【公表】太陽光発電の導入加速に向けた提言
公益財団法人 自然エネルギー財団は本日、「太陽光発電の導入加速に向けた提言」を公表しました。
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気候変動の抑制に向けて、日本を含む先進7カ国(G7)は主導的な役割を担い、国内の排出削減を急ぐ必要があります。排出削減に最も効果が大きい対策は、自然エネルギーの導入拡大です。これまで太陽光発電を中心に自然エネルギーの導入量を増やしてきましたが、そのスピードは速まるどころか停滞し始めています。太陽光発電のメリットと克服すべき課題を認識したうえで、国を挙げて導入拡大に取り組むことが求められます。
すでに太陽光発電は最もコストが低い電源になっています。化石燃料の輸入価格の影響を大きく受ける火力発電と比べて、現時点でも十分に経済性があり、将来のコスト低減効果はますます大きくなっていきます。エネルギー安全保障の面でも、国内の資源を利用できる太陽光発電を拡大する意義は大きいものがあります。地域経済を活性化させる効果も期待できます。
日本では太陽光発電設備を導入できる場所が限られている、との指摘があります。しかし実際には、2050年のカーボンニュートラル実現に必要な導入量をはるかに上回るポテンシャルが存在しています。建物の屋根や農地の上部を有効に活用すれば、太陽光発電の大量導入は十分に可能です。特に新築の建物に対して太陽光発電を義務化する施策は即効性があり、短期間で導入量の拡大が見込めます。一方の農地は営農を前提にすると、農業従事者の育成と合わせて中長期に拡大していく必要があります。
本提言は太陽光発電の普及に取り組む有識者の意見を参考に、国、自治体、産業界という実施主体に分けて、導入加速に向けた対策をまとめました。実施すべき対策の緊急度と重要度をもとに、短期(2025年)、中期(2030年)、長期(2040年、国のみ)に分けて整理したものです。政府が検討を進めているエネルギー基本計画の改定において、太陽光発電の導入量を大幅に拡大する施策として盛り込まれることを望みます。
内容
・太陽光発電の導入を加速すべき理由
・導入加速に向けた主要な課題
・国、自治体、産業界に対する実行策の提言
提言一覧
●国の実行策
[短期](2025年までに)
1.野心的な導入目標の設定、主要な施策の早期実施
2.需要家や事業者に対する支援制度の拡充
3.営農型を生かした農業の再生戦略の策定
[中期](2030年までに)
1.適地の拡大と導入環境の整備
2.系統接続の改善と出力抑制の低減(送配電事業者とともに)
3.自治体の体制強化に向けた財政などの支援
[長期](2040年までに)
1.長期安定稼働の支援策
2.新技術の開発・普及促進
●自治体の実行策
[短期](2025年までに)
1.中長期の導入目標の設定
2.率先導入の実行計画策定
3.ルーフトップソーラーの導入義務化
4.導入拡大による地域便益の理解促進
[中期](2030年までに)
1.地域事業者の育成支援
2.営農型による地域農業の活性化
●産業界などの実行策
[短期](2025年までに)
1.太陽光発電事業者:FIT依存からの脱却、対応力を強化
2.電気事業者:太陽光発電を促進するサービスの拡充
3.電気事業者:コーポレートPPAの推進
4.すべての事業者:内部炭素価格による早期の対策実施
[中期](2030年までに)
1.送配電事業者:系統接続の改善と出力抑制の低減(国とともに)
2.金融機関:資金提供サービスの拡充
3.不動産事業者:建物に対する環境評価制度の拡充