昇すると予測されるのは広州(2023年の20%から2027年には30%近くまで上昇)と深セン(2023年の27%から2027年には35%近くまで上昇)です。ハイデラバード、クアラルンプール、バンコクも2027年までに空室率が25%を超えると予測されます。シンガポールとソウルの空室率はともに5%を下回ると予想され、東京とマニラは2027年まで7%を下回ると予想されます。オーストラリアの主要市場は、10%前後で安定的に推移すると思われます。
図2:2023-27年の新規供給量*(msf)と2023年の既存ストックに占める割合
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アジア太平洋地域国際調査責任者のドミニク・ブラウン博士は、2024年も地域内最大規模のオフィス市場が需給を牽引し続けることに驚きはないとして以下のように述べました。
「過去平均を上回る新規供給期に入ったアジア太平洋地域は、2025年まで供給が続いた後、供給が抑制されていくと予想されます。コロナ渦で遅延していた建設プロジェクトが続々と供給されていくため、調査対象の25市場のうち16市場で2023~25年の供給量が2017~19年を上回ることが見込まれています。」
図3:アジア太平洋地域の主要オフィス都市の予測指標
ストック | 空室率 | ||
2023 | 2027 | 2023 | 2027 |
1.86 msf |
2.27 msf |
17.6% |
17.7% |
国別にみると、オーストラリアが2023年の賃貸料の伸びをリードし、2027年まで年平均4%から7%の力強い伸びが続くと予想されます。シンガポールも、旺盛な需要と限られた供給により、2025年から約4%の成長が期待できます。同地域の他の地域では、賃料の伸びはより緩やかなものにとどまるでしょう。
ブラウン博士は次のように述べています。
「需要の回復と大型供給計画が重なったため、総体的には、当面の賃料上昇圧力は比較的弱いでしょう。地区別に細かくみれば、より質の高いストックがアウトパフォーム、立地に劣る品質の低いビルはさらにアンダーパフォームが続くでしょう。
少なくとも2024年までは続くと思われる世界経済の低迷が見込まれているにもかかわらず、オフィス市場には慎重な楽観論が広がりつつあります。サブマーケットごとに異なる属性のニュアンスを理解しているテナント・投資家の双方において、チャンスは残されています。従業員向けのウェルネス・サービスの向上を目指すテナントは質の高いオフィスへの選好を強めており、地域全体で供給に主導された市況が続くでしょう。」
経済状況
ブラウン博士は更に次のように述べています。
「アジア太平洋地域のほとんどの経済では、インフレ率は改善傾向とはいえ、依然高止まりしています。金利上昇を受けて、企業も家計も支出を抑えているため、総じて取引意欲は減速しています。
ポジティブな面としては、2024年のアジア太平洋地域の成長率は3.5~4.0%と予想されており、今年の4.5%予想よりは低いものの、来年の成長率が0.9%と予想されているユーロ圏や、マイナス0.3%と予想されている米国よりは高い水準にあります。」
アジア太平洋地域内でも、成長予測はまちまちです。新興市場であるベトナム、フィリピン、インド、マレーシアは、堅調な国内消費と海外直接投資の増加から恩恵を受けそうです。また、地域全体でコロナ前の水準を25%下回る水準にとどまっている観光業の潜在的な回復は、2024年のタイの成長を底支えしていくでしょう。
先進国をみると、シンガポールと韓国が対外貿易の回復に伴い回復の兆しがあらわれはじめています。オーストラリアと日本は、地域平均の成長率を下回る見通しです。中国の見通しは、輸出需要の減退と国内消費の低迷の影響を受け、強弱入り混じった状況です。
注記
- 本予測は、アジア太平洋地域の11市場25都市におけるグレードA以上のストックを対象としています: オーストラリアのブリスベン、メルボルン、シドニー、中華圏の北京、広州、香港、上海、深セン、インドネシアのジャカルタ、インドのアーメダバード、ベンガルール、チェンナイ、デリーNCR、ハイデラバード、コルカタ、ムンバイ、プネー、日本の東京、マレーシアのクアラルンプール、フィリピンのマニラ、シンガポール、韓国のソウル、タイのバンコク、ベトナムのハノイ、ホーチミンシティ。
- 2024年アジア太平洋地域のオフィス・アウトルックは、こちらからオンラインでご覧いただけます。
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クッシュマン&ウェイクフィールドについて
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)はニューヨーク取引証券所に上場している世界有数の事業用不動産サービス会社です。世界約60カ国、400拠点に約52,000人の従業員を擁しています。施設管理、売買仲介、鑑定評価、テナントレップ、リーシング、プロジェクト・マネジメントなどのコア・サービス全体で、2022年の売上高は101億ドルを記録しました。受賞歴のある企業文化や、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DEI)、環境、社会、ガバナンス(ESG)へのコミットメントにより、業界内外から高い評価を頂いております。詳しくは、公式ホームページ www.cushmanwakefield.com/ にアクセスするか公式ツイッター @Cushwake をフォロー下さい。