C&W、2025年オフィス内装費用ガイドを発行
アジア太平洋地域は、価格上昇の厳しい時期が概ね過ぎたことで建設業者の景況感は概ね好転
報道関係者各位 |
グローバル不動産総合サービス会社のクッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(グローバル本社:米国イリノイ州シカゴ、日本本社:千代田区永田町、C&W)は、「2025年オフィス内装費用ガイド」を発行いたしました。この調査によると、アジア太平洋地域の主要都市におけるオフィスの内装費用は、上昇率は鈍化しているものの、依然として継続していることが報告されています。
今回の年次報告書によると、東京の1平方フィート(psf)当たり195ドルから、ジャカルタの58ドルまで様々な範囲にわたって内装費用がかかることが示されました。 例年と同様、日本の都市が最も高額な市場となり、一方、東南アジアの都市がオフィス内装に最も手頃な場所となりました。
市場レベルや現地通貨では多少の変動が見られたものの、1平方フィート当たりの米ドル建ての最も高いオフィス内装コストから最も低いコストまでのランキングは、ほとんど変化がない一方、一部の市場間では格差が縮小。
そのような中での市場の動きとしては、以下のものが挙げられます:
香港は、自国通貨が米ドルに連動して高騰したことを背景に、オークランド、ソウル、シドニー、メルボルンを追い抜いて、世界で9位から5位に上昇。
マニラは20位から17位に上昇し、上海と同順位となった。他の中国本土の都市である深センと広州は、賃料の下落が見られたため、順位を下げた。
ジャカルタは24位から33位に順位を下げた。これは、入居者がより低スペックのオフィス内装を選択したためであり、昨年最も手頃な価格の都市であったホーチミンシティを上回り、アジア太平洋地域で最も手頃な価格の都市となった。
レポートの著者であり、EMEA & APAC 地域の国際調査部門の責任者であるドミニク・ブラウン博士は、現地のオフィス内装費の変化は、各市場の経済見通しと関連するオフィス賃貸活動とほぼ一致していると述べています。
「アジア太平洋地域は、地域としてより拡大傾向にあり、他の地域よりも、この地域の請負業者による市場に対する成長とやや前向きな見方が多く見られます。
請負業者の景況感と実際のコストの両方を考慮すると、ここ数年の価格圧力の最も厳しい局面は過ぎ、原材料価格は下落傾向にある一方で、労働市場の逼迫は賃金インフレを一部で引き起こしているように見えます」
アジア太平洋地域プロジェクト・開発サービス部門の責任者であるトム・ギブソン氏は次のように述べています。
「移転よりもリース更新を選ぶ顧客が増えているため、この地域全体で改装やアップグレードの活動が活発化しています。ほとんどのケースにおいて、入居企業にとって、働く従業員の職場環境が主な関心であり、そのための高品質な内装工事は上昇し続けているため、ほとんどの市場で、内装費用に圧力を加えています。」
東京、ソウル、大阪を含む北アジアの都市では、現地通貨建てで見た場合、内装費が約16%上昇し、最も大きな費用のインフレが見られました。次いでオーストラリアの都市が平均11%の上昇。ジャカルタではコストが最も大きく減少(-16%)し、中国本土の都市でもコストが減少。インドでは、ほとんどの都市で約3%の安定したインフレが見られました。
市場および現地PR担当者による主な調査結果
オーストラリア
Jess.Freeman@cushwake.com
オーストラリア市場は、内装費が安定し、回復力を示している。進化するワークプレイス戦略に対応するため、資本支出予算の緩やかな増加が見込まれている。
リードタイムの安定は、2025年のプロジェクトスケジュールにとって明るい兆しである。
シドニーとメルボルンでは、主要なビジネスハブとして、特に先進的なハイブリッドワークスペース向けのオフィス内装費が最も高額な地域であり、企業はより高い支出を計画すべきである。
経済の変動にもかかわらず、オーストラリアのオフィス市場は2024年と比較して2025年にはより強い成長を遂げると予想される。この成長は、ハイブリッドな働き方をサポートする高品質なオフィススペースに対する需要の増加によって牽引されるだろう。
中国
Mandy.Qian@cushwake.com
香港は、アジア太平洋地域のコストリストで9位から5位へと上昇し、本レポートで注目すべき市場となった。これは主に米ドルおよび香港ドルの強さによるものである。
グレーターチャイナのその他の市場では、景気の低迷により請負業者の価格変更が減速し、コラボレーション型ハイブリッド内装費は昨年より軟化している。
インド
Aditi.Vij@cushwake.com
インドではハイブリッドスペース、フレキシブルオフィスモデル、コワーキングエリアを融合させた適応性の高いワークスペースへの関心が高まっている。その背景には、機敏なワーク環境や、コラボレーションを促進し、リモートワークをサポートするテクノロジーを活用したソリューションを好むスタートアップ企業や中小企業の存在がある。
メトロ市場における「プレミアム化」の継続:
主要なビジネス拠点では、多国籍企業や優秀な人材を惹きつけるために、ブランドアイデンティティや卓越した業務を反映したプレミアムな内装への傾向が見られる。従業員の経験や福利厚生の向上は引き続き最優先事項である。
サステナビリティは現在、内装プロジェクトの中心であり、多くの開発プロジェクトがLEEDやIGBC認証、グリーンソリューションをターゲットに、運営コストの削減と進化するテナントの期待に応えることを目指している。
インドネシア
Helsa.Anabel@cushwake.com
ジャカルタは、1平方フィートあたり58ドルと、東南アジアで最も低い内装コストとなっており、コスト効率の高いオフィスソリューションを求める企業にとって魅力的な市場となっている。
インドネシアは、工業およびデータセンターの拡大にとって重要な市場であり、同国のデジタル経済とインフラの成長を支える主要な投資が、中期的にはオフィス内装の需要増加につながる可能性がある。
企業がハイブリッドなワークモデルに適応するにつれ、柔軟なオフィススペースや近代的な職場環境に対する需要が高まっており、急速に変化するインドネシアの企業環境を反映している。
日本
Saiko.Otani@cushwake.com
引き続きアジア太平洋地域における最も内装費用が高額な市場としてランクを維持。
高い内装費用の背景には、指定内装業者へのB工事発注も要因ともなっている。
日本のオフィス文化は大きく変換しつつあり、次世代ワークスペースの採用によりさらに進化している。
2025年から段階的に施行される建設業法改正では労働環境改善や過密スケジュールでの請負契約の禁止が目標とされており、オフィス移転に要する期間も現行よりさらに延びる見通し。
韓国
Hena.Park@ap.cushwake.com
現地の顧客の間で、コラボレイティブ・ハイブリッドおよびアドバンスド・ハイブリッドのワーク環境に適合したオフィスへの改装ニーズが高まっている。(昨年比で最大40%増)。
EHS(環境・衛生・安全)や建築基準に関する厳しい現地の規定により、新規の改装や修復にかかる建設費用や管理費は上昇を続けている。
新規の改装プロジェクトでは、サステナビリティが重要な検討事項となっている。
フィリピン
Claro.Cordero@cushwake.com
プライム・オフィスとグレードAオフィスの空室率は、今後2~3年で70万平方メートル以上の新規供給が見込まれるため、短中期的には高止まりするだろう。
多くの企業がハイブリッドワークモデルに移行する中、オープンスペースやコラボレーションゾーンを重視したオフィスレイアウトへの需要が高まっている。このトレンドは都市空間を再構築し、オフィスの機能性と柔軟性を高める革新的なソリューションへの安定したニーズを生み出している。
オフショアゲーミングオペレーションの全面禁止により、オフィスの空きスペースが余剰となった。多くの場合、それらはテナント候補にとって、まだ使える又は使えそうな改装済みスペースとなっている。非CBDエリアの大規模な空きスペースを、代替オフィスや従来とは異なるオフィス用途に適した機能的なスペースに再利用する機会があるかもしれない。
シンガポール
Marinne.Santiago@cushwake.com
サステナビリティは依然として重要な焦点であり、企業はグリーンビルディング認証、再生可能素材、エネルギー効率の高い設計を優先している。
オフィスはオープンなコラボレーションエリア、防音ポッド、ウェルネスに特化した静かなスペースなどを統合し、多様なニーズに対応している。
オフィスデザインは、先進的な空気清浄システム、人間工学に基づいたレイアウト、生体親和的な要素を採用し、従業員の健康とウェルネスをより優先するように進化している。
プレハブ建設とモジュール建設は、安全性と品質に妥協することなく、より迅速なプロジェクト完了を可能にし、人気を集めている。
タイ
Jirayut.Int@cushwake.com
タイのオフィス市場は依然として供給過剰の段階にある。その一方で、オフィススペースの縮小や最適化を図り、従業員のニーズに応えようとしている企業もある。
バンコクの平均改装費は1平方メートル当たり85ドルで、企業入居者にとっては東南アジアで最も手頃な市場の1つである。
タイの企業は、よりフレキシブルなオフィスデザインを採用し、コラボレーティブなハイブリッド型フィットアウトが人気を集めている。
ベトナム
Xuan.Pham@cushwake.com
2024年第4四半期の時点で、グレードAとグレードBのオフィススペースの総供給量は340万平方メートルを超えている。
2025年、ホーチミンのオフィス市場は、中心部と非中心部の2つのプロジェクトから16万5,000平方メートルの新規供給を迎えると予想されている。一方、ハノイでは2万4500平方メートルの新規供給が見込まれている。
グリーン・ビルディングは、新しい開発プロジェクトの必然的なトレンドとなるだろう。
オフィス内装費用ガイドについて
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドの「オフィス内装費用ガイド」は、毎年発行される出版物で、アジア太平洋地域の主要なオフィス市場におけるオフィス内装、改装、原状回復工事のコスト内訳を提供しています。2025年は、請負業者意識調査の結果と資本支出の見積もり用オンライン算定ツールという2つの新しいセクションが追加されました。
より詳しい内容はWebサイト、もしくはオフィス内装費用ガイドPDF版をご覧ください。
APAC版ガイドのダウンロード(英語版)は、こちら
その他の地域のダウンロード:
EMEA(欧州・中東・アフリカ)版ガイドは、こちら
アメリカ版ガイドは、こちら
C&Wの市況レポートはこちらのWebサイトをご覧ください。
以上
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドについて
クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(NYSE: CWK)は、クッシュマン・アンド・ウェイクフィールド(C&W)はニューヨーク取引証券所に上場している世界有数の事業用不動産サービス会社です。世界約60カ国、400拠点に約52,000人の従業員を擁しています。施設管理、売買仲介、鑑定評価、テナントレップ、リーシング、プロジェクト・マネジメントなどのコア・サービス全体で、2024年の売上高は94億ドルを記録しました。Better never settlesという企業理念のもと、受賞歴のある企業文化が評価され、業界やビジネス界から数々の称賛を受けています。詳しくは、公式ホームページ www.cushmanwakefield.com にアクセス下さい。